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野菜栽培で生きたいの目次:(今の頁を, 太字で表示してあります。)
(1)野菜栽培を考えるようになった経緯, (2)家庭菜園を始めた, (3)野菜栽培で仕事をすることを考えた,
(4)畑の仕事の手伝いを始めた, (5)僅か半年で, 畑の仕事を辞めた, (6)今後も野菜栽培をしていきたいけれど


(2)家庭菜園を始めた

畑を借りた

 2010年春に仕事を辞めてから時間ができた私は,
週末農業の本以外に, 何冊かの農業の本を読んでいました。
その中に, 河名秀郎氏の「自然の野菜は腐らない」朝日出版社(2009)があり,
農薬や肥料を使わない農業に強く惹かれました。
その中に, 木村秋則という人の話がありました。
この木村秋則という人が, 「奇跡のリンゴ」で知られる人なのですが,
この時迄, 私は知りませんでした。
知りませんでしたが, この人の生き方に惹かれ,
また, 日本の農業が抱えている多くの問題に気付かされました。
そして, 木村秋則氏の「自然栽培ひとすじに」創森社(2007)を読みました。
無農薬, 無肥料で育てられる, という話に惹かれました。
と同時に, 家庭菜園でメロンを育てられる事を知り,
とても驚き, そして, 育てたメロンを食べたい, という思いを抱きました。
私が野菜栽培をしたいと思った一番のきっかけは,
メロンを育てたい, と思ったことにありました。
メロンは野菜ではないのですけれど(^^;。
ということで, 家庭菜園を始める前の段階で,
農薬を使わない, 肥料を使わない, ということにこだわろうと思っていました。

 2010年4月終わり頃に, 住んでいる市内で,
カフェの店長の募集に応じた数名の方々と畑を借りました。
3 アール(3畝)位を借りることにしました。
畑には草が生えていなくて, 溝が掘られていました。
トラクターで耕耘された後だと言うことが分かったのは,
数箇月後だったでしょうか。
溝のように見えたのは, トラクターの車輪跡だったのです。
トラクターが何をする農業機械なのかを知りませんでしたので。
畑の溝と溝の間を, そのまま畝として使うことにしました。

鍬, 夏野菜苗の購入

 この畑で何を育てようか。
家庭菜園の本を何冊か買いました。
夏野菜ってどの野菜なのだろう, そんな基本も知りませんでした。
それから, 近くのホームセンターへ行ってみました。
夏野菜の苗がたくさん売られていました。
トマト, 胡瓜(きゅうり), 茄子(なす), 白菜, 西瓜(すいか), 等々。
当たり前のことの筈なのですが, うまく条件を整えれば,
多くの野菜を, 物干し場のような狭いところでも,
育てられると知って, 驚きました。
この苗を, 畝に植えれば良いのだ, ということは,
家庭菜園の本を読んで分かっていました。
どの野菜を育てようか, 改めて本を見てから決めることにしました。
それから, 農具を見ました。たくさんありましたが,
よく分かりません。が, 鍬(くわ)が必要らしいことは分かっていたので,
鍬と, スコップを買いました。
スコップは使ったことはありましたが, 鍬は, 持つのも初めてでした。

 どの野菜を育てようかを, 本を読みながら考えました。
私が野菜栽培をしたいと強く思わせるきっかけとなったメロンについては,
なんとしても作りたいと思い, メロンを育てることを決めました。
それ以外の野菜については, ホームセンターにある苗を見て決めることにしました。
買ったのは, メロン, トマト, 胡瓜, 白菜, 紫蘇(しそ),
シシトウ, ピーマンでした。それぞれ2-3の苗を買いました。

初めての畑作業

 畝の土を触ってみたら, 5 cm位の長さの石がそこそこありました。
石だけ拾えば良かったのですが,
その畑が既にトラクターで耕された後であったにもかかわらず,
畝にする部分の土を, 鍬で耕しました。
浅く耕せばよい物を, 深く迄耕すのが良いのだ, と勝手に思っていて,
20 cm位かそれ以上耕しました。
すると, 底の方から20 cm位の石がごろごろと出てきました。
石が畑の下にあっては, 野菜の根が下に伸びるのが妨げられるだろう,
それは良くない, と考え, ごろごろと出てきた石を畑の外へ出し始めました。
すると, 畑の地主から注意を受けました。
深く掘らないように, 石を掘り出さないように, と。
この段階で, 木村秋則氏提唱の自然栽培ができないではないか, とがっかりしました。
この畑は元々田圃だったので, 田圃の下に石が敷き詰められていて,
水が田圃に溜まるようになっていたのですが,
そのような事を私は知らなかったし, 気付かなかったのでした。
ともあれ, 畑はここにしかないので, 畑を深く掘らず,
農薬は撒かず, 肥料も与えないで育ててみよう, ということにしました。

