アンの青春の明日が輝く言葉−第59回                 松本侑子ホームページ

「今日の美しさを存分に味わいたいもの。まるで今日という美しい日が、幻想の赤ぶどう酒のグラスを、口もとにさし出しているようだもの。一口、また一口と、一歩進むたびに味わって行きたいの」

                        
 『アンの青春』第21章

 赤々と紅葉した森のなかを歩くアンの台詞です。
 色づいた葉に、あたりの空気までもが赤く、芳しく感じられ、まるで赤いぶどう酒をそそいだグラスを、唇の前に差し出されているようだ。だから、一歩、一歩、森を歩くたびに、その美酒を一口、一口、味わい、飲み干すようにして行きたいと、アンは語っています。
 モンゴメリは美しい景色を、しばしば美酒にたとえて表現しています。あなたも秋の美しさというワインをうっとりと味わって下さい。


松本侑子 


『アンの青春』(モンゴメリ著、松本侑子訳、集英社)より引用
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