photo by ttp://www.rmc.ne.jp/ell/lovex3.htm

 初めまして、と、こんにちは、フナトアカリです。


 あとがきのようなものです。
  私は素で文章を書くと、愛想も何もない偉そうなオッサンスタイルになってしまうので、そこらへんは適当に脳内補正をしておいてくださると助かります。
  夜中に誰に向かってでもなく、ぽつりつぶやく独り言を書き留めたようなものです。

  性別が女性と言うだけで、客が相手なら、教育番組のおねえさんよろしく、明るく朗らかにやんわりフェミニンな営業トークをかまさないといけないのではないかという、正体不明なプレッシャーを時々感じます。
  今回は素で真面目に語りたく、今も正座しながらアイブックに向かいこれを書いています。



  なお、自作にたいして自信のほどは相も変わらずカラキシ無いのであしからず。

 単行本片手にどうぞ。


  表紙:カナ表記は単行本からついた。
  編集側からの「英語だけでは(読みづらくて)読者に不親切」とのこと。

  に「お前の…」の台詞を選んだのは私で、あおりは幻冬舎。
  作者としてはミステリーのつもりはさらさらないんだけれど、売れるキーワードならまあいいかと思う。
 今回のデザインは帯があるのとないのとでは全く印象が違う。
  帯の印刷が上がってきて試しに刷り出しを本の形に組み合わせてみたときに感動した。

  デザイナーのタカギさんの「あんだろ1巻」の感想というかイメージは「(エドガー・アラン・)ポーみたいな雰囲気ですよね」だった。
  恥ずかしながらポーといえば黒猫しか読んだ事がなかった。
  ので、 読んでみたら、えらく面白くて感動した。
  きっかけをありがとうございますタカギさん。

  表紙イラストは原稿よりも彩度をあげてもらってある。
  原稿に忠実かどうかよりも表紙としての見栄えする色合いのほうが重要。

  P1:内扉:窓の絵の素材は、第3話の冒頭2P分が雑誌掲載時カラーだったときのものから。単行本ではP70。

  サブタイトルは単行本からついた。
  雑誌掲載時は話数のみ表記。
  1、3、4、6話のタイトルは、マドレデウスというポルトガルのグループの曲から拝借した。
  機会があればどうぞ。


  第1話



  母親の衣装は登場する度にその年の最新型のもの。
  残った使用人は女中頭、女中、執事、辞める御者の4人。
  ネームで私が書き間違ったままで公爵は誤植。正確には侯爵。
  貴族の階級は上から公侯伯子男、伯爵は侯爵の下。
 侯爵のタイの結び方は作中の時代では流行遅れもいいところ。
  メイド服の形も古いもの。

  インド帰りの男爵ということは多少の商才があり金で爵位を買った可能性もある。

  貴族はたいてい田舎者でなまりが強く、キングスイングリッシュを正確に話すのは執事のほう。
  彼の場合、幼い頃に両親を亡くして乳母と執事に育てられたようなもので訛りがない。

  絵本は実際にある。
  ポスターは適当に素材を組み合わせて想像で作ったが最近今さら資料が手に入った。本物はもっとお洒落。

  「冬の物語」「冬の夜語り」「冬物語」邦題はいろいろ。
  2部構成で、前半が女王が不貞の疑惑で死ぬまで。後半は数年後の子供達の恋とハッピーエンド。
  「冬の…」作中のメッセージは他にもあり、伯爵が気に留めた主題はライナスが感じたものとは別のもの。

  菓子箱は想像で描いた。嘘すぎたかもしれないと反省。
  馬は難しくて苦手。


  第2話


  執事が飲み物を配膳してまわるのが普通。ワゴンも描き忘れたがテーブルの向こうにあるとする。
  修羅場中は当たり前のことを忘れてイロイロある。面目ない。

  サスペンダーでつるのが正しい。ベルトは不粋で庶民的なもの。
  ライナスはアメリカ系にデザインをわけたのと、本人が面倒くさがりでたいしてこだわりがないのも理由。

  彼女はこの館へ来て時間を止めた。
  本来貴族の正妻なら社交に身を入れて着飾るべきだが本人が望まず夫もそれを求めていないので、若い頃のままの髪型とそれに近い衣装でいる。
  楽器は彼女のもの。

  イギリスといえば紅茶、というイメージだが実際はコーヒーやココアのほうが一般的で、紅茶はインドから入って歴史が浅い。
  作中のように伯爵が使用人に声をかけるのは、まずありえないこと。
  大きなお屋敷では口をきかないのが普通。伯爵の非凡さの演出意図。気付く人だけ気付けばいいもの。

  子供服は侯爵が若かった頃と同じくらいの時期の古着。
  「朝の金…」は当時言われていた食事の重要性について。
  この家の食器は手作りもの。
  とにかくグダグダに煮込むのが母の味といわれているとかいないとか。
  彼女が一瞬見せた反応は、(ライナスは読み違えるが)実際はP175ー176にかかるもの。

