ORIGINAL LOVE presents 《BURST!》

第106回 (2001年4月5日放送)


<オープニング>
T「今日はこの番組でお馴染みのホッチャレーベル小林ヒロユキさんの登場であり
 ます。」
M-01.アポトーシス/オリジナルラヴ
<近況>
 僕ね、遂にサックスを始めまして。サックス吹きを。先週、松っちゃんが『使っ
てないサックスがあるから』って言うんで借りに行きまして、松っちゃんに僕ん所
のプライベートスタジオに来てもらって『1日サックス講習』をしてもらいました。
それから吹き始めてですね、もう既にジョンルーリーくらいは抜いたかなと(笑)
かなりね!俺、脈があるんじゃないかという感じですね。松本君も『こんなに最初
から吹けるヤツはあんまいないよ』とか言って誉めてくれました。それで図に乗っ
てもう毎日吹きまくってんですサックスを。かなりイイ感じですね(笑)。最初は
音色が吹奏楽部みたいな感じになりがちだったりするらしいですけど、あの僕最初
からね、アルバートアイラーみたいな音するんですよ。なんて(笑)。いや何かね、
『あ、すげージャズマンっぽい音色じゃない?これ!』とか言って松っちゃんと盛
り上がってですね(笑)、おとといぐらいからもう8時間ぐらいずっとサックス吹
いてましたから。それぐらいサックス今盛り上がってるんで、次のライヴで早速吹
こうかなーなんていう風に今思ってる感じでありまして。4月にちょっと一発ライ
ヴあるんですけど、これは『DMBQ』と『あぶらだこ』と『オリジナルラヴ』という
(笑)凄い組み合わせですけどね。そこでまあサックスはおそらく吹くでしょうと
いう感じでね、皆さん時間がありましたら是非来て頂きたいと思います。それから
いろいろそう、最近はサックス吹いたりとか、あといろんな友達のライヴ行ってみ
たりとかして結構遊んだりしてきたんですけど先週は。

<今週のリコメンド>
 先々週のレコメン拡大版の中の『ロマンソニー』ね。僕がちょっと気になってた
歌モノの変なハウスの人ですけど。そのロマンソニーを今日はかけます。この全体
から香ってくる匂ってくる『オカマ』の香り。オカマのカッコイイ美しさっつった
らいいんですか?これをちょっと浴びて頂きたいという感じですけどね。ソフトセ
ルのマークアーモンドと同じバイブレーションね(笑)感じますけども。では聴い
て下さい。


M-02.ナウユーウォントミー/ロマンソニー


<談話室バースト!>
ゲスト:小林ヒロユキ 以下:K

T「今日のお客様は、最近またカリスマイベントオーガナイザー振りを発揮してい
 るという噂の小林ヒロユキさんです。どうも。」
K「(笑)。どうもですー。」
T「凄いですね。カリスマイベントオーガナイザー。」
K「いやいや、ダメですね全然もう(笑)。」
T「(笑)。イベントは最近どういうのをやってんですか?」
K「最近もうDJは全部抜かしちゃって、バンドだけなんだけど、DJミックスみたく
 バンドとバンドが繋がっていて…」
T「はあー。」
K「皿を変えてく様に。まあパーティーなんだけどバンドだけっていう、そういう
 のをやっててですね。」
T「あ、そうなんだ。」
K「で、あらゆるブレイクビーツあり四つ打ちありまあパンクバンドありっていう
 形で。」
T「うん。」
K「結構分裂してるんですけど、一貫してみると何か最後に残るようなイベントや
 りたいなと思っていろいろやってんですけど。」
T「あ、ホントに?月いちぐらいとか?」
K「いや、月いちやると壊れちゃいますね体が(笑)頭の中も。」
T「あー(笑)なるほどね。」
K「結構活発にはやってるんですけどね。」
T「うん。というような…」
K「というような状況で。まあその中に『シカダ』というこれからかけるバンドも
 あり。前この番組で田島さん1曲まるまるかけて頂いて。」
T「そうそうそう。シカダの何だっけ?あの生意気な子でしょ?(笑)」
K「そうそうそうそう、生意気な子(笑)。」
T「何だっけ?あの…」
K「小川裕史。」
T「あ、小川君。いい感じだよね彼。」
K「いい感じでつっぱってて。いいでしょ?」
T「うんうん。」
K「あのつっぱりのままあと10年ぐらい突っ走ってくれれば、それはそれでカッコ
 イイんじゃないかと(笑)。」
T「うんうんうん(笑)。」
K「まあいいヤツなんですけどね。」
T「はい。で、そのシカダのライヴだったんでしょ?」
K「そうです。ライヴが最近頻繁にあってですね。まあ東京に限ってますけどライ
 ヴはいろいろやってですね。結構ポストロックとかそこら辺の連中から呼ばれる
 ようになってて。」
T「ふーん。」
K「まあただスキルがもう全然違ったりとかしてて、ギャフンと言わしてたりとか
 さしてますけど。」
T「うん。ポストロックって誰?」
K「まあトータスとかあそこら辺ですけど。」
T「あ、そうかそうか。うんうん。」
K「日本でもぽろぽろ今若いバンド出てきてますね。」
T「へえー。」
K「丁度だからダンスミュージックに飽きちゃった人が、まあ当然ポストロックっ
 てシーンが元々あったと思うんですけど、そこにどんどんシフトしてきてて。」
T「へえー。」
K「特にトランス飽きた人とかが流れてきてる状況ですね今東京のある一部では。」
T「はあーなるほど。じゃあそのシカダのライヴを。」
K「はい!」
T「(笑)ライヴを聴いてみましょうかね。」
K「はい。」
T「うん。良かったんだよねこれは。とあるテレビ番組ですよね?」
K「いや、とあるラジオ番組なんですけど。」
T「ラジオ番組、あ、そうかそうか。」
K「そこで公開録音したものですね。3人編成です。」
T「オーケー。はい、聴きます。」

