ムーブメントとは・・・
オルゴールの音を奏でるメカ部分の呼び名です。
まあ オルゴールの心臓部とも言えるでしょう。
そんなムーブメント達の世界をちょっと覗いてみましょう。
(言葉がわからない時は、はじめての方へ をご覧になってください)
ここではシリンダー オルゴールのお話しです。
シリンダーオルゴールのカタログや説明を読んでいると
例えば3.72、1.50って番号を目にする事があります。
3、72とは・・・
ムーブメントの種類を表現する番号です。
3とは3曲入り 72とは72の音がでることを指します。
ですから、3,72と書かれているムーブメントは
3曲入り、72音を発するムーブメントを意味します。
(72弁、Key、teeth Notes とりあえず同じ意味と考えて下さい。)
オルゴールは 何音あるの?
街で見かけるオルゴールのほとんどは18音以下のものです。
アンティーク物はうーん想像もつきません。
現在一般的に製造されているシリンダーオルゴールは
(144)、72、50、36、30、22,20、18音以下
の8種類ぐらいだと思います。
数字が大きいほど、同時に鳴らせる音は多く、
音域も広がりますから、演奏そのものに深みが増します。
何故144だけ()で囲ったか・・・
上の説明は実はちっと説明不足がありまして
確かに144は製造されてはいますが、
その多くは同じ音階を持つ72音の櫛歯(コーム)
(音がなるところ)を2枚ならべたムーブメントです。
つまり144と書かれても72音階
(若しくはそれ以下)となります。
この種類のオルゴールは
サブライム・ハーモニーといいます。
あくまでも数字は発音数を指すもので、
音階を指すものではありません。ご注意を・・・
サブライム・ハーモニーとは・・・
オルゴールの持つ弱点の一つ「連打、連続音がニガテ」
を克服するために考えられた構造です。
ディスクオルゴールでは良く用いられますが、
シリンダーオルゴールでは ハイグレードモデルにしか
採用されていません。
これ以上はまた 別の機会に
話しをちょっと戻して
3曲入り?っと思う方へ
普段お目にかかるオルゴールのほとんどは1曲しか演奏しません。。
でも、先人達は
「もっと長く聞きたいな」
「もっと多くの曲が聞きたいな」
と考えたのでした。
技術者の血はいつの時代も同じですね。
そこで、考え出したのが「送りこみ」と呼ばれるメカニズムです。
例えばREUGEの3.72シリンダー(現行)は
直径26mm。1曲約35秒です。
ってことは 単純計算で送りこみにより
1本のシリンダーで3倍の約1分45秒 楽しめてお徳です。
ではどんな工夫がなされているのでしょうか?
たとえば3曲入りの場合。
シリンダーのピンを横方向に
1曲目のピン、2曲目のピン、3曲目のピン、1曲目のピン・・・
の順で立てていきます。
演奏では、1回転ごとにシリンダーを1曲分だけ横に移動させ
3回転したところでもとに位置に戻ります。
つまり・・・
1回転目は1曲目のピンで演奏して、
2回転目は2曲目のピンで演奏して、
3回転目は3曲目のピンで演奏して、
再びもとの1曲目に戻ります。
このようにして3倍の演奏時間を可能にしました。
先人達にはスゴイ!
同じ3曲でも、その使い方によって、呼び方が変わります。
3曲とも違う曲(3タイトル)を演奏するムーブメントを
3songsとか3tunesと呼びます。
同じ曲を3つに(=3曲とみなして)分けて、
同じ1タイトルを長く楽しめるようにしたムーブメントを
3 Partsとかいいます。
どちらもメカニズム自体はまったく同じです。
このメカニズムによって、1本のシリンダーで複数の曲を
演奏することが可能になりました。
初期の1本のシリンダーで10数曲も演奏できるものが出来ました。
あっとついでに
送りこみのないムーブメントを
シンプル ムーブメント(Simple Movement)
送りこみがあるムーブメントを
チェンジング ムーブメント(Changing Movement)
と呼ぶようです。
ここで更にご注意。
2.50と書かれていても、
中にはシンプル ムーブメントのものがあります。
これは
シリンダー 1/2回転で1曲
1回転で2曲です。
当然一曲当りの演奏時間は半分です。
一般的には・・・なんて呼んでいたかド忘れしましたが、
多分 ノン チェンジング ムーブメントで良かったと思います。
(ファットシリンダーとは意味合いが異なります)
それでは・・・
いろいろなムーブメントを
リュージュ(REUGE)社のものを中心に
みてみましょう。