2000年5月27日(土)
東京:フジテレビ内スタジオ


●セットリスト

  1. 女を探せ!
  2. ダブル・バーガー
  3. 地球独楽
  4. MP (SXSW の3曲目)
  5. 羽毛とピストル
  6. (インスト)
  7. ティラノサウルス
  8. R&R

田島貴男 (VOCAL and GUITAR)
沖山優司 (BASS)
木暮晋也 (GUITAR from ヒックスヴィル)
平井直樹 (DRUMS from ブンブン・サテライツ)
松本健一 (SAX)
L?K?O (TURN TABLE)


丸山さん

 クレイジー・ケン・バンドの演奏終了後のセットチェンジを経て、「最後は僕たちオリジナル・ラヴのライヴで楽しんで下さい」という田島っち自身のアナウンスと共に、脇からライヴメンバーがぞろぞろ登場。

 田島っちのGuitarはいつものアメリカンショースターでなく、ギブソンのファイァーバード・モデル('94年夏のツアーで田島っち曰く“ステージの視覚効果を考えて”「The Rover」演奏時に使われていたGuitar)。服装は予想通り? 司会のときと同じ格好(上は黒のポロシャツにダークブラウンの皮のヴェスト、パンツはソフトジーンズ)で、ダサダサモード全開。

 木暮っちがマッシュルーム・ヘアに変わっていてちょっと驚きましたが、もっと驚いたのはL?K?Oのプチ・アフロヘア。ちなみに木暮っちのGuitarは、彼のメインギターであるフェンダー・ジャズマスター。

1. 女を捜せ
 レコーディングが既に終了していたからというのもあるのでしょうが、歌がよく練れてきたという感じです。それと、現時点でもはっきりとは聞き取れていないのですが、歌詞が“XXX”ツアーの時と聞いた感じが違っていたので、最終的な段階で歌詞が変更されたと思われます。

2. ダブルバーガー
 松本氏は今回は専らエレピの前に座ってキーボード・プレイヤーに徹した感じで、メイン担当楽器であるサックス・プレイは結局この曲でのみ聴けました。
 この曲も先程の「女を捜せ」同様、歌詞を手直ししてレコーディングされたのでしょう。“XXX”ツアー時と比べて、聴いた時の印象が違っていました。
 ブレイクでのL?K?Oのスクラッチの入れ方が、演奏と上手く噛み合っていました。バンドとしての演奏も、前回のツアーで培われたコンビネィションの成果が現れて、アンサンブルがよりタイトに引き締まった感じがありました。

 ここでヴェストを脱ぐ田島っち。ポロシャツはフレッドペリィだと、他の人から教えてもらって初めて気付きました。

3. 地球独楽
 最初、「次の曲は“チキュウゴマ”です」と聞いてもどういう漢字を書くのか、浮かびませんでした。恥ずかしい。
 演奏の途中で変な手の動きを見せる田島っち。曲の印象は“夜の窓辺で星を眺めるような”エレピの音色が印象的で穏やかなメロディ。でも歌詞には何か力強いイメージを受けました。
 ステージでは珍しく(気のせい?)、ギターソロを田島っち自身が弾いていました。

 MC:「いつもと違って新曲をたくさんやるので、今回は新曲発表会という感じです」
  「次の曲は“MP”という曲です」

4. MP
 一聴したときの印象は、“FIREWALKING”ツアーでリアレンジが施された「ブロンコ」に、更に変拍子を入れたような曲。ドラムンベース的なリズム・アプローチも取り入れられていたりと、ただシンプルでタイトなだけでなく、複雑なリズムアレンジもありました。
 この曲を聴くと、最近の田島っちのリズムの嗜好が“Groove”から“Beat”に再び戻ってきたということがよくわかります。そういう意味では、どちらかというと“Beat”を得意とする平井氏の起用は正解だったということでしょう。
 松本氏のチープなシンセソロも印象的でした。

 MC:「司会の後に演奏するのは不思議な気分です」
  「いつもはMCをあまり入れないんですが、今日はたくさんMCを入れてしまいたくなります」

 MC:「次の曲はアレンジ変えました」

5. 羽毛とピストル
6. 〜(インスト)

