アンの青春の明日が輝く言葉−第113回 松本侑子ホームページ
さて、今日は名前についてです。 ご自分の名前が、もっと優雅で洒落ていたらいいのに……と思っておられる人もいらっしゃるかもしれません。 アンも、自分の名前はありきたりで夢がないと感じていました。『赤毛のアン』のなかで、ジェラルディン、コーデリアと、まるでお姫様のような名前を自分につけていたほどです。 『赤毛のアン』第5章でも、アンは、「薔薇はたとえどんな名前で呼ばれても甘く香る、って本(「ロミオとジュリエット」)で呼んだけれど、絶対にそんなことはないわ。もし薔薇がアザミとかスカンクキャベツという名前だったら、あんなにいい匂いはしないはずよ」と語っています。つまりアンは、名前の響きほうが、実体よりも大切、という言葉の世界に生きる女の子だったのです。 そんなアンも大人になり、人の名前は、その人の行いによって、美しくも醜くもなることに、気づいたのです。 名前を耳にした人が、ほがらかな温かい心地になる……そんな優しいふるまいを、心がけたいと思います。 松本侑子
この言葉は、『アンの青春の明日が輝く言葉』(松本侑子著、ディスカバー21発行・1200円)の72頁に掲載しています。どうぞ書店でご覧下さい。 『アンの青春』(モンゴメリ著、松本侑子訳、集英社)より引用 著作権保護のため、無断転載を厳禁します |