プラトニック・セックス



★★★


 男友達にレイプされ、親からも見放されたあおい(加賀美早紀)は、17歳の誕生日に飛び降り自殺をしようと学校の屋上に上がるが、間違いメールが入る。「愛、誕生日おめでとう」。自殺を思いとどまったあおいは援助交際、愛と名乗ってのキャバクラ嬢、そしてAV出演に足を踏み入れる。そんな時に出会ったのが、間違いメール以来メル友になっていたトシ(オダギリジョー)。二人は同棲を始め、愛も「本当の幸せを手に入れた」と喜ぶが、やがてトシにAV出演の事実が漏れてしまう……


 ことわざでありますな。「人のふんどしで相撲を取る」。元AV女優のタレント、飯島愛なるねえちゃんの原作(どこのゴーストが書いたのかは知らんが)がバカ売れしたもんやから、名前を借りて中身はまるで違う映画を取って人気に便乗をはかる。おう、やめんかい、そんなせこいまねは。映画の出来不出来は置いておいて、そういう根性が気にくわんのんじゃ(なぜ広島弁?)。原作はわしも文庫本になってから読んだが、通勤の片道、約50分で読了。なんかヤンキーあがりのねえちゃんの不幸自慢というか、「ドキュメント女ののど自慢」というか、誰よりも自分が苦しかった、なんてまるで家族らのことを考えていない自己中な内容にうんざりした覚えがあるがな。映画はまるで別物。友達にレイプされたり親から見放されたり、お水からAVに出たりといった設定こそあるものの、携帯電話やメールが重要な役割を担っていて、時代設定からまるで違う。携帯があるとないのでは、人間関係もがらりと変わったりするもんな。しかも彼女の過去の負の部分に背を向けたまま、原作に輪をかけて美化。製作した連中、監督や脚本家に言うてやりたいわ。これだけ理念もストーリーも変えるなら、ゼロから勝負しなさい。ベストセラー本に乗っかるんでない。売らんがためのさもしい根性はうっとおしいんじゃ

 映画は、もちろん初出演の加賀美早紀、相手役のオダギリジョーとも、予想以上の好演。脇役の阿部寛もよかった。原作と引き離して観れば、けっこう良質のラブストーリーなのかもしれん。ラブシーンなどは情緒に走りすぎるきらいはあるが、ワンショットごとは印象的。もっとも、きれいすぎてうそっぽいけど。メル友だった愛とトシの出会いも印象的。ここはわし、けっこう好きなシーン。脚本がテンポよくて退屈はしない映画やな。ただトシと自称慈善家の石川の出会いなどははしょりすぎやし、男は怒るとすぐに部屋を出ていってしまうといったお手軽な感情表現に難は残る。

 好きなシーンと、腹立つシーンが半々ぐらいある映画やったなあ。特に嫌いなのは養護施設に行った石川が子どもたちに札束を巻いて子どもが札を追いかけて走り回るところ。嫌悪感以外の何ものでもなかったなあ。そしてラスト。
※ネタばれ注意報!!観た人はドラッグ 客を泣かせたければ殺すのか!? 幼稚園児が信号待ちしているところから予想ついたで。「まさか、そんな演出するなよ、するな……」と思っていたら案の定……。娘はいじめられて自殺、息子は変な女に捕まって事故死、ってトシの両親はかわいそうに  それに、若者といえば携帯、ルーズソックス出しておけばいい、という感覚が安直にすぎないか? わしは、自殺しようと屋上から飛び降りそうになっている時、怒りのあまり人を刺し殺そうとナイフを握っている時、そんな時でも携帯が鳴ると電話を取ってしまう、ヤツらに笑ってしまった。


 監督 松浦雅子/出演 加賀美早紀 オダギリジョー 野波真帆 阿部寛 加勢大周/2001年日本/105分



[index]