僕の感動日記

2000年9月3日(日)

 

今日は晴天なのに湿気も少なく、久方ぶりに気分の良い一日となる。

夕方、ふらっと散歩に出かけた。

 

印旛沼にそそぎ込む、小さな川のほとり。

緩やかな流れを背景に、生い茂る草のベルト地帯。

名も知らぬ白い花、黄色い花が

貧相な葉っぱから、点々と遠慮がちに、

しかし、誇らしげにしっかりと咲き乱れている。

 

しげしげと目を近づけて観察していくと、

虫食いの葉っぱが、やたらと多い事に気づく。

芋虫か、尺取虫か、

良く食うなあ、と感心していると、

モニョモニョと揺らめく葉っぱに目が移る。

そこでは、葉っぱと同じ色をしたバッタ君が、

まっ逆さまの格好で葉っぱにしがみつき、ゆったりと食事中なのだ。

頭に血が昇らないのだろうかと心配しながら、

しばし眺めていると、パタッと食事の動きを止めた。

 

僕の気配を感じたらしい。

じりっ、じりっ、と後ずさりを始め、

やがて姿が見えなくなった。

 

そーっと横へ回り、様子をうかがうと、

ぴたっと葉っぱにへばりつき、じーっとしている。

あまりにもその様子が愛らしく、けなげだったので、

静かに心でバイバイとつぶやき、お家へ帰ることにした。

ふと、猫のしぐさを感じてしまい、思わずにっこり。

 

薄暗くなりかけた帰り道、気分が和らいだ僕は頭上に目を移す。

刻々と変化する雲の動きや、色や、気配が、いつもと何か違うのだ。

煉瓦色と黄金色とがグラデーションの様に大空いっぱいに溶け合って、

まるで、ソラリゼーションの様な、ネガに迫る様な色彩感覚になって行く。

 

しばし唖然と見つめ続ける。

 

やがて心は、ワナワナと小刻みに揺さぶられ、

毛細血管の先まで、新鮮な空気をたっぷりと吸い込んだ感じになる。

こんな気持ち、しばらく忘れていたぞ。

 

映像や文字では表現出来ない、

実体験の<実感>を思い知らされたひとときを過ごす。

それはそれは見事な、自然のスペクタクル・ショーであった。

アッと息をのむ、素晴らしい自然との出会いだった。

 

 

 

 

 
 
 
 
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