アンの青春の明日が輝く言葉 第39回
「教えることには、苦しみもあるけれど喜びもあるって、その日の夕方は、あらためて思ったわ」──『アンの青春』第11章
教え子たちが書いた作文を読んだアンの台詞です。生徒たちの成長ぶりに、つくづくと感動したのです。
学校や塾の先生をしている人はもちろん、自分の子どもに勉強を教える親ごさん、後輩に仕事を教える立場の人など、さまざまな人が、教えることの大変さ、と同時に、その後の感動を経験されていることでしょう。
私は今年、大学で教えることになり、毎週の90分の講義の準備に、とても苦労しました。主なテーマは『赤毛のアン』に引用される英米文学の解釈です。
そして学期末、学生たちから、『アン』の中に出てくる19世紀の英米詩とシェイクスピア劇について論考したレポートが70部以上、届きました。それぞれの学生が、『アン』に古典を引用したモンゴメリの文学技法と引用意図について、独創的で深い解釈を展開していて、読みながら、次第に涙が出てきました。
というのは、私が教えたことをもとに、さらに一人一人が独特の思索や調査をして独特な考えを披露していて、彼らがいかに私の話をよく聞いてくれて理解してくれたか実感し、さらにリポートを熱心に書いてくれた努力に、心から感動したのです。
教えるという仕事は、種をまき育てる仕事なのだと、あらためて実感しました。教え子たちのレポートは、生涯の宝ものです。子どもたちは、予想もつかないほど大きな潜在能力を持っているのです。(松本侑子)
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