アメリカデイゴ  Erythrina crista-galli

アメリカデイゴ(大阪市北区天神橋1:2009.9.6) アメリカデイゴの結実(大阪市北区天神橋1:2015.9.15)

アメリカデイゴの花と果実 (大阪市北区天神橋1:左:2009.9.6、右:2015.9.15)

マメ科* (ソラマメ亜科) デイゴ属 【*APGⅢ:マメ科】

Erythrina:erythros(赤)から crista-galli:鶏のとさか

デイゴの仲間は、本来熱帯から亜熱帯にかけて成育する樹木または潅木で、 世界におよそ50種があるとされています。日本では沖縄のデイゴ(E. varie-gata)が大変有名ですが、 東南アジア原産のこの種は本土の冬の寒さに耐えられず、植栽分布の北限は奄美大島あたりとなっています。

アメリカデイゴ 日本の本州、四国、九州の暖地で生育できるデイゴの仲間は、大きく分けてアメリカデイゴとサンゴシトウの2種類があります。 この両者のあいだではアメリカデイゴのほうが耐寒性があり、冬には細い枝は枯れ込むもののかなり太い幹をもち、 樹高も4~5mくらいになった木を各地で見かけます。ちょうど梅雨時分から花を咲かせ、秋の終わり頃まで咲いています。 沖縄のデイゴが葉の展開前に真紅の花を咲かせるのに対し、アメリカデイゴのほうは開花時にすでに葉の展開が終わっており、花色も、強く反り返った旗弁はオレンジがかった赤色になっています(右写真:大阪市北区天神橋1(2009.9.6))。 ただし、二枚の舟弁がくっついて筒状になった部分はもっと濃い紅色になっています。 この種はかなり変異の幅が大きいようで、3出複葉の小葉の形が丸いものをマルバデイゴとして区別することがあります。

サンゴシトウ もう一つのデイゴ、サンゴシトウ(E. × bidwillii)は、たとえば大阪では冬に地上部がほとんど枯れ込んでしまい、 毎年春になってから 新しい枝を伸ばしますので、アメリカデイゴのような大きな木を見ることはありません(右写真:長居植物園(1999.9.5))。 また、花はペンシル形で蝶花とはなりませんが、1mにおよぶ長い花穂に真紅の花をつけた姿は大変美しく、ひときわ目を引きます。 サンゴシトウは、アメリカデイゴと E. herbacea の交配によってつくられました。

カイコウズ なお、アメリカデイゴのことを海紅豆(カイコウズ)と呼ぶことがあり、また、そのように記載した図鑑もありますが、 多くの本ではそれは誤りで、カイコウズとはナンバンアカアズキ(Adenanthera pavonina)をさすと書いてあります。 バンコクのカセサ-ト大学構内にもこの木があって、12月頃ちょうど実が熟していましたが、直径1cmほどの、堅くて艶のある鮮赤色の種子はまるで宝石で、海紅豆という名前がぴったりの気がします(右写真:ナンバンアカアズキ 1989年採集)