住民監査を排除する、地方自治法の改悪
 不当な公金支出の損害賠償を求める住民訴訟の対象を、首長などの個人から自治体に変える地方自治法の改正(改悪)案が2002年度の国会で審議されています。

これまでの地方自治法では、住民訴訟は知事や市町村長、それに職員を相手取って損害賠償を求める仕組みになっていました。
しかし、個人で訴訟を受けるのは金銭面などで負担が重いとして、政府は住民がまず自治体を訴え、勝訴した場合に自治体が首長など個人に損害賠償を求めるよう二段階に分ける改正案が提出されました。
わかりやすくすると下の図のようになります。
今まで・・・
住民訴訟 →知事や市町村長、職員
改悪後は・・・
住民訴訟 →県庁や市町村自治体 その後 県や市町村の自治体が
損害賠償訴訟
→県や市町村の自治体

つまり、改悪後ではたとえ住民訴訟で勝ったとしても、自治体が損害賠償訴訟を行うため住民はカヤの外に追い出されてしまうのです。

さらに、首長が訴訟の対象となる場合は、自治体職員が手を貸している場合がほとんどで、それら職員が首長にきちんと損害賠償を求められる訳がありません。
(実際、住民が勝訴した談合訴訟でも、自治体は談合企業に対して損害賠償を請求していない)



全国市民オンブズマン連絡会からも、この法案の阻止のため、議員に対して賛成しないように要望書を提出するように要請がきました。
そこで、市民オンブズマン群馬でも、法案阻止のための要望書を各議員に提出しました。



しかし2002年3月28日に、衆院本会議で与党三党などの賛成多数で可決されました。
この後、国会法の規定に基づいて衆議院に送られ採決される運びで、今国会で成立する見通しです。

残念ながら、これで「税金の無駄や職員の不正を住民訴訟で追求しても、役所が税金を使ってまで阻止できる」ようになってしまいました。

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