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幻冬舎版「星の砂漠」のカバーイラストができるまで


 「星の砂漠」は角川書店から97年に発売された漫画単行本です。

 初版のみで絶版になっていましたが、このたび8月23日に幻冬舎から復刊と なりました。
 また出版社に(売れなくて)迷惑かけやしないかしらとびびりまくりの今日この頃です。

 幻冬舎版と角川版の大きな違いは

*カバー書き下ろし
*巻末コメント友谷さん書き下ろし

 そしてなんといっても単行本サイズがA5サイズ

 掲載されていた少女漫画雑誌はA5版でしたのでこれで連載当時のサイズになりました。

 さすがA5版。綺麗な刷りあがりで、かけアミや髪の一筋ひとすじを隅々までB6角川版と見比べていただきたいです。
 より生原稿に近くなりました。
 (※発売後、私がもらった見本では青焼きよりも若干インクが多めに乗って全体的に濃くなってました。見本は店頭に並ぶものとは違うので、店頭用ではちょうど良くなっているかも。それでも角川のB6よりキレイです)

 で。
  アレ?」てな絵が、すごいです。
 本当にすみません。申し訳ございません。言い訳もありません。許してください。ごめんなさい。
アレだけでも直せば良かったと青焼き見ながらマジで青くなりました。※洒落じゃありません。
 過去は振り返らずに未来に向かって逃…走り去りたいと思います。
 
  さて、 当サイトでは何かあるたびにプチ感謝企画をやってきましたが、今回は時間も無ければネタも無く。
 新カバーを描きつつ悩んでいたらお猫神さまが机の上をちらりとご覧になるじゃありませんか。
 神様のお導きのままに、今回はこんなページを作ってみました。

 が、何しろ描きながら悩んでいたわけで、思いついたころには半分塗り終わってたんで…
 気が利かなくてすみません。
 この企画が好評なら次回の機会にはもうちょい準備しておきます…
じーっ

クリックで大きな画像へ  最初に案を数点出して編集さんと相談しながら構図などを決めます。
 今回は女子高生だけじゃなくメガネと金髪も入れることにしました。

■下書き〜

 A4のコピー用紙にシャープペンで、描き直しやすいように人物ごとに下書きします。
 ちいとも似なくて、勇気をふりしぼって単行本を開いて模写したり練習しました。何してんでしょうか。

 これをスキャナーにかけてフォトショップで人物位置を合成して、厚手の水彩紙でもトレスしやすいように黒めに補正してプリントします。
 おなじみの星座表もシャープペンで書いた下書きをフォトショップで拡大してプリント。

 昔はせっせとコンビニのコピー機に通ったものです。便利な世の中になりました。

 で。水彩紙のストックがありませんでした…

 通販で買った水彩ブロックとイラストボードの紙目を逆に注文してしまっていて呆然。
  いちまんごせんえんぶん!…封やぶいちゃったし返品は無理だしでしょげまくり。

 一応試し塗りしてみましたが、慣れない紙目に不安を感じて(落書きとか仕事に関係なければ新しい体験だと喜んで使うんですが) 翌日しょぼくれながら水彩紙を買いに電車に乗りました。

 いつもだと水彩紙を適当なサイズ に切ってそのまま使っています。
 私の場合、極端に紙を濡らし続けるので、いつも塗り終わった頃には印刷撮影に支障が出るくらい変形して水彩紙がベコンベコンに波打っています。
 いつもは、ま、いいや、と塗り終わった後に適当に重しを載せて適当にごまかしたつもりになっているんですが、今回は復刊だし、単行本だし…


 10年ぶりくらいに…水張りしようかなって、気分になってきました!
 神様、やる気をありがとう!

■下書きを水彩紙にトレス〜
 下書きのプリントを水彩紙の裏に仮止めして、トレス台で下絵を写します。シャープペンで線画をトレスして、ミリペンでペン入れ。
 半日くらいペンのインクが乾くのを待って、紙の裏に水をたっぷりひいて、紙の繊維が伸びきるのを待ちます。
 え?それだと線画もいっしょに伸びて絵が歪むって?
 ちいせえことですよ。キニシナイ!

