ケヤキ  Zelkova serrata

ケヤキ並木(中之島公園 2001.11.17)

紅葉するケヤキ並木 (中之島公園 2001.11.17)

ニレ科* ケヤキ属 【*APGⅢ:ニレ科】

Zelkova:コ-カサス産ケヤキ属の木 serrata:鋸歯(きょし)のある

A4の画用紙とB4の鉛筆を与えられて「10分間に実のなる木を1本描いてください」 といわれたら、あなたはどんな木を描くでしょうか。わたしはまず太い幹をかき、 バネを引き伸ばしたようならせんの線で丸い樹冠を描いた後、幹と樹冠に少し陰影をつけて それでおしまい。果実を一つもかかず、細かなところを無視してしまう、粗雑な性格がよくでた 木になってしまいます。ところが、人によっては、上空に大きく枝を広げた伸びやかな木を描き、 一見してケヤキだとわかる絵をかきます。ケヤキは「木」の一つの典型的な形と言ってよいでしょう。

ケヤキはもともと大阪よりやや気温の低い所に多い木のようで、河辺に近く、 土壌も深くて湿潤な所を好んで成育するニレ科の樹木です。条件の良いところでは非常に 大きくなり、高さが50mとか、胸高直径が3mにもなることがあります。傘形に枝を広げた美しい 樹形と秋の紅葉の美しさが好まれて、日本の都市の街路樹や公園樹としては、多分最も多く植えられ ている樹木といって間違いないでしょう。仙台市や東京の府中市など、立派なケヤキ並木の残って いる町も少なくありません。

大阪には驚異的なケヤキが1本あります。それは豊能郡能勢町野間(のま)にある「野間の大ケヤキ」で、 昭和23年に国の天然記念物に指定されています。高さはそれ程高いとは思いませんが、幹の太さは 想像を絶するもので、人間がその幹によじのぼったところなど、まさに木に止まったセミという 感じです。記録には、高さ33m、目通り幹まわり10.75m(πで割って直径になおすと3.42m)と あります。交通の便が良ければ百樹会で見に行きたいところですが、ちょっと無理なので、マイカ-を お持ちのかたは是非一度見に行かれることをおすすめします。

よくご存じのように、ケヤキの材は堅くて、折れやたわみが見られず、狂いが少ないうえ、 磨けば美しい光沢を生じるので、神社やお寺のような大きな木造建築の材料として用いられるほか、 家具や彫刻にもよく使われます。