M-03.(ライヴ音源)/シカダ

T「これライヴなの?」
K「ライヴですね。なのでほとんど音は重ねてないというか全然重ねてない状況で。
 まあ卓で同期さしてダブミックスをちょっとしたりとかしてるぐらいなんですけ
 ど。」
T「うんうん。卓の人ももう気心知れた人とかでやったの?」
K「卓もそうですね、元々岡山にいてメンバーでやってた人で。」
T「あ、そうなんだ。」
K「まあ3人編成でこういう事やってるバンドってあんまりいないんで、それはそれ
 で(笑)。」
T「なるほどね。何かあれだな『ポリス』みたいだな(笑)。」
K「あー。スチュワートコープランドのドラムの音。」
T「(笑)」
K「スネア叩いてないですからね全く。」
T「何かキーの音合ってないポリスみたいだね(笑)。」
K「キーの合ってないポリスね。そうそう。いびつな感じが。」
T「そう言ったら怒られんのかな?」
K「いや怒られない。多分それはオッケーなんです。」
T「あ、そう?(笑)」
K「いびつな感じがまた良くて。そこで完全にダンスミュージックに…」
T「へえー。でも何で彼はこういったハウスとかクラブミュージックをバンドでや
 るっていうのにこだわるのかね?」
K「そうですねえ、やっぱり…」
T「凄いそういうのは面白いなあと思いますけどねかえって。」
K「うん。元々グラインドコアっていうかナパームデスみたいなバンドをやってた
 人間が…」
T「ナパームデスって?」
K「あのー、ブラストコアですね。要するにハードコアの一番最速の。」
T「あー速いヤツ?ふーん。」
K「ブラストビートって言って♪ダダダダダー!っていうバンドをやってたんです
 けど、どんどんこういう風になってったっていう。」
T「あーなるほどな。」
K「うん。だから実際そうやって聴き方変えてきてる人がやっぱ90年代後半から凄
 く増えてきてて。まあそういった意味でもちょっと携わってるバンドなんですけ
 どね。」
T「あーなるほどね。これからでもどうなるか楽しみですね。」
K「そうですね。」
T「これを更にどんどん磨いていったらもっと面白くなるかもしんないじゃん?」
K「そうですね。次からの展開で要!乞う!ご期待!という感じですね。」
T「うん。ハードコアってやっぱつまんないな。最近ね俺思うんだよ(笑)。」
K「うん。いいハードコアも当然まだあるんですけど。」
T「うそ。え?」
K「あんまりオーバーグラウンドに出てこなくなっちゃってね。」
T「あー。でも『ハードコアってつまんねーよ!』って誰か言わないとダメだと思
 うよ。」
K「あーあーあー。」
T「誰もが若いヤツはハードコアやってさ。あれねくだらない。俺に言わせればね 
 (笑)。」
K「うん。」
T「やっぱみんなね、音楽は美術、芸術なんだから『美』を目指さなきゃダメだと
 ね、俺は最近思ったんだよ。」
K「うんうん。」
T「それは何でかっていうと、この間クリスチャンマークレイのライヴ行ってきた
 のよ。」
K「はいはい。」
T「それはコウ君と一緒にライヴやったヤツね。」
K「L?K?Oですね。」
T「そうそうL?K?O。それで見に行ったんだけど。もーー!ビックリしたんですよ!
 俺は!」
K「(笑)」
T「もうね『これが音楽だ!』と思った。っていう話を今日はちょっと(笑)えー
 とあとで話そうかな。」
K「ええ。まあクリスチャンマークレイ自体凄く昔と比べればキャパがまた増えて
 きてますよね。」
T「あーそう。クリスチャンマークレイやっぱねライヴで観ないとダメだよ。」
K「うん。」
T「俺もレコード聴いてたんですけど、全然っ!違った!」
K「うんうん。」
T「もう……っていうか、その話をじゃあ後でゆっくり話します。」
K「ええ(笑)。」

