春霞さんから今年最後の作品が届きました。
今年はついに「かわせみ」も明治編となって再開し、あっと驚く怒濤の展開で私達読者は初春早々から目が離せない明治編となりました。
そんな明治編で、東吾さんの無事を祈って初春用の春着を仕立てているるいさんの姿に、読者全員同じ気持ではないでしょうか。
今年一年春霞さんには素敵な作品をお送り頂き、本当にありがとうございました。

春霞さん制作秘話

お針箱明治になって思わぬ運命に身を置くるいさんの気持ちに思いを馳せて作ってみました。
東吾さんが行方不明になってもう何年になるでしょう。きっと夫の生存を信じて初春を前に毎年春着を仕立てていると思うのです。東吾さんの着物を縫っていたらすっかりるいさんになりきってて切ない気持ちになりました。

お針箱は以前に縁台と下駄の台を作っていただいた時に特注しておいたもので3年目にしてようやく陽の目を見ることになりました。小さい鐶もついてますしものさしも立てられるようにできています。待ち針は折れ針を再利用です。短く切りアタマにビーズを接着しました。着物は男子170pサイズを1/5に縫ってあります。


             
 (クリックすると大きな画像でご覧になれます)


襟つけ

もう半月ばかりで正月が来るというのに、朝から珍しくあたたかな日で、るいは陽のよく当る縁近くにすわって、昨夜、やっと縫い上った男物の結城紬にしつけをかけていた。
群青を溶かしたようないい色の紬は、無論、東吾の初春仕度で、その色に合せて羽織も袴もすでに仕上っている。
恋人の晴着に針を運んでいる時のるいは、いくらか上気して、幸せな新妻の気持になっていた。
「幼なじみ」

夫恋し

あれからどれほどの月日が流れたことでしょう。まだ東吾とるいが忍ぶ間だったころ、決してお屋敷には着て帰って貰えないとわかっていても、せめて「かわせみ」にいる間だけは真新しい着物で初春を迎えて欲しいと一針一針心を込めて仕立てた着物。東吾の妻となり、母となり、今夫の無事を願って毎年仕立てる初春仕度・・・

春着
                                             

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