アンの青春の明日が輝く言葉−第53回                 松本侑子ホームページ

 アンはヴェランダの端に腰かけ、やわらかにそよ吹く西風の魅力にうっとりしていた。灰色に暮れていく十一月の黄昏どき、風は鍬を入れた畑をわたり、庭の下に並ぶとがったモミを揺らして、かすかに木枯らしのメロディをかなでていた。

                        
『アンの青春』第9章

 朝晩はすっかり寒くなり、日に日に秋の深まりを感じます。みなさま、いかがおすごしですか。私はひどい風邪をひいてしまいました。
 晩秋の夕暮れ、身にしみるような冷たい風が吹きます。けれどアンは、木枯らしのメロディにうっとりと耳を傾けます。ちょっと見方を変えると、寒い秋の夕方も、美しい風景として心に映るのですね。何を見るにもアンのように、うっとりと眺めてみたいと思います。
 それでは、どうぞ暖かくなさって、お元気でおすごし下さいね。

松本侑子 


『アンの青春』(モンゴメリ著、松本侑子訳、集英社)より引用
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