イブキ(カイヅカイブキ)  Juniperus chinensis

イブキ(大阪府立大学:1999.7.22)

イブキ(カイヅカイブキ)(大阪府立大学:1999.7.22)

ヒノキ科* ビャクシン属 【*APGⅢ:ヒノキ科ネズミサシ(Juniperus)属】

Juniperus:ビャクシン、ネズミサシ chinensis:中国の

関西の公園や街路に植えられ、また、生け垣としてもごくふつうに見られる木にカイヅカイブキがあります。 しかし、「カイヅカイブキ」という名前を植物図鑑で探しても出て来ないことが多く、 一体どうなっているのかととまどった方もおられるに違いありません。 実は、カイヅカ、あるいはカイズカイブキという名は、造園関係の本には頻繁に出るものの、本格的な植物図鑑では全く採用されず、 イブキ(またはビャクシン、あるいはイブキビャクシン)として記載されているのがふつうです。 ですから、百樹会で使っているカイヅカイブキという名前はいわば俗称で、本名はイブキだという訳です (カイヅカという名前が何に由来するかは不明だそうですが、大阪の貝塚(かいづか)という地名と関係があるかも知れないとも考えられています。)

奈良春日社・水谷神社:2013.2.3 イブキは寿命がたいへん長く、しかも大きくなる木ですから、各地に老大木があって、天然記念物に指定されています。 だいぶ前に自転車で三宅島を一周したことがありましたが、その時も小さな社に天然記念物の大きな木がありましたし、 その後、奈良の春日大社から若草山へぬける道沿いにある水谷神社の所にも大きな木があるのに気がつきました(この木はその後大変弱り、いまは枯死寸前になっています(右写真:2013.2.3撮影で、この時、すでに枯死しています))


大阪府立大学:1999.9.5 大阪府立大学:1999.7.21 イブキの葉に2型あることはご存じの方も多いと思います。ふつうに見かけるものは写真右(大阪府立大学(1999.7.21))のような細くて丸いヒモ状のもので、これは細い枝にウロコ状の葉(鱗片葉)がびっしりと十字対生したものですが、 木が老木になったり、強い刈り込みを受けますと形の全く違う、緑白色の針状の葉を3枚輪生、または十字対生させた枝が出てきます(写真左(大阪府立大学(1999.9.5))

昔は、この形の葉が本来のイブキの葉であって、鱗片葉はこの枝から出た突然変異であり、 それを選抜育成したのがカイヅカイブキだ(したがってイブキの変種や品種として扱う)と聞いたものですが、 実は、イブキには2型の葉があるのが本来の姿なのです。