 鍬の動かし方, 力の入れ方, 未だによく分かっていません。
そんな状況でしたので, 畝を作った翌日, 腰を痛めてしまいました。
それでも, 幅60 cm位, 長さ2 m位の畝を3本位立てました。
そして, マルチングシートと呼ばれる, 黒いポリ薄膜を地面の上に被せました。
これで畝ができました。
メロンについては, 乾燥を好むために, 高い畝が必要ということだったので,
40 cm位の高さになるように土を盛り上げました。

 畝をつくる作業は, 心身疲労により辞職した私には,
かなりきついものでした。なので, 畝を作った翌日は,
腰が痛くて, 作業ができませんでした。
以降も, 畝作りの度に腰を痛めることとなり,
畝作りの作業を億劫に感じるようになっていました。

苗の移植

 ホームセンターで買ってきた苗を, 家庭菜園の本に書かれているように,
畝へ移植しました。マルチングシートに穴を開け, そこへ水を入れ,
ポット鉢の苗を埋めました。トマト, 胡瓜, ピーマンについては, 支柱を立てました。
メロンについては, 乾燥を好むと言うことだったので,
透明ポリ薄膜を上から覆うようにしました。

苗の成長

以降, 毎日畑の様子を見に行きました。
苗が日に日に大きくなる様を見るのが楽しくなり,
毎日苗の成長をデジタルカメラで撮影しました。
子の成長を喜ぶ親の気持ちが分かったような気がしました。

 苗に水をやるのですが, 木村秋則氏の本を読んでいたにもかかわらず,
トマトにも水をやっていました。
メロンは乾燥を好むということで,
水をやらずにいたら, 萎れて(しおれて)しまいました。
雨よけの透明ポリ薄膜があるために,
畝が暑くなりすぎていたのではないかとも考えましたが,
何をすればよいのか分かりませんでした。
途中で, 胡瓜1つと, メロン2つが枯れてしまいました。
これらについては, ホームセンターに未だ苗が売られていたので,
買った苗を植えました。
白菜については, 最初の内は葉がどんどん大きくなっていったのですが,
そのうち, 外の葉がなくなっていることに気が付きました。
夜盗虫(よとうむし)のせいだったようで, 苗周辺の土をほじくり,
見付けたら, その虫を農業用水に放り込みました。
そうすることで, 再び葉が大きくなっていきました。
しかし, 次は蛞蝓(なめくじ)が白菜を食べ始めました。
蛞蝓は, 次から次にやってきました。本を読むと,
銅線やビールを使って駆除する方法が書かれていたのですが,
蛞蝓は銅線上を歩き回り,
また, ビールは一晩したら乾燥してなくなっていました。
結局白菜は枯れてしまいました。
後で気が付いたのですが,
白菜は, 普通は春夏に育てる物ではないのですね。
こんなことも知らずにおりました。

夏野菜の追加

 3 アールも借りたのですが, これ迄に使っていたのは,
0.5 アールもありませんでした。空いているところに何かを植えよう,
ということで, ホームセンターでズッキーニの苗を買い, 移植しました。
また, 大豆, バジル, 菠薐草, 春菊の種を買い, 蒔きました。
大豆は, 木村秋則氏の自然栽培によれば,
その成長によって成長する根粒菌が, 大豆のみならず, 周辺環境に対して
窒素肥料分を供給する, ということなので,
トマト, 胡瓜, ピーマンの苗のすぐ近くに種を埋めたていたのですが,
豆乳を飲みたいので, 大豆の畝も作ることにしました。
バジルは, トマトの「コンパニオンプラント」ということなのと,
バジルそのものが好きなので, 種を買い, 埋めました。
葉物がなかったので, 菠薐草と春菊の種も買い, 埋めました。
これで, やっと1.5 アール位の畑を使ったことになり,
残り半分は放置した状態でした。

