春霞さんから当HP開設8周年のお祝いとして、「思いがけない人物、しかも情念系」をお送りしますとメールを頂いてから、一体誰なんだろうといろいろ考えて、白萩屋敷の香月さん?雪の夜ばなしの琴江さん?いえいえ、どちらもハズレ〜本当に思いがけない女性「染蝶さん」でした。るいさんのお知らない東吾さんの秘密!(笑)今回は衣装も髪飾りも本当に豪華絢爛!
春霞さんどうもありがとうございました。

春霞さん制作秘話

web開設8周年おめでとうございます。
東吾さんがるいさんに内緒でお墓を建てた花魁の染蝶さんをお届けいたします。遊郭のことがくわしく載っている図鑑や浮世絵の本など読みあさり、ついつい面白くて手の方がお留守になり完成までにだいぶ時間がかかってしまいました。遊里のこといろいろ勉強になりました。
花魁には@最上級の遊女(揚代1両1分)、A昼3分の上級女郎(同3分)、B座敷持ち(同1分)で染蝶さんはBのランクですね。揚代の外に心付けも要るし最低3回は通わないと馴染みにもなれないとなれば懐の寒い庶民にはなかなか行けないところだったのでしょう。髷を結い上げるのが大変でした。かんざしの挿し方も江戸では仏像の後光のように放射状に挿し上方では水平横一文字に挿すそうです。脇息も長煙管もまたまた工作です。おいらん道中用の三枚歯の下駄は買ったものですがかっこいいでしょう!
吸いつけたばこ用の煙管はワイヤーににアルミ箔と艶紙で作っています。後姿の腰の丸みに少し色っぽさが出せたかなと思っっているのですが...。長襦袢は赤と黒の染め分けで絞りの部分は蝶が舞っている柄です。染蝶さんにぴったりかなと生地に出会ってからこの人形を作ろうと思いました。頭の飾り揚巻結びもむつかしかったです。

折りしも小野寺さんのHPで立兵庫に結った小野寺さんの遊女姿がUPされていますが、妖しいばかりの美しさに圧倒されてしまいました。色気などとうの昔にどこかへ(あ、元々なかったんだ)置き忘れてきた春霞には染蝶さんにそれを映しだすのは無理でした..(泣) ちょと淋しい美貌なんてとてもとても無理、無理!!(号泣)

まさか染蝶さんとは思われなかったのでしょうね。打ちかけはきれいな紫の地なんですが写真に撮ると青になってしまって、うぅ、残念!

クリックして頂くと大きくなります。

表座敷で一杯、飲んでいると、やがて染蝶が来た。
二十三、四だろうか、小柄でちょっと寂しい美貌である。
東吾が、内心、どきりとしたのは、どこか面ざしがるいに似ていたためである。 遊びは、昔とった杵づかで、適当に散財しておいて、間もなく、染蝶の本部屋へ案内され、二人きりになった。
「なにか、わちきにおたずねがありんすとか」
                              「鴉を飼う女」(御宿かわせみ・下)より



「どなたかのために、お調べを・・・・・・」
「女のためだ。身よりのない、たった一人の父親もなくした女のためなんだ。あまけに、そいつはねらわれている」
「主は、そのお方がお好きでありんすか」
「色恋じゃねえんだ。俺には恋女房がいるんでね」
「そのようなお方がありんすに、わちきのようなものと・・・・・・」
東吾は女の手をとった。
「俺が調べているのは、あんたの客なんだ。あんたに話してもらうためには、俺も裸になってぶつかるのが本当だと思ったんだ・・・・・・」
染蝶が体ごと、東吾に寄り添った。


「主・・・・・・」
染蝶が、東吾の手から煙管を取り上げ、自分からすがりついて来た。



東吾は、久しぶりに兄の通之進に金を出してもらった。
染蝶の葬式と墓をたててやる金である。
春の彼岸に、東吾は浮かない顔で、源三郎と染蝶の墓まいりに出かけた。
「とうとう、おるいさんの知らない墓が出来てしまいましたね」
香華をたむけて合掌している東吾の背後で、源三郎がいった。
「手前は不粋で、よく知りませんが、彼岸の日に女房の知らない仏の墓まいりに行くという歌の文句があるそうですよ」
それに対して、東吾は、なにかいいたそうな顔をしたが、黙って立ち上った。

                「鴉を飼う女」(御宿かわせみ・下)より

春霞さまの新作、拝見しました。
なるほど情念系ですかあ。
この人は思いつかなかったな。
でも相変わらずよく研究なさってお作りになっておられるのには頭が下がります。もう一度よく見てきま〜す。
(TERAIさん)
これは思いつかなかったですねぇ〜
情念系、そして新機軸・・・さらなるご苦労がいろいろおありだったようですが、常に新しい模索を求めてやまない春霞さんのチャレンジ精神に大拍手です!そのたびに楽しませていただける私たちは幸せです♪
(たまこさん)
きゃぁ〜春霞さま、情念系ですネ♪まさか染蝶さんだとは思いませんでした。キセルをとりあげてしなだれかかってる姿が色っぽいです。とくに裾から見えてる足が・・ 
(あるみさん)
気になって来て見ました!
う〜ん…春霞さま、意外!予想外でした。
とても素敵!ありがとうございます。
(みちころんろんさん)
なるほど〜。この方だったんですね。思いつきませんでした。脇息にもたれかかる後姿が色っぽいですね。江戸と上方とで方法が違うとか、勉強させていただきました。 (浅黄裏さん)
染蝶さんでしたか、思いつきませんでした
そういえば東吾さんにかかわり深い人ですね
制作秘話も興味深いです、生地から思いつかれたんですね、製作中は頭の中が人形のことでいっぱいになってしまわれるのかしらなんて想像してしまいました、襟の抜き方、後姿などとても色っぽくて本当に情念系ですね、下駄も素敵お人形用の下駄(花魁用)がちゃんと売られているんですね、人形の世界も奥が深いですね 
(ぐりさん)
春霞さまの新作はまさかこの方とは思いもよりませんでした。
豪華、そして優婉〜。お着物の美しさと笄の見事さ、色っぽさに感動です♪ 素晴らしい作品ですね〜。目の極楽をさせていただきました。ありがとうございます。
(はなはなさん)
春霞さまの染蝶さんは豪華ですごいです〜。
かんざしもいっぱいで迫力ですね。
クッタリ座ったポーズが色っぽい♪
(のばらさん)
春霞さまの染蝶さんのお人形も豪華でお見事の言葉しかでてきません!
紅い襦袢から、着物、うちかけに頭のかんざしにいたるまで、
細かな創りに大拍手です。「よよ〜」の風情の染蝶さんにも
うっとり♪るいさんには見せられませんね。
(すみれさん)
これだったのですね〜、春霞さん!スゴイ!
まさに豪華絢爛ですね〜、いつも、ステキなお人形見せてくださってありがとうございます〜。 (花みずきさん)
みなさま、うれしいコメントありがとうございます。
染蝶さんはリクエストなさった方がいらっしゃらなかったのですが、お祝いにするなら見栄えのするものがいいと思い作りました。今玄関に飾っているのですが、お客さんが裾をめくるのには困ります。湯文字巻いてるってば...
(春霞さん)
春霞さんのお人形ますますパワーアップしてますね〜すごいなぁ。後姿がいろっぽい(笑)
(紫陽花さん)
春霞さんの染蝶さんもうっとりするほど綺麗!またじかに拝見したいなあ。
(小式部さん)

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