  引き取られたきっかけは死であり、1か月前に亡くしたばかりの5男に、母と家族をもつ6男が口にしてはいけない。
  P58の台詞は謙遜ではない。

  彼女も登場する毎にその時々の最新型の衣装。
  ただし、グレースはフランスものが多く彼女はイギリスものが多い。
  伯爵は黒に近い灰毛、黒髪の母から赤毛は生まれにくい。

  絨毯の柄をなんとかするつもりで失念。…イロイロある。面目ない。
  階下の者とは使用人のこと。


 第3話



  貴族は自分で子育てをせず乳母を雇う。
  子供の頃は肉親よりも乳母のほうが一緒に過ごす時間が長い。

  マミリアスは、「冬の物語」の作中で母の潔白を証明するかのように病死。
  「勤めて三年」の台詞を2回使った。…イロイロ…。気付いた時には修正不可能だった。

  階段の会話で「だめ」なのは月のもの。
  「毎月この時期」も月のもの。
 寄宿学校にはもちろんエリート校もあるが、体裁の悪い子供がよく放りこまれたりもする。なにしろ休暇以外家に戻らないのでいろいろと都合がいい。
  ここにも公爵とあるが、やはり侯爵の間違い。

  菓子の形は嘘。

  料理長には女性でもいいのだが、女中が目立つので男にしておいた。
  ファーストネームではめったに呼ばない。
  ブリティッシュブルドッグとS&W。


  第4話


  膝かっくん。
  次男の態度も計算づく。11歳の平常心など脆い。

  阿片チンキ、当時の万能薬で通常の痛み止め、生理痛、赤ちゃんの疳の虫にも「おとなしくなる」という理由で気軽に使われた。
  過剰な摂取は勿論依存性アリ。
  脱脂綿をぱくる。

  「軽い」のは月のもの。

  イギリスと言えば幽霊。

  正妻の侍女たちは制服が違う。
  胃潰瘍は洗面器1杯ほどの血を吐くが血は微量でほぼ胃液。
  次男長考後せいいっぱいの嫌み。
  座った状態で額を正面から押さえると立てない。


  第5話


  髪を結い上げるのは社交界に出るため、社交界デビューは16、7歳。

  エディプスコンプレックスの言葉は当時まだ未発表。
  語源のギリシャ悲劇を話題に使った。
  ネームでは削ったが、春に会ったのはカシュナー邸。

  イチゴ味とレモン味。直径2〜3センチの大粒で紙袋にいれてもらう。

  ケーキはレモンカードだかなんだか。失念。失礼。

  当時はアルコール中毒のほうが問題。教会主導の禁酒活動など。
  ねこはすぐに篭に入る。
  伯爵がひげをそろえるのは5人目の死後。


  第6話


  伯爵の見解は正確。
  家庭教師と言うのは呼び名が違うだけで地位は使用人と同じ。

 

 マーガレットさん


  教授は伯爵の恩師で3男の名付け親。
  女学校は高い塀に囲まれていたらしい。
  内科医は地位が高い。
  次に外科、薬剤師。書物中心に勉強する(金がかかる)内科医に比べ外科医は実施中心で、後期は兼任する医者も増えた。
  医学科学の最先端はパリ。
  正妻はいつも同じ態度。
  5男誕生前、やはり流行の最先端の衣装。

 

 補足

  避妊は荻野式が発表される前で、動物の腸などを利用したコンドームがメインだった模様。
  キリスト教の教えは「耐えよ」のみで(聖書には誘惑にこんなに頑張って耐えましたとうたう詩などバカみたいに多い)産む予定のない性交渉はしてはいけない。
  そのため、おもてむきは「していないもの」となっているので避妊に関しての資料は少ない。

  母体の健康を考えれば、堕胎より出産してから処分するほうが安全。
  19世紀初期に画期的な新しい顕微鏡が作られて(それまでの顕微鏡は不鮮明だった)学問に大きな貢献をした。
  19世紀末までに生殖の原理がわかっていたようだし、何か当時の「迷信」があるのではないかと思う。勉強中。

  貴族が子だくさんなのは子供の養育費に困っていないため、避妊・堕胎・処分する理由がない。
  田舎では口減らし、食糧事情、医療不足、万能薬アヘンチンキのお陰さまなど様々な理由で子供が産まれても育ちにくかった。



以上、1巻分コメント終了。


  ここに書いたことはあくまでも作品には不要な情報。
  知っていれば面白いかもしれないが、知らなくても困らない事。
  作品の焦点は現代では成立しない特殊な環境下における複数人物の心理と変化を追う箱庭物語。
  以下、7話最終話のあとがきへ。