***
T「そうクリスチャンマークレイ行ってきてさ、もうねビックリしたのよ!ノイズ
 でね、ノイズっていうかああいう音響で泣けたの初めてだね!」
K「あー。どんな感じのライヴをやってたんですか?」
T「いや、普通に。」
K「ターンテーブルで?」
T「ターンテーブルで回して。あとソニックユースのギターのリーさん、その2人と
 あともう1人途中から外人さん、名前知らない人ですけど、その人イマイチだっ
 たんだけど。そのソニックユースのギターの人とクリスチャンマークレイのライ
 ヴ。すっばらしい。」
K「あー。」
T「もうね、僕の生涯のベスト10のライヴにこれ入ったな!と。それぐらい素晴ら
 しかった。もうね、涙が出てきてさ。」
K「ふーん。」
T「もうね、すっごい美しいのよホント。最高!あれはポップスだね、と思った。」
K「あー、もう、そう。ポップスになんなくちゃいけないですよね。」
T「もうね、普通の音楽とか知らない人でも感動すると思う。そのぐらいの美しい
 もので。『美』があったんですよそこに。」
K「うん。」
T「この人は結局美術家だと思った。ほいでシカゴ音響だ何だかんだとか影響され
 たとかいろいろ言われてるけど、全然っ別だ!と思った。」
K「うん。」
T「何が違うかって言うと、『美』の為に自分の人生を犠牲にできるかどうかって
 いうか。そういった意気込みを感じたのよ!」
K「うん。」
T「それでそれを完全に理解しているソニックユースのギターの人…何だっけ?」
K「リー・ラナルドですか。」
T「うん。もうこの人がソニックユースのギターやってんだと思うと、俺その時点
 でソニックユースにはかなわねーなと。凄い!と思ってさ。」
K「うん(笑)。」
T「もうね、ビックリした。」
K「でもおそらく、NYの70年代からのつき合いなんですよね?そこら辺のニッティ
 ングファクトリーまわり。」
T「あ、そうなんだ。結構年いってるよね?あのギター。」
K「年はいってますね、うん。」
T「うん。でもね凄かったよー。」
K「僕も観に行けばよかったですよ。」
T「あれはね!…観た事ある?」
K「僕は音源しか知らなくて。」
T「ダメ!あのね、絶対に観なきゃダメ!あれは!!」
K「(笑)わかりました。」
T「絶対にね!俺もう絶対薦めるよ。まるで考え方変わると思う。」
K「はい。」
T「俺もね、だから急激にわかってきてさ。『そうか!そうだよな!』と。もうね
 今までぼやけてたモノがスカッとこう見えたっていうか。本当にね『音』っつー
 のはやっぱり結局美しいものだっていうか。」
K「うんうんうん。」
T「で、そこにこうパーソナリティーがやっぱ反映されちゃうんだと思ってさ。た
 だ音だけ出してるのと全然違うから!クリスチャンマークレイは。」
K「あー。もうスピリットが入ってるとこが…」
T「スピリットが入ってるっていうかね、あれは要するにもう『美』をね、どうや
 ったら美しいモノがここに現出するかっていうか、そういった事をやっぱりずー
