1. センとフリードマンに共通の視座 (1) 貧困概念の見直し・・・「剥奪 Deprivation 」 の視点 経済的欠乏は軸ではあるが、それだけではない (2) 開発概念の見直し・・・剥奪の克服の視点 自由の拡大あるいはエンパワーメント (3) 参加型開発の重視・・・住民主体の参加型民主政治を展望する視点 住民は助けられる存在というより開発の主体 2. 原点としての パウロ・フレイレ の識字教育 識字を通して、社会のしくみを学ぶ取り組み 状況を自分たちに変革可能な歴史的現実として読み解く (意識化) ↓ 農民たちが、識字を通して自分たちの社会を改革していく 「銀行型」教育を批判して 「課題提起型」教育を提唱 意識化に達する 「気づき」 は、課題提起での参加型学習より生じる 「聞いたことは忘れる、見たことは覚える、 経験したことは理解できる、見つけたことは自分のものになる」 開発教育とは 語源から探る理念 : Developmment + Education (De+Envelop) (Ex+duct) =封じ込められている状況から解き放つ+人間の可能性を引き出す 日本での開発教育 「経済優先の開発を見直し、貧富の格差や環境破壊などの課題に取り組み、 望ましい開発のあり方、国際協力のあり方を考え、共に生きることのできる 公正な地球社会づくりに参加できることをねらいとした教育」 3. ロバート・チェンバース の 「参加型開発」 「貧困」 を北の先進国の基準のみで考えることは判断を誤る可能性 「開発」 とは 「貧困層が考える良い方向への変化 」 住民主体の参加型開発 「主体的参加型農村調査法」= PRA ( Participatory Rural Appraisal ) 三本柱 : 「手法」、「共有」、「行動・態度の変化」 適切な手法によって、住民が本来持っていた力が引き出される 貧困解消のために変わらなければならないのは、貧困層でなく 「私たち」 " Putting the First Last " ○外部者と地域住民は対等な関係 ○外部者は支配せず、ファシリテートする ○住民自身が、自ら調査、分析、計画、実行する ×急いで達成しようとすること ×その場を取り仕切ろうとすること ×お金の量で業績を評価すること 重要なファシリテーター (促進者 Facilitator ) ○参加者主体のプロセスを重視する人 ○相手を尊重して話をよく聴き、対話ができる人 ○問題の解決に明るい希望を持っている人 4. ODA における参加型開発 国際協力機構 JICA(Japan International Cooperation Agency ) の取り組み 参加型計画手法のステップ 1) 関係者分析 対象地域の住民、グループ、組織・機関の分析で、課題、問題、現状を把握 2) 問題分析 対象地域の問題を 因果関係で整理し、わかりやすいように視覚的に表示 3) 目的分析 課題が解決された望ましい状態を考え、そのための手段を明確化 4) プロジェクト選択 ↓ 運営管理の PDM(Project Design Matrix) 手法 計画〜実施〜評価をサイクルで捉える 参加型開発の困難さ どの住民のリアリティか? 社会関係において、どのような立案にも伴う軋轢 <文献紹介> ・ 『被抑圧者の教育学』(パウロ・フレイレ、亜紀書房) ・ 『参加型開発と国際協力』(ロバート・チェンバース、明石書店) [ 戻 る ] |