アメリカキササゲ  Catalpa bignonioides

アメリカキササゲの果実(2000.7.7(大阪府立大学)

アメリカキササゲの果実 (大阪府立大学 2000.7.7)

ノウゼンカズラ科* キササゲ属 【*APGⅢ:ノウゼンカズラ科】

Catalpa : アメリカキササゲ bignonioides : ノウゼンカズラに似た

アメリカキササゲという名前と、細長くて、ササゲそっくりの実の形を見れば、この木はマメ科に ちがいないと思う人がいても不思議はありません。しかし、このマメのようなサヤを割ってみると 中にはマメはなく、古い和紙を引きちぎったような、両端が繊維状になった、うすくて細長いタネが 入っていて、マメ科でないことが納得できます。そういえばマメ科には対生葉をつける種は ありませんが、この仲間はみんな葉を対生させています。

キササゲの仲間は、北アメリカに2種、東アジアに3種があり、いわゆる隔離分布する種類の 1例といえますが、日本には自生種はなく、現在日本にあるのはいずれも中国または北アメリカから 導入されたものです。なかでもキササゲ (C. ovata) はかなり古い時代に中国から薬用植物 として導入され、栽培から逸出したものがときどき野生状態になっていることがあるそうです。 しかし、私の見る範囲がせまいせいか、大阪近辺で野生状態になったキササゲを見た記憶はありません。

 アメリカキササゲはキササゲに比べて日本へ導入された歴史は新しく、明治の末だといわれて います。キササゲにくらべ花が多くてしかも色や模様が美しいので、公園や学校によく植えられてい ます。花の時期はちょうど5月頃で、釣り鐘型の花のさきがくちびる型に切れ込んでおり、同じ科の ノウゼンカズラの花に似ていて、類縁関係の近さを感じさせます。

アメリカキササゲは本来10数mの高さになるそうですが、わたしはまだそんな大きな木をみたこと がありません。むかし、交野市私市の大阪市立大学理学部付属植物園に大きなハナキササゲ (C. speciosa) がありましたが、今は枯れてありません。