お吉が半値で買った朝顔の鉢は、花がみんな咲き切ってしまい、軒下に片付けられている。
「朝顔の赤だの桃色だのを買うのは、素人でございます。暑い時の花は、やっぱり涼しげなのが一番、こんな品のいいのが売れ残ったのか不思議でございますよ」
自分がけちをつけて買い叩いたくせに、お吉はけろりとして、せっせと水をやっている。

大山まいり
大川の河童
で、東吾が起き出したのは、朝陽が高く上ってからで、さしむかいの朝飯をすませたあとで、縁先に並べてある朝顔の鉢を眺めながら、のらくらしていた。

愛宕まいり
富貴蘭の殺人
江戸の朝は晴れていて、夏の名残りがそこここにある。
嘉助が枯れた朝顔の鉢を気がついたように片付けはじめた。


一両二分の女
八丁堀の神林家で、兄嫁の丹精の朝顔に水をやっている東吾の所へ、畝源三郎がやって来た。

店の前で呼び止めた朝顔の苗売りから、やがて咲く筈の花の色を一つ一つ確かめながら三本、四本と嘉助がえらんでいるのを、千春の手をひいて眺めていたるいは、豊海橋のほうから急ぎ足にやって来るお千絵に気がついた。
三日月紋の印籠
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「かわせみ」に登場する朝顔の場面を集めてみました。
こうやってみると、「かわせみ」でも神林家でも、そして方月館でも朝顔を丹精して咲かせているのですね。江戸の人々にとって夏の風物詩、なくてはならない花だったようですね。
それにしても東吾さん、香苗さんを手伝って水やりしたり、るいさんと種を採ったり、朝顔に親しんでいますね(笑)
*「かわせみ」ファミリーの家に咲いている朝顔ということでまとめました。他に「風鈴が切れた」「夕涼みの女」でも朝顔が咲いていました。


久しぶりに長助が「かわせみ」へやって来た時、東吾はるいと朝顔の種子を採っていた

卯の花匂う
出窓に、るいが丹精したらしい朝顔がかなり伸びている。

翌日は神妙に八丁堀の屋敷で朝顔の鉢に水をやったり、井戸に西瓜をつり下げる手伝いをしたりしていた東吾だったが、午後になって思いだしたように兄嫁の香苗に訊ねた。

夏の夜ばなし
翌朝、八丁堀の畝源三郎が、「かわせみ」へやって来たのは、まだ朝顔の露が朝陽に輝いている時刻で、「かわせみ」の庭の桐の木では、蝉が啼いていた。

源三郎の恋
だが、それから又、十日ばかり過ぎて、神林家の屋敷の庭で、東吾が兄嫁の香苗の丹精している朝顔の鉢をのぞいていると

玉菊灯籠の女
兄嫁の香苗が丹精して夏中、見事な花を咲かせた朝顔がぼつぼつ種子を結んで、その種子をわけてもらいに、本所から香苗の妹の七重がやって来た。

幽霊亭の女
藤屋の火事
神林東吾は上布の着流しで、手に朝顔の鉢を持っている。

白藤検校の娘
十日ほど、狸穴の方月館へ出かけていてその月の代稽古をすませ、帰る時に、東吾は方月館の大番頭格の善助から、朝顔の苗を持たされた。
毎年、善助が丹精しているもので、色も鮮やかに大輪の花が咲く。

川越から来た女 *実際の花とは違いますが
るいの出してやった朝顔の柄の単衣に、赤い帯を結んだ娘は瓜実顔で眼が大きく、なかなかの器量よしであった。