ハンノキ  Alnus japonica

ハンノキの雄花序(2000.3.1:京都府立植物園)

ハンノキの雄花序(2000.3.1:京都府立植物園)

カバノキ科* ハンノキ属 【*APGⅢ:カバノキ科】

Alnus ハンノキの古いラテン語名 japonica 日本の

滋賀県伊香立:2000.6.23. 図鑑を見ますと、ハンノキは湿地に生える高木で‥‥‥と書いてあるように、 河辺や池のふちなどでよくみかける樹木です。ただ、「湿地」という言葉から受けがちなよどんだ感じの所ではなく、 表流水がよく動く湿地や、湿ってはいるが排水がよく、地下水のよく動くところに多い木です。 相当大きくなる木で、真っ直ぐな幹が立ち、ひろい河の岸辺などに林(河辺林)をつくっているようすは大変美しいものです。 ここに示した写真は、滋賀県西部の放棄水田に成立した若いハンノキ林のようすです(右写真:滋賀県伊香立(2000.6.23))

1月には人の目を引くほどかなり大きくなっいる雄花の花穂(かすい)は、3月にはいるともっと大きくなり、花粉を飛ばすようになります。 まだ葉が展開しないうちに花を咲かせる、春を告げる木の一つとして親しまれる木です。

 花を咲かせるといっても、この木の花はウメやサクラのような目だった花弁がありません。 一本の木に雄花と雌花が別々につき、雄(♂)花はネコのしっぽのようなヒモ状の穂になってぶら下がっています。 このような花の着きかたを「尾状花序(英語ではcatkin:猫のしっぽ)」とよんでいます。 ハンノキの場合、雌(♀)花の花序(果穂)は雄花の直ぐ下の葉の付け根についています。 はじめは目立ちませんがやがて大きくなって、楕円形のマツカサのような実ができます。

雄花が尾状花序になり、雌花がだ円形のマツカサのようになるという特徴は、 カワラハンノキ、ヒメヤシャブシ、オオバヤシャブシなど、ハンノキ属に共通する特徴です。 ハンノキ属の中での区別は、葉の形や実のつきかたなどでかなり楽にできます。

ハンノキ属の樹木の根には放線菌との共生によってできるといわれる根粒があって、 空気中の窒素を固定するので、オオバヤシャブシなどが肥料木としてよく植えられています。