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（越谷市）大聖寺三十一世法印戒澄
　　　　（幕末・明治前期(1844〜1882年頃）
　　　　　　　　　　　八行書「政敏居士歎徳」

法印戒澄、〈姓名・生没年不詳〉だが、西方村（現越谷市相模町）の大聖寺三十一世住持。なお、大聖寺は、天平勝宝二(750)年の創建になる真言宗豊山派の古刹で、山門＝仁王門には老中＝松平定信揮毫の扁額＝眞大山があり、徳川家康の寝具と共に越谷市の文化財に指定されている。成田の不動（新勝寺）・加須の不動と併せての、関東の三大不動――大相模の不動でもある。なお、境内には、当家二十三代――中村有道軒万五郎政敏の建碑＝有道軒先生碑がある。

本八行書「政敏居士歎徳」――

　　夫秘密灌頂之軌則者唯佛与佛之境界也
　　　　　　然則今年閏在於照光人亦飜月花之
　　袂當日会点於沾洗衆皆惜三月之影乎爰
　　　　　　新円寂有道院覚範政敏居士天性聡
　　明而能伝神道無念之流自然敏心而偏垂
　　　　　　近郷有道之範恵教兼備而離辺邪之
　　謗言行相而有縣領之譽異朋同朋共為免
　　　　　　許自流他流更尚奥儀可謂実剣道之
　　梁棟焉惜哉不測娑婆之縁尽冥道黄泉趣
　　　　　　旅行今日只今也然為祈幽魂菩提荘
　　荼毘之儀式仰有縁之導師送葬十界舎那
　　　　　　本土今授処金胎両部之秘印示処即
　　身成佛印授也依秘文曰　相下脱應　

　　　　　若人求佛慧　　通達菩提心
　　　　　父母所生身　　速証大覚位

は、有道院覚範政敏居士の歎徳に併せて、導師としての即身成佛を念じたもの。そのための供養である経文＝空・風・火・水・地（梵字）に続けて、左方には、落款（署名）――萬延元年庚申閏三月二十有六日諷誦之　　　真大山主　法印戒澄と二つの印章（各〈判読未了〉）とがある。