 この曲で木暮っちはギターシンセに持ち替えました。
 個人的にはこの曲が一番ぐっときました。リアレンジが施されたことで、より一層ソウル・テイストが増えた感じです(もともとがソウルを感じさせる曲だというのもあるとは思いますが)。現時点での彼なりのソウルに対する解釈や距離感が、この曲で伺い知れたという感じです。
 L?K?Oが演奏の間に挟み込むDiscのSelectも、OLの楽曲により深く関わるようになったことで、一層焦点が合ってきたようです。
 そういえば、今回のステージではLiveでの演奏回数がまだ少ない曲が多かったからか、田島っちはあまり暴れてませんでした。そう書くと「物足りないステージだったのか?」と思われるかも知れませんが、個人的にはそれが逆に、演奏に集中しているように感じられたのです。そのせいか、曲の合間の「ベイベェ〜」で変に叫んだりせずに、ファルセットでの抑制された歌い方で良かったんです。
 曲はそのまま『XL』収録のStudio Live Versionと同様にインストへと繋がりましたが、残念ながら“エロエロショウタイム”はもうありませんでした。

7. ティラノサウルス
 そのまま小刻みにギター・カッティングを続けて、この曲を歌い始めました。
 間奏の部分は、Liveで繰り返し演奏されるうちに徐々に爆裂モードが加わっていた最近の感じよりも、むしろ『ELEVEN GRAFFITI』収録のOriginal Versionに近い雰囲気を感じました。
 もう幾度となく演奏しているからでしょうが、この曲の演奏時には田島っちもかなり激しくステージ上を動きまわっていました。

8. R&R
 田島っちは赤いGuitar(型名はわかりませんでした)に持ち替え、木暮っちはテレキャスターに持ち替えるのですが、ストラップが切れたのか、なかなかGuitarに付けられない様子。とりあえずモニターに片足を乗せてしばらく弾くも、結局諦めて先程のギターシンセに戻していました。
 この曲も今日のステージで初めて聴いたのですが、曲の感じを無理矢理過去の楽曲に喩えるならば、Guitarのストレートに太い音色の辺りから「GOOD MORNING GOOD MORNING」に似ているように感じました。“ロックンロール”という言葉から受けるようなステレオタイプな曲というよりは、むしろ田島っちのフィルターを通して出されたという、ちょっと捻った感じがしました。
 田島っちは途中でGuitarを降ろして、最後までスタンドマイクを掴んで歌っていました。

 「ニューアルバムよろしく」との田島っちの言葉を最後にメンバーが退場して、オリジナル・ラヴのStageは終了しました。



 以下簡単ですが、当日のその他の出演アーティストについて。

1. Kayoko
 変則チューニングを多用したアコギによる弾き語り。特に何かが新しいという感じではありませんでしたが、もっと聴いてみたいと思わせてくれる曲を披露してくれました。
 Guitarもとても上手かったです。

2. バンバンバザール
 Vocalist曰く「年間100本以上のLiveをここ数年行っている」ということで、観客ののせ方を心得ているすごく安定したStageでした。
 サックスやハモンドを加えた編成や、リード・ギタリストがセミアコースティックを使用していてウェットな音を出していたりといったところが、『LOVE! LOVE! & LOVE!』の頃のオリジナル・ラヴ風に聞こえました。ただ歌詞は大事マンブラザーズ・バンドみたいな、ちょっとずっこけな感じでしたが。
 ベーシストのステージ・アクションはベタだとわかっていながらも、すごいと思ってしまいました。

3. WRENCH
 個人的にはオリジナル・ラヴ以外の4組の中では一番良かったです。彼らの演奏は勢いだけの単調な演奏だろうと勝手に決め付けていたのですが、思っていたより(失礼)表現力の幅を感じさせるような、しっかりしたアンサンブルを聴かせてくれました。
 聴き手に対して喚起と覚醒を促すような彼らの曲には、The Mad Capsule Marketsの「神歌」のような印象を持ちました。ただ、演奏が始まった途端に彼らの参加枠で来た人たちが、廻りながらモッシュを始めたのにはちょっと驚きましたが。

4. クレイジー・ケン・バンド
 7〜8年くらい前だったらカッコ悪いとされたであろう曲やStagingなのですが、今観るとそれが“3回ぐらいひっくり返った後のカッコ良さ”になっていると感じました。
 剣さんとメンバーとのちょっとした寸劇風のステージ・アクション(セットチェンジの時にステージ上で打ち合わせをしていました)があったりと、観客を楽しませようという、徹底したエンターテイメント振りを観せてくれました。

 曲の合間での剣さんと観客のコール&レスポンス
  剣さん「いいね!」
  観客 「いいね!」

 いずれも今回始めて観る人たちばかりですが、どれも楽しめました。


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Page Written by Kiku^o^Sakaaki