ハナミズキ (アメリカヤマボウシ) Cornus florida

ハナミズキ(長居植物園:2000.5.3)

ハナミズキ(長居植物園:2000.5.3)

ミズキ科* ミズキ属 【*APGⅢ:ミズキ科】

Cornus:Cornu(角:材が堅いので)から  florida:フロリダの

わたしが初めてハナミズキを見たのは私市にある大阪市大理学部付属植物園に勤めたときですが、 その頃、この植物はアメリカヤマボウシとよばれていました。4、5月頃、葉が出る前に4枚の花びら(正しくは苞)をもった花を咲かせ、たいへん華やかな雰囲気をもっている一方、秋には葉が美しく紅葉し、さらに真っ赤に熟した果実が深く澄んだ青空にはえて、 実に素晴らしい木だと思いました(右写真:長居植物園(2004.10.17))。その名のとおり北アメリカ原産の代表的な花木のひとつで、 米国名 Flowering dogwood とよばれています。Dogwood というのはどうやらミズキ科の樹木全般を指すようです。

日本にはもともとヤマボウシという木があり、やはり純白の4枚の苞をもった花を咲かせます。 ただこちらの方は花が咲くときにはすでに葉が出ており、ハナミズキほどの華やかさはありません。 そんなわけでこの木が庭木や公園樹として使われることはさほど多くなかったのですが、 最近は新しい団地などの植栽によく使われるようになりました。両者は苞片(花弁のようにみえるもの)の先端がヤマボウシではとがっているのに対し、 ハナミズキでは少しくびれているので容易に区別できますし、葉や果実の形でも区別できます。

わたしがハナミズキを知った頃は白花種ばかりで、赤や桃色のとても美しい品種があると聞き、 一度見たいものだと思っていました。その後タキイのカタログなどにひどく高い値がついて載るようになり、 やがて時々目にする機会が増え、今では各地にハナミズキ園がつくられ、赤花種が公園や学校、団地などでもごく普通に使われるようになりました(写真左:白花種、右:赤花種(いずれも長居植物園(2001.4.14))