旅費プロについて

 

旅費プロ誕生の契機となったのは、石川俊三氏の主宰する「埼玉県学校事務情報化研究協議会」1998年夏期講習会でした。

この夏期講習会は、大宮市のサントピア会場で2日間に渡って、主に表計算ソフトの初歩からの講習が行われましたが、その時に石川さんから、なにか実務に即したもののデモンストレーションをやってくれないかと、依頼を受けました。
 確かに表計算の教材というと、住所録や金銭出納帳など、がよく扱われますが、学校事務職員の実務の内容とはちょっと離れている題材です。学校事務職員なら誰もが行っていて、かつ表計算アプリの実力が発揮できるという点を考えて「旅費請求書」を取り上げる事にしたのです。


ちょうど、この年度の初めに請求書の様式が変更されました。ご存知のようにこの改定では、カーボン複写の様式が採用されました。このカーボン複写の意味については、諸説分かれるところですが、もしこのことが、一連の旅費請求に関する不正の防止という意味でしたら、いままで長い間、旅費請求事務を担当してきた私たちをどんなにか失望させる事でしょうか。逆説めきますが、カーボン複写を採用していれば、かって全国で話題となった旅費に関する不適切な運用は起こりえなかったのでしょうか?答えは明白です。

一方、カーボン複写が事務の効率化と考えた場合、果たして最善なのでしょうか。確かにカーボン複写は同じデータを他に転用できるという特質があります。ゴム印なども同じ性格のものです。かって、私たちはカーボン複写やゴム印を使って事務の効率化を考えました。しかし今やPC(パーソナルコンピュータ)は職場や家庭で急速に浸透してきています。データを何度も繰り返して使用するというのはPCの最も得意な分野の一つです。 今後PCの現場への普及インターネットの導入の中で、情報を扱う専門職としてPC上のデータをカーボン紙やゴム印の感覚で自在に取り扱える技能は絶対に必要だと私は考えます。

さて、この時のデモ用旅費プロを実際に実務で使用してくれた仲間が少数ですが、何名かいらっしゃいました。この欠点だらけの旅費プロにとって、この方たちの、報告とアドバイスがどんなに貴重であったか!。そして改善の結果、その年の秋には旅費プロ2として全面改訂を行いました。しかし、この旅費プロ2を使用して直ぐに職務が効率化されたかというと、決してそうではなかったと思います。特にデータを扱うにはフォルダやファイルの移動・コピー・削除などWINDOWSやエクセルの基本操作の知識が必要です。この手間を考慮したら「手で書いたほうがはやいよ」というのが本音ではなかったかと思います。

しかし初めてPCで実務を行った方の感想で一番うれしかったのは「旅費プロを使うとPCの操作が習得できるオマケ付です」と述べてくれた点です。まさにこれは当初、石川氏の企画した講習の意味と合致するもので、このオマケこそが、この企画の一番の収穫であったと思っています。

 今回の「旅費プロ3」は1999年10月改正の新旅費条例に対応したものです。特に手計算で直行直帰の旅費請求を行うには、多くのデータ・資料を整理して扱わなくてはなりません。しかしそれは、PCでは最も得意な分野です。旅費プロ3では、DAOというデータベースアクセス機能を利用してこれらを効率よく処理できるように設計しました。操作習得のオマケだけではなく実務でも、皆さんから正確性と効率が向上したと言っていただけるように、今後も改善をしていきたいと思います。ぜひご感想ご意見をいただければと思っております。

                                2000年1月10日 大越 英比古

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