●セットリスト
御協力:hiroさん
kawachiさんによるライヴ・レポートです。
席:1階H列4番私にとって「ムーンストーン」以来のオリジナル・ラヴのライブだった。独身の頃は毎年行ってたけど、結婚して二児の母になった今は平日はほとんど行けない。今回は夫の理解があって行くことができた。
なんばHatchは初めてだった。電車を乗り継いで6時50分に着いた。
「ジェンダー」で幕を開けた。田島はバイソン柄のジャケットで登場した。
「美貌の罠」を生で聴けたのが嬉しかった。
なるほど、確かに今回のギターは田島が言うように、少し不良の匂いがする音色だなあ。でも序盤歌詞の間違いが多くてどうなるかと思った。
「ZIGZAG」の後のMC。
「初日ということで時事ネタでも話そうかと思って、今朝新聞をじっくり読んだけど、いざとなると何も出てきません(笑)。去年の夏以来ライブをやってなくて、キャンペーンとかやってたから、歌い方もギターの弾き方も忘れてしまいました(笑)。で、カラオケ行って歌の練習してたんですよ。この間、スチャダラパーのボーズと、電気グルーヴのピエール瀧と、清水ミチコさんと僕とでカラオケ行ったんですよ。そこで清水さんがユーミンのものまねをして、僕と一緒に「太陽の逃亡者」を歌いました(笑)。」
これで緊張がほぐれたのか、「髑髏」の歌い出しから田島の歌声が一気に艶めいた。「カフカの城」では、佐野康夫のしなやかで力強いドラムが切ない歌を引き立てていた。
「流星都市」を生で聴くのは12年ぶりだった。優しさと包容力に溢れていてじわじわと沁みてくる。「妖精愛」はけだるく妖しく、「セレナーデ」は語りかけるように。どちらも初めて生で聴いたけど、今の田島が歌うと凄くいい。
鹿島達也のウッドベースと松本健一のサックスが導く「夜とアドリブ」。田島のまったりした歌が加わると、妖しい夜のムード満点だ。
そして田島がピアノの前に座り、観客を座らせた。「プライマル」をじっくり聴かせてくれた。
これも12年ぶりの「ミッドナイト・シャッフル」。四十男の色気と凄みにグッときた。
やはり「接吻」の吸引力は凄い。途中の甘くささやくようなフェイクも最高だ。最後でほんの少しひねってあった。
「13号室からの眺め」では、共作したギターの木暮晋也との絶妙なハーモニーを聴かせてくれた。
「The Rover」や「Jumpin'Jack Jive」ではやっぱり大声で歌ってしまう。「JJJ」での掛け合いの中で「いちびり(お調子者の意味)」なんていう濃い関西弁が出てきて大笑いしてしまった。
「鍵、イリュージョン」はCDの悲しげな感じとは違って、静かな愛の誓いのように優しく包み込んでいた。
アンコールでは、ゆったりした「ムーンストーン」が心地よかった。
「夜をぶっとばせ」の軽快さを引き継いだような「遊びたがり」は、上田禎のピアノもごきげんだった。
2度目のアンコールは弾き語りで「明日の神話」。おおらかで説得力に溢れていた。
約2時間半の今回のライブではカバー曲はなかった。ミディアムやバラードが中心の選曲もあって、歌に酔いしれた。言葉をかみしめるように柔らかく聴く者の心を包み込んでいる姿を見て、やはり田島貴男は歌手なのだな、と思った。
いい歳の取り方をしてるなあ。