ボケ Chaenomeles speciosa

ボケ(縮景園(広島市):2000.3.26)

ボケ (縮景園(広島市):2000.3.26)

バラ科*(ナシ亜科)ボケ属 【*APGⅢ:バラ科】

chaino:裂ける meles:りんご
speciosa: 美しい、きれいな

ボケは高さ2~3メ-トルの株立ちの潅木で、花色や花弁の数によってシロボケ、サラサボケ、東洋錦などかなりたくさんの品種があります。 ふつう3月の終わりから4月頃、葉の出るまえに枝いっぱいに花をつけます。 花の大きさは品種によって多少異なりますが、直径2.5~3 cmくらいにはなります。 短い枝がトゲ状になることが多く、人や動物の侵入を防ぐために、この木でよく生け垣をつくります。

ボケは中国原産の樹木ですが、かなり古い時代に日本に導入され、 平安時代にはすでにあったとされています。ボケという名前は、この木に当てた漢字、木瓜(もっか)がなまったものと考えられています。 瓜のような形と色をした果実が木の枝にくっついているところからつけられたものでしょう。 ただし、中国で木瓜という名前は同じ属の高木、カリンに当てられ、 ボケには貼梗木瓜という字が当てられています(中国高等植物図鑑)。

ボケ(縮景園(広島市):2000.3.26.) ボケには真冬から早春にかけて真っ赤な花をつける品種があり、ヒボケまたは寒ボケと呼ばれています(右写真:縮景園(広島市):2000.3.26)。 例年は1月下旬から2月にかけて咲き始め、他のボケが咲く頃には盛りをすぎているのですが、 ロウバイやマンサクなど、寒い季節に咲く花には淡黄色のものが多いなかで、ヒボケの鮮やかな赤色は人目を引くに十分といえるでしょう。

 ボケの仲間は日本にもクサボケが自生し、本州や九州の原野でかなりふつうにみかけます。 ボケにくらべ幹が細く、高さも0.3~1mで半匍伏性です。 花色は赤ですが、白花のものもあるそうです。ボケとクサボケは葉縁の鋸歯が鋭いか(ボケ)鈍いか、 葉の先端が尖っている(ボケ)か鈍頭かなどで区別されますが、 ボケの品種の中にはクサボケとの中間的な性質をしめすものが多いとされ、 両者の間にかなりの雑種が作られている可能性があります。

日本ではボケの果実を焼酎につけてボケ酒を作りますが、 中国の図鑑には、干した果実を薬にし、「能舒筋活絡、駆風止痛」と記載されています。