山へ。

残暑お見舞い申し上げます。

先月、岐阜の誕生山から天王山へハイキングに行ってきました。 前々日まで降っていた雨も上がり、梅雨も開け、天気も上々、また久しぶりということもあって楽しみに出掛けました。

バスハイキングということで、このコースを選ぶ時に健脚向けを選ぶには選んだのですが、 よくよく考えてみれば山を登って下りてくるのですから登山でしたね。 どちらかというとハイキングというよりは登山入門か初級者向けといった感じでした。

そんなわけで、午前九時に歩き始めて一時間弱。岩場あり、手すりあり、獣道あり、倒木あり。 それだけでなく傾斜四十五度の上りが延々と二十分。それも三回。 おかげですぐに全身汗だくになり、「なんでこんなところにいるんだろう」と思わずにはいられませんでした。 それでも自分の足を頼りに進むしかありません。

誕生山山頂から天王山への縦走も、急な下りがあるかと思えばまた上り。 もちろんいくつか眺めのいい景色をみる場所もありましたが、まだ先があるかと思うと そうそうのんびりしてもいられず、案の定天王山からの下りも傾斜四十五度を五十分ひたすら降り続けました。 今度はまさに崖っぷちあり、ロープあり、途中涼しげな沢があったものの、 すべらないよう気を付けながら足は最後にはがくがくに。 「転がって降りて行った方が速い」と何度思ったことか…。

さて下山して大矢田神社に着いてからもが、また大変でした。 時間は真昼間。しかも今度はゴールまでの平坦ながらもアスファルトの道をほぼ一時間半炎天下。 こうなるともう武者修行というほかありません。 結局最終的にゴールしたのが午後二時半でしたから、昼食や休憩を除いても約五時間歩いたことになりました。 普段小さいペットボトル程の水分しか持ち歩かない私でも、さすがに下山して、 自販機をみつけて一本。ゴールして一本。帰りのサービスエリアで一本(いずれも五〇〇)と 本当によく歩き、よく飲みました。大変でしたが心身ともに清清しく、久々にいい経験でした。 ですがおかげで言うまでもなく、その後の筋肉痛はただならぬものでした。

最後になりましたが報告です。
ちょうど六月にこの「水の譜の上で」を更新したその日、愛鳥が亡くなりました。 ですので、この山へは(その大変さも手伝って)途中から弔いの気持ちを込めて歩きました。

今は私の部屋からすぐみえる木の根元に眠っています。
胸に抱いたあのやさしいぬくもりは、きっと一生消えることはないでしょう。 あの子が遺してくれたたくさんの宝物と一緒に。 <2010.08.15 vol.120>

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