イワガラミ  Schizophragma hydrangeoides

イワガラミ(金剛山:2000.7.19)

イワガラミ (金剛山:2000.7.19)

ユキノシタ科*アジサイ亜科イワガラミ属 【*APGⅢ:アジサイ科】

Schizophragma:Schisein(裂ける)+Phrsagma(壁)  hydrangeoides:アジサイのような

イワガラミは、大阪府下の浅い山でも比較的よくみかけるツル性木本植物で、植物が小さいときは地面や岩のうえなどを這うように生えています。茎や枝から対生する葉柄は長く、先が鋭く尖った広卵形ないし三角状広卵形の葉がついています。葉の表面はやや暗緑色で、ときに白緑斑が出ることがあります。多くのツル植物の例にもれず、イワガラミの幹や枝から無数の気根が出てほかの木や崖などに付着し、水分や養分を吸収して大きくなり、長さが10mから15m、幹の太さも5~8cm程度になります。

イワガラミによく似た植物にツルアジサイ、別名ゴトウヅルがあります。どちらもユキノシタ科の植物ですが、お互いよく似ていて、花のないとき、いや、花が咲いていても、遠目で両者を区別することは困難です。ただし、間近に花を見ることができれば両者の区別は容易です。というのは、ツルアジサイもイワガラミも集散花序となり、その周辺部に飾り花(中性花)がありますが、その飾り花を作るガクの数が、イワガラミでは1枚だけ、ツルアジサイでは3~5枚あるからです。そのほか、両性花の花柱の数がイワガラミでは1本だけ、ツルアジサイは2~3本あることなどに注目し、イワガラミはイワガラミ属、ツルアジサイはアジサイ属と、別々のグループに分類されています。

このように両者の区別は結構むつかしいのですが、イワガラミの葉には粗く鋭い鋸歯があるのに対し、ツルアジサイの葉では鋸歯がやや細かいとか、イワガラミの葉柄には褐色の毛が多いが、ツルアジサイの葉柄には毛があってもまばらであるとか、イワガラミは標高の低いところから分布するのに対し、ツルアジサイではやや高いところに生えているなど、花以外に手がかりがないわけではありません。