雑草放置

木村秋則氏の自然栽培では, 雑草は放置するようでした。
また, 自然農をやられている,
鏡山悦子氏の「自然農・栽培の手引き」(南方新社)によれば,
雑草は, 育てている野菜の成長を妨げるようになったら刈ればよい,
ということのようでした。ということで, 雑草は放置しました。

 すると, 畑の地主の方から, 雑草を刈るように指示がありました。
雑草があると, 見た目が良くない, そこに虫が育って,
野菜を食べてしまう, という事でした。
虫が雑草から出てくる状況を私は想像できませんでした。
後に, 雑草を農家が嫌うのが, この虫にあると知りましたが,
私は, 未だに雑草から虫が出てくるという考えを理解できておりません。
それはともかく, 借りている畑では,
自然栽培を進めるのは難しいなと思い始めていました。

 梅雨になると, 雨の日には畑には行きませんでした。
雨が止んでから畑へ行ってみたら, 雑草がものすごい勢いで育っていました。
こんなにも畑の様子が変わるのか, と, 大変驚きました。
マルチングシートを張っていた畝でも, 畝の端には雑草が生えていました。
これについては, 鎌で刈りました。

結実

 梅雨の頃から, 胡瓜は収穫できるようになりました。
ピーマンも収穫できるようになりました。
開花から結実に至る過程を初めて見ました。
本に書いてあったので, ほぼその通りの変化を観察することになりました。
胡瓜とズッキーニにはウリハムシが多数ついていたのですが, 薄めた酢を毎日かけました。
ピーマンには, 最初アブラムシのような虫が見られたのですが,
そのうち虫は見られなくなりました。
ピーマンとズッキーニは, ほぼ毎日収穫しました。
特にピーマンは, 4つ植えたのですが, 皆うまく育ち,
毎日ピーマンを食べることになりました。10月頃迄なりました。
ズッキーニは, 花が咲いた後, 花にカビが生えるような症状が見られる場合があり,
そのような花は, 結実途中で腐っていくことを知りました。

 胡瓜は, 4つ育てたのですが, ほぼ毎日1個は収穫できました。
トマトは, 実がなかなか育たずにいました。
それでも数個の実がなりました。とても味が濃いトマトだったので,
とても驚きました。
結実して一番嬉しかったのは,
野菜栽培を始めようと思わせるきっかけとなったメロンでした。
家庭菜園の本によれば, その栽培が難しいとされているメロンでしたが,
確かに半分が途中で枯れてしまったのですが, それでも2個を収穫できました。
甘いメロンを食べて, とても嬉しかったのを覚えています。
シシトウは, 真っ赤に実りました。

 大豆は, 花が咲いてから, カメムシがたくさん来るようになりました。
ペパーミントの香料を大豆にかけて, カメムシを追い出したつもりでした。
一部を枝豆にしたら, とてもおいしかったので, 大豆の成長を楽しみにしていました。
しかし, シンクイ蛾の幼虫が多数入り込んでいて, 収穫した大豆の2/3以上は,
この虫に食べられてしまっていました。

 葉物については, 紫蘇とバジルはうまく育ち, 紫蘇は紫蘇ジュースに,
バジルはスパゲッティーのソースにしたり,
ピッツァにのせたりしました。
春菊は, そこそこ大きくなり, 花も咲く迄成長しました。
しかし, 私が知っている春菊と比べると葉が小さく,
これを摘んで食べようという気にはなりませんでした。
菠薐草は, 本葉が出る迄は育ちましたが,
それから先は大きくならず, うまく育てられませんでした。

冬野菜

 8月迄で, トマト, 胡瓜, ピーマン, メロンが収穫できて,
家庭菜園が楽しいなとおもいつつも,
なんとなく畑作業に飽きている自分にも気が付いていました。
そのせいでしょう, 秋冬野菜の準備をすることに気が付かずにいました。

 9月に入る頃になって, 借りている残りの畑に畝を作りました。
大根と白菜, キャベツを植えるためです。
これで, 割り当てられた3 アール全ての畑に畝ができました。
白菜とキャベツは, どうやら植えるにはもう遅かったようで,
大きく育つ前の12月に, 雪が積もってしまいました。
雪が融けた後は, 大根と白菜は生きていましたが,
キャベツは, 雪の重みで枯れてしまっていました。

 結局秋冬野菜については,
大根だけが, そこそこ育ってくれました。
とてもおいしい大根を頂きました。


最終更新日: 2011年09月22日
このウェブサイトの作者: おきゅうぼうや


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