春霞さんから今回もとっても素敵な作品をお送り頂きました。
暑かった今年の夏も終り、やっと秋らしい季節になって参りましたが、そんな季節にピッタリの「紅葉散る」です。
「かわせみ」ファンにとっていつも気になっていたことの一つであった麻太郎君問題。その大事な一話の印象的なシーンの登場です!
麻太郎君の誕生日に合わせて、素敵な作品をありがとうございました♪

春霞さん制作秘話

10月8日は麻太郎くんのお誕生日ですね。今では「かわせみ」になくてはならない存在、レギュラー入りを確固としたお話「紅葉散る」を作ってみました。5ヶ月ほど前に出来ていたのですが、暑い時に紅葉もないだろうと今まで待っておりました。
最初は琴江さんのつもりで作り始めたのですが、御高祖頭巾を被せようとしたのがどうも上手くゆきませんので、長く関わってもらう香苗さんに変えました。雰囲気でてますでしょうか?



「勿論、義姉上は麻太郎が清水琴江どのの倅とは知りません。ただ、義姉上は一足先に麻生の父上とお戻りになることになって、駕籠の戸を中間が開ける。中間のほうは外から開けているので、中の麻太郎には気づかなかったが、乗ろうとした義姉上にはすぐわかる。義姉上はさりげなく中間に用事をいいつけて、駕籠の傍を退け、麻太郎にこうおっしゃったそうです。お助けします。私を信じて、申し上げる通りにしなさい、と」
 追いつめられた仔犬のように、自分をみつめた麻太郎をみて、香苗はなにを感じたのだろうか、と東吾は不思議に思った。
「麻太郎は、義姉上の言葉を信じたのか」
 身分のある奥方とはわかっただろうが、見も知らぬ他人である。少くとも、麻太郎にとって、香苗は初対面の女であった。
「麻太郎が、こういいましたよ。母上の声のように思えた、と……」
「紅葉散る」

                                             

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