2001年木曽駒宝剣旅行記・2日目

10月7日


 始発バスの時刻は駒ケ根駅前発5:30,これはこの3連休中のみの増発便である.何としてもこのバスに乗らないと後で悲劇になることは目に見えていた.発車時刻1時間前の4:30頃ホテルをチェックアウト.バス停の列はまだそんなにはできていなくて7番目だった.これで間違いなく始発バスに乗ることができる.昨日買いこんだパン,おにぎりを食べる.早朝ということで寒い.持ってきたセーター,ジャンパー類を全て着込む.バスの発車時刻が近づくにつれ,リュックを背負った人が続々と集まり,並んでいる列は数十人となった.発車時刻直前になってようやくバス1台が現れ,順番に乗り込む.ところが後ろのほうに並んでいた人は,座れないことが判ると次のバスで行くとのことで,結局補助イスを含めてほぼ全員着席で駒ケ根駅前を発車.バスを見送った人たちは後で悲惨な目に遭うのにと思いつつ.
 約15分で菅の台バスセンター前に到着.バス停に並ぶ人々の列は数百メートル!朝6時前からこんなに並んでいるとは...果たしてあの人たちは何時間待ちなのだろうか.我々の乗ったバスは満席ということで,菅の台バスセンターを通過した.菅の台は大駐車場が多数あり,ロープウェイ駅までマイカーで乗り入れることは禁止されている.したがってマイカー派はほとんど菅の台からバスに乗る.菅の台始発の臨時バスが多数設定されているものと思われるが,あれだけの人をさばくのは大変だろう.菅の台を過ぎるとバスは山道を登って行く.途中何台ものタクシーとすれ違う(ロープウェイ駅に着くまでに数十台!!).マイカーは禁止されているが,タクシーは乗り入れ可であるため,タクシーを使えば始発バスより早くロープウェイ駅にたどり着くことができる.なおタクシーは予約でいっぱいとのことであった.さらにはロープウェイ駅直前付近でバス2〜3台とすれ違う・・・ということは,菅の台始発の臨時バスが我々の始発バスより早く出たということか.バスの車窓は美しい.天気も良く,紅葉に染まった山々が上のほうまで美しく輝いている.これだけで早起きして来た価値がありそうだ.駒ケ根駅から約1時間でロープウェイ駅しらび平に到着,予想通り列ができているので,バス運賃を支払い列の最後尾に並ぶ.行列の長さは100メートルくらいだろうか.なんとか1時間待ち以内で乗れそうだ.並んでいるとトイレが限界に近くなったので,一緒に並んでいた人に荷物を持ってもらい,トイレに駆け込む.すっきりして戻ってきた後,切符売り場で切符を売っているようなので,引き続き荷物を見ていてもらい,その人の分と2人分の切符を購入する.私はインターネットで見つけた割引券を持っていたので,2人分1割引で購入することができた.ちょうど切符を購入し終わったころ,整理券の発行が始まった.整理券番号は90番くらいで,ロープウェイが60人乗りであるから,整理券配布者の中で2台目のロープウェイに乗れる.ロープウェイはダイヤを無視した9分間隔のピストン輸送が行われているため,待ち時間は約30分である.これでロープウェイ乗車便の確保ができ,やれやれである.バスは次から次へと登ってくるため,次のバスであったらと思うとぞっとする.
 ようやく番号が呼ばれ,乗車口に並ぶ.ロープウェイには一番最後に乗り込む形で何とか窓際を確保する.ロープウェイは発車とともにぐんぐん高度を上げる.眼下の紅葉はちょうど見頃で大きな歓声が湧く.約8分で終点の千畳敷駅に到着した.ここは標高2611.5mの日本最高所の駅として有名である.千畳敷駅前は目の前に宝剣岳の雄姿が,快晴の真っ青の空と対比して美しく輝いている.一方ロープウェイ駅裏手に目をやると,富士山と南アルプス連峰が雲海上にそびえている.こんなに快晴の日は珍しく私は大変興奮した.肝心の紅葉はちょっと遅く枯れかけていたが,それでも宝剣岳は美しい.千畳敷駅前およびすぐ近くの剣ヶ池から見る宝剣岳は美しく,1時間も写真を撮ったり景色を眺めたりして過ごした.
宝剣岳
▲千畳敷より宝剣岳
雲海の上の富士
▲雲海上の富士山・南アルプス連峰