 で、パネルが見つかりませんでした…ど こにしまったのか記憶にありません…。
 部屋の隅からホコリをかぶって日焼けして使えなくなったイラストボードが出てきました。
 一応表面をホコリ落としに消しゴムをかけて、このイラストボードに水彩紙を張りました。
 水張り用のテープで端っこを留めて、乾くのを待って放置です。

 右の写真はもう塗り終わってボードから水彩紙を切り取る直前のもの。見事に反り繰り返ってますね。これでも書いてる最中に何度も、逆方向に曲げてみたりとしたのですが。
 ボード
筆とか■画材〜

 左から〜
●霧吹き
水張りでも、湿らせるのにもなんにでも便利です。フツーのアイロンかけ用。

●水入れ・筆
 高校生のときに買いました。ずっと使ってます。筆は私の扱いが荒くてすぐ傷めるので同じ筆を何本も買い溜めしてあります。
 白い筆は水塗り用です。


●空き缶
 水羊羹の空き缶です。アクリルでもきれいに取れるしサイズも深さもばっちり!程ほどに重いから安定します。缶の口は筆をしご くのに丁度いいです。

●梅皿
 今回買いました。リムーバーにも傷まないって謳ってたのですがほんとかなあ?

左奥から〜
●トリパブA
 ポスターカラーや水彩絵の具の定着スプレーです。同じような商品にグラフィックスというものもあります。
 今回は買出しに行ったときにちょうど見かけたので、これ。


●リキテックスマットメディウム
 定着強化剤みたいなもんです。
 買ったままX年…押入れから出てきたので今回使いました。便利でした!もっと早く使うんだった…


●リキテックス黒
 便利です。

●ととろのマグカップ
 お客さんがくださいました。愛用してます。たまらない愛らしさ。じっと眺めてはなごんでます。

●ホルベインインク3色
 どこにしまったのか分からなくて、1日かけて押入れや部屋中探し回って見つけました…
 買ったまま主線くらいにしか使ってなかったんですが…


●ドクターマーチン
 10年前に買いました…なんか白い物体が浮いてたり異臭を放ってたり怖いことになってました。サンライズピンクは無事でし た。これだけ肌色に混ぜて使いました。

●固形ブラシクリーナー
 水彩紙を買いにいって初めて見つけました。こんなに便利なものがあったんですねえ。今回重宝しました!
 
画材
●ペリカン水彩
 こだわりは別に無いんですが、高校で買わされたのをそのまま。セピアと黒だけ気に入っているので、それだけ買い置きしてあります。
 固形水彩は長持ちするところが良いですね!

●ウィンザー&ニュートン
の手持ちの色を搾り出してあるのと、赤・青・黄を混ぜて自分で作った色。

 あとは、ターナーデザインガッシュの白。
 色鉛筆もちょっと使ってみたけどこれは大失敗で、消しゴムで消しても直せなくてガクリ。



■色塗り〜

 よく、色の薄い色から塗れといいますが、濃い色から面積のでかい順に塗った方が楽です。

 初めに背景の黒を、リキテックスの黒とメディウムで塗りました。
 メディウムはすごい定着力でしたが、後になってメディウムのついているとことついてないとこで水(絵の具) の吸い込む量が変わっちゃって、境目で色が変わってしまい失敗…
 次にホルベインのインクで黒、青。メディウム混ぜました。泣きも減って便利〜

 ひととおり背景や黒いところを塗り終わってから、筆に絵の具が残っていると困るので、ブラシクリーナーで念入りに洗いました。
 きれいになった筆で、肌色と顔の中を。

 今回は水張りしたり紙買いに行ったり絵の具探したりと忙しかったので、試し塗りするの忘れてました。ちゃんとシミュレートしておくんだっ た…

 マナにかぶせて星雲を描いたけどセーラー服塗ったら隠れてしまいました。
  重なり部分をどうにか表現する方法を塗りながら考えようと思ってたんですが、結局良い案は浮かばず、星雲は失敗してごまかしながら作業は泥沼化…
  もっと練習しておくんだったと大後悔です…
 気楽に構えていた3日前の自分にお説教してやりたい。

 画面下3分の1が気に入ってます…そういうことにしておこう…

 
おしまい だいたい塗り終わってあとは星座だけ。

ボードから水彩紙をカッターで切りはずしました。
イラスト周りにトンボ目印に貼ってたドラフティングテープも剥がします。この剥がす瞬間がいつも楽しみ。

 用意してた星座の原稿をトレスして、修正とホワイトを飛ばします。

 仕上げにトリパブをしっかりかけて、最後に気になるところをちょろっと修正しておしまい!
 
 単行本のデザイナーさんにお任せコースで、どんなデザインであがってくるのか楽しみです。
 本屋さんで確認してみてくださいね。