ゲッケイジュ  Laurus nobilis

ゲッケイジュ(大阪府都市緑化植物園:1999.9.19.)

ゲッケイジュ (大阪府都市緑化植物園:1999.9.19)

クスノキ科* ゲッケイジュ属 【*APGⅢ:クスノキ科】

Laurus:緑(常緑)を意味するラテン語 nobilis:気品のある

ゲッケイジュの花(万博記念公園:2002.4.13) 前年の12月頃からつぼみがふくらみ、ほんのり黄色く色づいていたゲッケイジュの花が4月初旬頃から咲きはじめ、5月に入るころにはいつの間にか満開をすぎてしまっています(右写真:万博記念公園(2002.4.13))

 ゲッケイジュは地中海地方原産のクスノキ科の常緑樹で、葉や枝に芳香があり、昔から薬用や香辛料として利用されています。ゲッケイジュの生葉や乾燥したもの(ロ-レル)をカレーやシチューなどに入れたり、お菓子の香味料にされた方も多いと思います。日本へは明治39年(1906年)ごろフランスから導入されたそうですから、来てからまだ100年ほどしか経っていないことになります。木の高さは5~10m、葉は革質で、長さ5~15cm、幅2~4cm、表面は濃緑色、下面は緑色で縁は多少波うっています。

古代ギリシャやローマではゲッケイジュの小枝や葉を編んだ、いわゆる月桂冠を凱旋将軍や大詩人に捧げたとされています。特に大詩人に「桂冠詩人」として月桂冠を捧げるのは、この葉の常緑性が不朽の名声を象徴するだけでなく、葉の持つ麻酔性が詩的霊感を授ける木として神聖視されたことによると言われています。

薬用植物図鑑によりますと、「葉を月桂葉(げっけいよう)といい、化粧品あるいは食品の香料にされる。また、果実を月桂実(げっけいじつ)とよび、芳香性健胃薬とし、また、葉から得られる精油(月桂油)はリューマチまたは介蘚(かいせん)などの塗布薬にする」とあります。果実は10月ごろ黒紫色に熟すそうですが、ゲッケイジュは雌雄異株ですから、全ての木に実がなるわけではありません。私自身、ゲッケイジュの果実をはっきりと見た記憶がありません。

ゲッケイジュはヨーロッパでは極めてポピュラーな木で、スタンダード仕立てで栽培されることが多いそうですが、日本ではカイガラムシの被害を受けることが多く、観賞樹としての栽培はうまく行かないことが多いようです。