 まずは宝剣山荘を目指して歩き出す.ロープウェイで次々と人が登ってくるので,登山道は渋滞している.団体客の登山ガイドがゆっくり歩くので,ペースは無茶苦茶遅い.ちょっと歩いては立ち止まるといった感じだ.前方を見ると宝剣山荘までの登山道が全て人で埋め尽くされている.途中,後方からガスが迫ってきて,ガスとの競争で登っているようだ.千畳敷から宝剣山荘まで約1時間もかかってしまった.適度に立ち止まるペースであったため,ほとんど疲れなかったが...宝剣山荘に着いた時にはガスが千畳敷駅一帯の高度まで来ており,ロープウェイ駅が見え辛くなってしまったが,頂上付近はまだ快晴である.ここから団体客を含む登山客のほとんどは木曽駒ヶ岳頂上を目指す.しかし私は単純往復の行程がいやなので,宝剣岳頂上を目指す.宝剣岳は非常に危険な箇所があり,本格的な登山装備・経験がない人は行かないようにとしきりに案内していたが,おかまいなしに進むこととする.この案内のおかげで,宝剣岳を目指す登山者は少ない.
 確かに危険な一歩間違えば谷底という箇所がある.そういう鎖場で「怖い怖い」と叫ぶだけで,トロトロとして全く進まないおばちゃん連中がいる.すれ違いもできない狭いところなので大迷惑である.こういう人たちが多いからかこの道に一般の人を案内させないようにしているのか.宝剣山荘から約20分で宝剣岳頂上に到着.頂上は岩場になっており,10人も居れないような狭さである.頂上からの眺めは最高で,すぐ前になだらかな木曽駒ヶ岳の頂上が見え,その遥か彼方向こうには穂高連峰,槍ヶ岳が見える.一方背後には富士山が美しく,南アルプス連峰の3000m級の山々も見事に見える.
木曽駒ヶ岳と穂高連峰
▲宝剣岳頂上より望む木曽駒ヶ岳頂上および穂高・槍連峰

 頂上で30分くらい景色を堪能した後,反対側へ下山を開始する.ゆっくりゆっくり下山しながら極楽平に到着.お腹が空いてきたので,昼食とする.このころになると千畳敷はガスで覆われ,ロープウェイ駅が見えなくなった.また宝剣岳頂上も若干ガスがかかるようになってきた.食事後は,千畳敷のロープウェイ駅へと下る.ロープウェイ駅では,まだどんどんと下から上がってくる人がいる.しかしガスで何も見えない景色は気の毒だ.朝一番に来ていれば絶景だったのに.下り便を待つ人はそれほどいず,まだ整理券を発行するまでにはなっていなかった.景色も期待できないので,とにかく下山することにする.ロープウェイ乗り場に並ぶが30分も待たないうちに乗車できた.
 ロープウェイ眼下は美しい紅葉であるが,若干ガスがかかっている.そして下のしらび平駅に着いてびっくり.やけに人が多い.弁当を広げて食べるなど,人,人,人.よく見るとみ〜んなロープウェイ待ちの人のようだ.掲示を見ると,なんと待ち時間4時間!!今整理券を受け取ると17:00から登るということか.しかも上はガスしか見えないというのに,お気の毒に(確かにしらび平は青空が出ているので上を期待するのもわかるが).放送では,「赤の整理券○番〜○番までをお持ちの方,改札口の方へお越し下さい.赤の整理券は***番まで行きますと次は青の整理券になります.青の次は黄色です.」とか案内している.なんと整理券は1色では無く,色々な色を発行しなければならないほど混雑しているようだ.案内板には17:00頃までの乗車時刻と整理券の色と番号がびっしりと書かれていた.
 気の毒な人たちを見ているのも悪いので,さっさとバスに乗って駒ヶ根市街へと脱出する.菅の台バスセンター行きの臨時バスは頻発していたが,駒ケ根駅行きは定期便のみである.高速バスで帰ろうかとも思っていたが,乗り場が高速の駒ヶ根インター付近で駅と乗り場が違うこと,バスの時刻を調べていなかったことなどで,とりあえず終点の駒ケ根駅まで乗車.駅で列車の時刻を調べていると,待ち時間がわずかであったため,行きと同じく塩尻経由で帰ることに.念のためしなの号は指定券を取った.岡谷,塩尻,名古屋,京都と乗り継ぎ,枚方の実家へと帰った.翌日の京阪の寝屋川車庫公開に備えて.(完)

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