 っと考えて、その為に真空管の入った鉄製の変なターンテーブルになってしまっ
 た訳だし。」
K「うんうん。」
T「っていうね、全部理由がわかる訳よ。それでそのソニックユースのギターの人
 がもうそれを完全に理解しててさ。凄いよ、とにかく欲が無い。」
K「うんうん。」
T「『俺』が無いのよ。自分だ俺だとかそういったモノを全部犠牲にして『美』の
 為にこう何つーの?」
K「うん。」
T「だから何かそういう気がしちゃってさ。」
K「芸術家ですね、でもね。」
T「芸術家だよー。うーん。木暮と観たんだけど、もうねその後木暮とファミレス
 で大盛り上がり(笑)。」
K「(笑)」
T「『凄かったー!』『良かったー!』とか言って(笑)。うん、ホント。」
K「かつて『ラリーズ』観た時の木暮さんと田島さんのように(笑)。」
T「そうそうそう、ラリーズもそうだよ。でも裸のラリーズもね、ある意味でだけ
 ど、水谷さんって芸術家ぽい所あるよね。」
K「うん。」
T「あの人なりの『美』をやっぱりさ、多分追求してああいう風になっちゃうんだ
 けど(笑)。」
K「うん。」
T「だからジョイスのライヴ観た時と俺変わんない感動、一緒の感動だったよ。」
K「そうですね、うん。」
T「本当に良かった。」
K「何かいろんなアーティストが出てきてて。金じゃなくて『美』の為にっていう
 と、やっぱそのハーバートみたいな。」
T「ハーバートね。だからハーバートもそういう気がする。何かカタルシスを感じ
 る音響っつーか。」
K「ですね。そこのフィールドに収まっちゃいけないような音響。」
T「いや、っていうかね『何を君は表現してるのか?』っていうのがわかるんだよ。
 うーん。で、何かそれは感じてさ。」
K「うん。」
T「とにかくね、もう久し振りに感動した。パティスミスのライヴ観た時と同じ、
 一緒の感動だったの。」
K「なるほどね。」
T「いいもの見たー!と思って。良かった俺あん時行って(笑)と思ってさ。絶対
 観に行ってよ!」
K「行きます行きます。」
T「絶対!」
K「最近またポロポロ来るようになってる感じですよね。」
T「そうそうしょっちゅう日本に来てて。日本で人気あるんだろうって。で、行っ
 たらお客さん結構たくさんいてさ。『あー人気あるんだなー。何で?』と思っ
 て観たら『これは人気でるな』と。『なるほどそうですか』みたいな感じでね、
 ホントに良かった。」
K「あーそっかそっか。でもみんなホントいいモノに対してちゃんとお金払うよう
 になってるって事ですね。」
T「そう!あれはねお金払うもん。俺もっと払ってもいいと思ったもん(笑)。」
K「うん(笑)。」
T「『これ安い!』って思ってホント。そのぐらいのもんだったよ。うーん!感動
 した。だからねあれはエリックドルフィーとかああいった音楽であってもいいし、
 何かそれぐらいの水準行ってたね。『ここに俺のピアノと歌が入ったらまた凄い
 !』と思ったもんね(笑)。」
K「(笑)是非ともじゃあそれは。」
T「思ったりしたんですけど(笑)。」

