キウィフルーツ  Actinida chinensis

キウィフルーツ(池田市都市緑化センター: 2004.11.24)

キウィフルーツ (池田市都市緑化センター:2004.11.24)

マタタビ科* マタタビ属 【*APGⅢ:マタタビ科】

Actinida:(柱頭が)放射状 >chinensis:中国の

今まで誰も想像もしなかったような果物が突然出現し、しかも一気に世界中に広がったという例はそれほど多くないと思うのですが、40年ほど前のキウィフルーツの出現は、そんな例外中の例外といえるかも知れません。

キウィフルーツの原種はもともと中国に原産するシナサルナシというツル性の木本で、1903年にニュージーランドに導入されたあと果樹として品種改良されました。長さ数センチの果実全体は褐色の毛でおおわれ、手触りも小動物のようですから、ふつうの感覚でいう果物の印象はありません。しかし、これを輪切りにしてみると、意外にも果肉は半透明のエメラルドグリーンで、その白い中心からはたくさんの髄が放射状にのび、黒い小さなタネが帯状に丸く並んでいてとても美しい模様をあらわします。またその味には、毛むくじゃらな外観からはまったく想像できない適度な甘さと酸味があり、分析すると蛋白質や脂肪分はほとんどなく、多種のミネラルやビタミンB類が含まれ、ビタミンCは豊富、おまけに果実の保存性も極めてよくて、0℃付近で貯蔵すると6ヶ月たってもビタミンCの損失は10%以下、といいこと尽くめでした。

そのため、1960年代に入ってニュージーランドで大量生産されて輸出がはじまると、瞬く間に世界中に広まっていき、日本へは1964年にはじめて果実が輸入されました。そのうえ、苗木を取り寄せて栽培してみると寒さに強くて北半球でも南半球でも極めて旺盛に生育し、植え付け後2、3年で結実しはじめ、花はきれい、実はよくなる、寿命は長いということで、生産目的や庭木としての栽培もオーストラリア、イタリア、フランス、アメリカ、チリ、日本などに急速に広がりました。ただ、雌雄異株ですので結実させるためには雌株と雄株を一緒に少なくとも7:1の比率で植える必要があるといわれ、種苗店の店先や通信販売でも雌雄がセットで売られています。

雌株には果実の形や大きさ、果肉の色合い(エメラルドグリーン以外にもいろいろあるようです)や風味などによってたくさんの品種があり、花粉親となる雄株にも品種があります。また、収穫直後の果実は堅く、おいしく食べるまでには4~6週間の追熟が必要です。