アンの青春の明日が輝く言葉 第33回

八月の昼下がりというものは、今では滅多に使われないラテン語の難しい詩を読むより、うっとりと夢想にふけるほうがふさわしい。収穫をむかえた丘の斜面には、青々としたかすみがたなびいている。そよ風は、妖精のささやきのようにポプラのこずえをさやさや鳴らして吹きすぎ、真っ赤に咲く鮮やかなヒナゲシを、ゆらゆらおどらせる。ケシの赤い花は、サクランボウの果樹園のすみに植えられた、若いモミの深緑のしげみに美しく映えている……。──『アンの青春』第1章

八月も終わりの昼下がり……。見えないところで少しずつ秋に近づいていく景色をながめながら、しばしのあいだ、思いきり楽しくてバラ色の想像をしてみましょう。
そんなひとときが、あなたの夢の世界を深くしていきます。(松本侑子)

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