***
T「取りあえずじゃあその『ハーバート』ね。」
K「そうですね。ハーバートの新譜が。」
T「ドクター・ロックイット=ハーバート」
K「ドクター・ロックイット as known as ハーバートですね。」
T「はい。」
K「で、新譜なんですけど、曲名が(笑)…」
T「『イッツ・オンリー』」
K「『イッツ・オンリー』っていうあの曲でですね、これは洋盤でもまだ出回って
 ないぐらいの感じなんですけど。ちょっとまた変わってきてるんですけどね裏が
 ありまして。」
T「はい。」

M-04.イッツオンリー/ハーバート

T「いい曲ですねー!」
K「いい曲ですね。浮遊感がまたいいですよね。」
T「素晴らしい!うん。やっぱ才能ありますねこの人。」
K「ありますね。前よりもしかもちょっと聴きやすくなってる感じがあって。」
T「そうだね。洗練されてよりこう何かね、ポップな、ポピュラリティーな所まで
 来た、みたいな感じの。」
K「来た感じありますね、うん。」
T「あとスタジオも。いいスタジオでやってそうだ、みたいな(笑)。」
K「ねえ(笑)。お金かけてる…」
T「(笑)。これ歌ってる子あれだよね?あのドクターロックイットに入ってる…」
K「多分ずっと使ってる白人の女性だと思うんですけど。」
T「そう。この番組で前かけたドクターロックイットのアルバムの…」
K「ええ。あのピンク色の。」
T「そうそう。あのジャズみたいな曲が入ってるアルバムの。あの女の子だと思う
 んですけど。彼女なのかな?これひょっとしたら。」
K「どうなんですかね?ただこの間のライヴ観た時はやっぱりこう彼女が出てきて
 歌って。」
T「あ、そうなんだ。彼女の声僕好きなんですけどね。」
K「いいですね。何か艶があって。でも凄い透明感がある感じですね。」
T「そう。悲しい感じ。このアンニュイな虚無感といい…」
K「虚無感…」
T「(笑)」
K「ちょっと僕『クレスプキュール』とか思い出してしまったんですけどね。」
T「あーーなるほどな、ヨーロピアンのね。」
K「うん。昔のヨーロピアンの感じもちょっとありきで。」
T「うん。いやーでもね、こうやってこう四つ打ちクラヴのフォーマットもある訳
 ですけども、そん中でこういった『痛み』みたいなもの、『美』みたいなものを
 ちゃんと表現できてる人ってなかなかいない。」
K「うん。」
T「ハーバート、ドクターロックイットはそれできてますね。」
K「できてますね。」
T「凄いですね。」
K「多分ジャンルじゃないんですね、もうね。」
T「関係無いでしょ。クリスチャンマークレイにしてもハーバートにしてもやっぱ
 りね、プラグインとかやたらガーッてやって『あ、すげー』とか言ってるけどそ
 れ『オマエが凄いんじゃなくてプラグインが凄いんだ』って。」
K「プラグインが凄いって事ですからね。」
T「何かねそういう気がするのよ。何かのムーブメントだジャンルがだとかそれは
 『オマエが凄いんじゃなくてジャンルが凄いんだ』って。」
K「うんうん。」
T「ハーバートもそうだしクリスチャンマークレイ観た時もね、その何て言うのか
 なー…人間からくるバイブみたいなものが素晴らしかったもん。」
K「うん。」
T「パティスミス観た時もね、パティスミス最近またよく聴いててさ。歌詞とかも
 読んでみて、小難しい事言ってんなとかさ(笑)思うんだけど。」
K「ええ。」
T「でも何かね、何がいいのか…このバイブレーションがいいんだよね。」
K「うん。」
T「その辺が最近自分にとって今そういうバイオリズムになっててさ。そういうの
 よく聴いてる。」
K「でしょうね。機械に対してどんどん人間が訴えかけられて、それで機械を超え
 てその人間が出てくるかって事だと思うんですけど。」
T「そうそうそう。だから『作品』ってそのプラグインの開発者が凄いっていう事
 になっちゃうと困っちゃうっていうか。それは本当にツールとして操って自分の
 ソウル・傷みたいなモノをここに美しさと結実できるかっていうとこだと思うん
 ですよね。」
K「うん。」
T「それはやっぱり並の人生じゃないんじゃないか?みたいな。」
K「うん。」
T「だから何かね…あ、並の人生でいいんですよ。誰しも並の人生ですよ俺もそう
 だし。だけど何かさあの(笑)、時に並の人生の中でも誰しもどうしようもない
 痛みなり何なり感じる訳であってさ。痛みなり喪失感なりわかんないけど。そう
 いったモノってさ、でも、喪失される事、何か無くなる事っていうのは美しさの
 元であるような気がしてね。それが芸術の『作品』となってるかどうかっていう
 事が最近パッとこう…だからクリスチャンマークレイのライヴ観た時に何かいろ
 んな事を考えちゃって(笑)。」
K「(笑)」
T「『そうか!』と。だから最近俺急に美術とか絵とかも凄い見たくなってきた。」
K「あーー。」
T「『ひょとしたらそうかも!』とか思っちゃって。今そういうモードなの。」
K「うん。よく生まれもってデッカイ穴があいててその穴を埋めようという作業が
