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塗装工程を待つギターが工場の天井からベルトにぶら下がり運ばれてくる。レスポー ルの多さに驚く。 ES335。レスポールと双璧をなすエレクトリック・ギブソンの名作。セミアコース ティックボディが特徴。 レスポールから発展したSG(ソリッド・ギター)カスタム。薄いボディで、ロック好 きにはこのギターのファンが多い。 |
以前(25年も前だが)、ボクはレス・ポールの60年型を所有していたことがあった。趣味でバンドをやっている頃だ。チェリー・サンバースト・フィニッシュの美しいギターだった。いまでも音色の良さ、特にオーバードライブのきいた音の太さは忘れられない。そして、何よりもギターが丁寧につくられていたし、堅牢でもあった。そんな時代のギターの感触が忘れられないのだ。現在では、レス・ポール神話とまでいわれるサンバースト・モデルは、1958〜60年の間に約1500本程度が製造されただけ。当時、知り合いから安価で譲り受けた ギターだが、こんな希少価値が出るなんて想像もしなかった。 先日も知り合いのギターショップで、58年型のレス・ポールを見せてもらった。その店では59年のリイシューモデルも売られていた。40年の年齢差のある2本のギター。リイシューモデルもよくできている。まして、本物の58年モデルの10分の1 程度の値段で買えるのだから、おじさんたちが買いにくるわけだ。 40年前のレス・ポールとあきらかに違う点は、木の材質だと思う。当時は良質の木材が選べたし、40年間木は生き続けている。それがギターの鳴りを決定しているのだ。リイシューモデルが古いレス・ポールを超えられないのは、時間の長さだけかもしれない。今後、良質の木材でギターをつくることはさらに困難になっていくだろう。すでに、ローズウッド、マホガニー、メイプルなど、良質の木材を手に入れるには、環境と相談しなければならない。永遠の名器といわれた59年レス・ポール。リイシューモデルは最後の永遠の名器といわれるギターになるのかもしれない。 ナッシュビルでお目あてのギターと出会うことはできなかった。出会いがなかったのだと、あきらめることにした。 さて、後日談である。帰国してから、通りがかったヴィンテージギターの店に入ってみた。買うつもりはなかった。ただ、ギターの気配に惹かれたのである。出会いは、そこにあった。69年のレス・ポール・カスタムのいいのがあったのだ。ちょっとボロだけど、鳴りはいい。部屋の隅に立てかけたそいつを見ると、こいつもあのギブソンの工場からやってきたのだと、あらためて思うのである。 |
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