オケラのくりごと  健康管理

  『私の健康管理』が本誌に連載されている。 聞けばこの企画は、各県本部や各店のオーナーに書いて貰う心算で、手始めに編集部員が身近な仲間に依頼して書いて貰っているとのこと。 持ち回りでの執筆依頼とでもなればやがてはオケラにも来るかも知れず、それを待つより気楽に先手必勝。 本稿も一回分儲かって一石二鳥と言うもの。 さて、若者には若者の話があろうが、この種のことはやはり年相応に不健康で、放っておけば半病人になりそうな、持病の話になると急に生き生きとする、はっきり言えば編集長やその上司、達の得意な分野と言えよう。 そして残念で不幸なことにオケラもこの範疇に入る。 腰痛は勿論、不整脈も水虫でさえも、その症状を語るときは微に入り細を穿ち、他人が口を挟んでも、より詳しい説明に繋がる質問以外は皆無視する。だって他人の病状などは一般的で聴くに値しないけれど、こちらのは総べて特別で聴けば必ず相手の為になるのだから当然であろう。 こんな話で午前中の医院の待合室は何処でも賑やかとのこと。 起きては消えて行く民間療法のブームも格好の話題であるに違いない。 考えてみれば何故この類専門の、漢方薬に限らない店が無いのだろう。 例えば猿の腰掛けが流行れば、中国○○省産最高級の物を入手・提供し、酢卵ならフランスのワインビネガーと豪州の駝鳥の卵とか、どうせ民間療法の種は尽きないから、次から次へと常にブームの最先端にいて、しかも最大の需要者である金持の中老年は当分の間増え続けるのだから、医院での口コミだけでも大繁盛間違いなし。 うどんだってこの対象になれぬ筈はなく、呆けかかっていてもすっごく有名な人に‘うどんが老人性痴呆症の予防に効く’なんて本を書いて貰ったら、この揺れる世の中、突然大ブームが来ないとも限らない。 もっともブームが過ぎた途端に店が潰れちゃっても困るけど‥‥。 メケラは薬やこの手の事は嫌いで、健康にはうどん屋を止めるのが一番と言うけれど、オケラは割に好きで、酵素や酢卵は飲んだことがあるし、朝鮮人参ではそれと気付かず血圧が上がって酷い目にあった。 今は血圧を下げるという根昆布を浸けた水を飲んでいる。 でもこれはオケラがやっている沢山の健康法の中のほんの一例で、本当は嫌われてもくどくど書きたいのだけれど、とても全部は書ききれない。 まァ兎に角、精神的健康に一番役立つのは、若し仮に出来ればの話だが、メケラの笑顔に何時も接すること。そして肉体的な極め付けは、机に座っている人には判るまいが、何といっても元気でうどん屋をやり続けること。 エ、これ矛盾してる? どこが?
−−−−−−−−−−1994.03記

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