 要するに『表現』みたいな。」
T「そうだね。わかりやすく言っちゃうとそうなんだよね。」
K「『欠乏してるモノ』っていうか。」
T「そう。でも、誰しもよーく感受性を持って自分なり他者なりを見渡して見ると、
 実は空洞ってものはある訳でさ、そこをちゃんと見据えてさ。」
K「うん。『逃げないで』って事ですね。」
T「そこに『美』を見て、作品にできるか、みたいな。」
K「うんうんうん。」
T「何かね、そんな気がしたのよ。」
K「うん。」
T「ハーバートって何か、この人の音楽って割と『痛い』っていうか、悲しいじゃ
 ない?」
K「悲しいですよね。」
T「ドクターロックイットもそうだしね。そこが凄い好きだな俺。」
K「うん。ワビサビもありますしね、ちゃんと。」
T「そうそうそう、うん。凄いカタルシス感じますよね。」
K「あ、でもそれってDJカルチャーん中でもやっぱりそういう『悲しみ』とか『憂
 い』が、ただ幸せなだけっていうだけじゃないものも当然ある…」
T「うん。まあでもDJカルチャーってのはまたお祭りのイベントを盛り上げる人達
 だから。」
K「まあそういう人達いますけどね。」
T「そう、違うからねー。」
K「ただ僕最近よく行くライフフォースっていうハウスの『ニック・ザ・レコード』
 っていうUKのDJなんですけど、彼とかはやっぱそこまで表現できてる感じがしま
 すね。」
T「あ、ホント?」
K「うん。憂いとかワビサビの世界っていうか。」
T「うん。だから『美』だよ『美』。『ビューティー』」
K「ですね。ビューティーですね。」
T「やっぱりそれをね、そこに今僕自分で興味あるんだよな。」
K「うんうんうん。でも田島さん昔からオリジナルラヴ一貫してビューティーって
 いうか美の世界を…」
T「そうだね。っていうかそうだったんだなっていうとこもわかった気がしてね。
 何かより凄い最近明確になってきた。」
K「うん。」
T「最近ってここ1週間ぐらいなんだけど(笑)。」
K「また来週になったら違くなってたりとか?(笑)」
T「違くなってるかもしんない(笑)。『祭りだよなー!』とか言ってっかもしん
 ないけど。」
K「すこが凄いんですよ田島さんは(笑)。僕が言ったら失礼ですけど。」
T「(笑)。でも何かね、今のモードそうでね。」
K「ええ。いろんな多面性があってそれが…でも一貫してやっぱ見てるものがある
 と思いますけどね。美としては凄く。」
T「そうねーうーん。何かそこに今自分の照準が行っちゃってるんだけど。」
K「うん。」
T「そう。それでサックスも始めちゃったりして。」
K「あー。何かいいと思いますよ。そうやって今オリジナルラヴがブワ〜っと多方
 面にこう吹き込んで…っつーか、爆発してる感じって。」
T「(笑)。爆発っていうかね、埋没っていうかね。」
K「埋没なんですか?!」
T「(笑)。こう何つーのか、バーッと埋没して研ぎ澄まされてるっていうか。割
 と自分では今そんな感じなんだよね。いろんなモノが見えてきちゃって。クリス
 チャンマークレイは完全にピンときた。」
K「うんうんうん。」
T「もう今この人と俺が一緒に音楽やれたら!と思っちゃってさ。」
K「(笑)。凄い世界になるんじゃないですかね。」
T「そう。いやぁどうしたら仕事発注できんだろ?とかさ(笑)思ったりしたんで
 すけどね。」
K「なるほど(笑)。」
T「という訳で今日はね…」
K「久し振りにちゃんとシリアスな話なんかしてしまった。」
T「そうね。ごめんね僕が一方的に(笑)。」
K「いや、とんでもないです。僕はもう若輩者なので聞かせて頂いて(笑)。」
T「何…(笑)。いや、いろいろヒントってのは転がっててさ。」
K「そうですね、うん。」
T「そこに1個1個気づいていかないとダメだなっていうかね。情報だ何だかんだい
 ろいろ惑わされずに…とね、最近思ってさ。」
K「うん。僕もまあ音楽に携わってる身としてやっぱりそこら辺には気をつけてい
 かないと。」
T「そうそう。一番基本的なね。」
K「そう、基本的な事ですよね。うん。」
T「うん。という風に今日思った『談話室バースト!』でありました。」
K「ええ。ホントに『談話』しましたね。」
T「談話しましたね。はい。」

<エンディング>
T「今日はすいません!僕が話…(笑)」
K「いやいや。もう談話室っていうかお茶っていうか。」
T「ホントにここ茶店でお茶飲んでる感じだね。お茶も今飲んでるし。」
K「お茶飲んでますね、うん。」
T「そうそう。茶店で小話をいろいろネタにね(笑)。すいませんホントに。」
K「いや。でも凄く面白いお話だったと思います。僕が言うのも何なんですけど
 (笑)。」
T「いやいや(笑)。という事で、今日のゲストは小林さん!」
K「はい!」
T「ありがとうございました今日は。」
K「どうもです。」
T「小林ヒロユキさんでした。バースト!来週また!」

 


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki