今回のライブの感想はまさに悲喜こもごも。「Wedding of the Housefly」での演出(ディスプレイに模した箱をかぶって登場、 スイッチを入れて曲が始る)は、どちらかというとクラブ仕様で、 野外だとちまちましてしまう。また出だしから1/3の間は特に、 昨年のツアーと基本的に曲順が変わっていないのが気にかかった。 ティラノは、元々の曲構成からして幅広いアレンジに耐え、97年 以来ライブには欠かせない曲となっているが、欲張って色々詰め 込みすぎて、今回は消化不良の印象。「break through…」以降 の展開など面白い要素は沢山あるのに。問題の大車輪のホーン アレンジにも変化が無く残念。 SMのイメージは「羽毛とピストル」にあったので、「インソム ニア」でベルトはずすとは思わなかった(笑)。でも折角振り回した ベルトをまた締めるのはちょっとマヌケ。(^^;; (この後皮パンを 引き上げる仕種がライブ中2〜3度見受けられたと思うが、やせたの ですか、田島さん?)演奏面では、もっとたたみかけるように生 リズム隊を絡めてもよいのでは。 ターンテーブル2台のブロンコ。そして宝島。打ち込みやターン テーブルを絡める音楽のツボは、サウンド面の斬新さよりリズムの つくりかも。ライブもこの辺までは「祝・佐野康夫 Original Love 復帰!」という感じで、佐野さんの魅力がライブを引っ張る。 日も暮れてきたところで「Stars」。この曲でキャデラックを 使っているのは初めて見た。貞子の呪縛(ドラマ主題歌、テレビ 放送といった枠組み)から野外という空間に解き放たれて、よう やく音の重厚さと曲の真価を見た気がする。心地よかった。(^^) ゲストのゴローさん登場で「青空の向こうから」。彼のアルペン ホルンのような(?)管楽器の事は何も知らないが、ニューオーリン ズから一気に舞台がアフリカに飛んだような、原始的なFunk。 ギタリストとしての田島さんの魅力も引き出されたセッション。 そのゴローさんも加わっての「Hum a Tune」が個人的な今回の ベストプレイ。ゴローさんの楽器の地鳴りのようなうねりに、曲 全体もアフリカの大地を歩いて行くような印象。振り上げた両手の 指先まで、生きる喜びに満たされるような心地良さ!。続けて 「Let's Go!」この辺はもう、盛り上がりまくりの、叫びまくりで、 まさに最高!の状態。 でも「Let's Go!」のエンディングのアレンジに盛り下げられて しまった。(T-T) 何を絡めても構わないが、最後にピシャっと リズム隊のキメを持ってこないと、折角のグルーヴィーな状態が フェイドアウトされて心地悪い。羽毛にも同様の感想。(しかし松本 さん、お疲れ様でした。) 「水の音楽」はリズムの細さ・不安定さが気になった前回ツアー より、佐野さんの加入によってぐっと演奏力がアップ。ヌキが にくい! 個人的には生ピアノを加えてほしいところだが、この曲 の醍醐味である、歌詞も含めたまさに水の流れのような全体の うねりがでて安心して聞けた。それに田島さんは、やはり歌える人 なのだということにじんとくる。 本編最後はステージに松明のような炎をともして、昨年のツアー と同様のインスト曲(?)。「キャンプファイヤー」というより(笑)もっと 原始的なイメージを感じた。ただ、ネタを知ってしまっているので、 今一つスリルは感じられず。新曲につなげる等、新たな展開に 期待。 サビがピチカートの「陽動作戦」に一瞬重なる「冒険王」。CD での印象は「オルタナ版 Your Song」。しっかし、よくあそこまで へそ曲がりな仕上がりにしたもの。いびつさが奇妙に印象に残るが、 ライブでの演奏は思ったより素直な展開だった。そしてアンコール の見せ場、「ハニーフラッシュ」。踊っていて「なんてアホな名曲 なんだ! (T-T)」と感涙。花火は予想はしていたが、許せるお約束。 最後の絶叫には、もう何も言うことない! (しかし、「変わるわよ」のサンプリングはしつこいぞ!) なんだかんだ言いましたが、Original Love初の野外ライブ自体 は十分楽しませて頂きました。汗だくで蚊の餌食となりつつ踊り 狂った解放感! (^^;; 同じツアーの中でクラブも野外も演出する のは、客の想像以上に大変なのでしょうね。帰ってから「L」を聞き つつ思ったのでした。