温泉津温泉
長命館
玉造温泉から
山口市までは結構遠い。萩や津和野にも寄っていきたいと
云うことで途中泊まるところを検討した。
やはり街道沿いが良いだろうと云うことで石見銀山を見た後泊まることにして温泉津温泉に決めたので
あった。
温泉津温泉は開湯1300年という歴史のある温泉地であるが、江戸時代銀の出荷港として
栄えた温泉津港の奥に有ると云うことでかなり賑わったという。
現在では昔ながらの湯治場の雰囲気を残す数少ない温泉地のひとつとなっているということである。
宿は適当な公共の宿舎が無かったので、宿泊帳を見て安くて風情が有りそうな長命館に直接電話をした
ところ7千円からということであったが8千円の部屋と云うことで予約した。ここは木造3階建ての
温泉津一の老舗である。
石見銀山
を後にして、県道を再び国道9号線に向けて引き返し
海岸に出る。ここから鳴砂海岸と呼ばれる琴ヶ浜を通って山道に入る温泉津はもう直ぐである。
案内標識に従って国道9号線を右折し、鉄道沿いに走ってJR温泉津の駅前を通り抜け、海岸近くまで
行って右折する。ここら辺りが温泉津の港で海の臭いがぷんとしてくる。
海岸沿いに少し走り温泉街の標識で右折するともう其処は温泉津温泉の入口である。狭い道の両側に
石州瓦の旅館や土産物屋が並ぶ昔ながらの温泉場の風情を残した風景が広がった。
長命館は温泉街の一番奥辺りにあったが、どうして、どうして木造3階建ての堂々たる構えである。
なにか国の重要文化財といった感じすらする。旅館を通り過ぎた所にある駐車場に車を停めて、チェックイン
をする。

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旅館の全景
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旅館の
玄関を入ると、所謂フロントという感じものはなかった。
湯治客を主体にした旅館というのはこんなものなのだろうか、まぁ、普通の家の玄関という感じである。
案内を乞うと奥から仲居さんらしき人がやってきた。今晩泊めていただく者ですがというと、こちらえ
どうぞと案内をしてくれた。古い家らしく廊下や階段を歩くとぎしぎしと音がする。しかし柱や廊下は
黒光りするほど磨かれるなど、旅館全体の維持に対する態度はなかなか良い。案内された部屋は3階で
温泉津温泉の街を見下ろすことが出来る眺めの良い部屋であった。出窓みたいな所に腰を下ろして街を
眺めると一瞬時代劇の中に入っていくような錯覚すらさせる雰囲気を持った家であった。

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元湯の浴槽
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早速、
風呂に入る事にする、といってもここには内湯はなく、
直ぐ前の共同風呂「元湯」がここの湯なのであった。まさに昔の湯治場そのものという感じである。
タオルをぶさげて前の湯に入る。共同浴場「元湯」は脱衣場も浴槽もそんなに大きくはないのだが、
湯が豊富に湯舟の上から流れ出しているという感じで、すごく温泉に来たという感じする浴場であった。
泉質は含土類食塩泉で無色透明のようだが、湯の成分が付いたのだろうか浴槽の周りというか浴室全体が
黄色くなっていた。地元の人達が島根弁丸出しで地元の話題を話しているのを聞くのは旅の醍醐味であろう。
ゆっくりと暖まって外に出る。もう一軒の共同浴場に入ってみようと云う訳なのである。女房殿が出て
きたので「元湯」におさらばして、温泉津温泉を散策することにする。
温泉津温泉は
旅館が10軒程度の小さな温泉なので、街といっても
そんなに大きくはない。道路一本の両側に数軒の土産物屋さん、菓子屋さん、共同浴場、旅館などが入り
交じって並んでいる。100mも歩けばもう街の外に出てしまうという感じの街である。殆どの家が古い
面影を残していて、街全体としてなにか落ち着くような雰囲気を持っている。本当に湯治場という感じなのだ。その中の1軒が共同浴場「藤の湯」である。都会の下町の銭湯と同じ様な造りの家構えで、中に番台風のものがあり女将さん風の人が座っているのも同じ感じである。浴室は「元湯」とそんなに変わりはないが、こちらが少しだけ新しく出来た分綺麗かなというところだ。
旅館に帰ると
、夕食の時間ですからと同じ3階の別室に案内された。
其処に此処の旅館の夕餉の膳が用意されていた。料金が安いので豪勢ということにはならないが、近海で
とれた魚を煮たり焼いたりした素朴な料理で好感が持てた。窓を開けて温泉津の街を眺めながら地酒を
頼んで一杯やるのは、やはり旅の雰囲気満喫というところであろう。
満足度:風呂*** 料理*** 部屋*** 接客***
施設の概要
住所: 島根県邇摩郡温泉津町温泉津
TEL 0855(65)2052
交通 ・山陰線温泉津温泉駅下車、バス5分、徒歩20分
施設 浴室
内湯なし(公共の湯・元湯に入浴)
駐車場あり
泉質 含土類食塩泉
効能 慢性関節リウマチ・慢性筋肉リウマチ(特に腰痛)・神経痛、など