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☆以下は、小さな付録です。
モンゴメリがこの4行を『アンの青春』の冒頭にかかげた理由は、私の考えでは、もう一つ、あります。
それは、前作『赤毛のアン』の最終章(第38章)とのつながりです。
『赤毛のアン』の最後の一段落は、次のように始まります。
「クィーン学院から帰って、ここにすわった晩にくらべると、アンの地平線はせばめられていた。しかし、これからたどる道が、たとえ狭くなろうとも、その道に沿って、穏やかな幸福という花が咲き開いていくことを、アンは知っていた。真面目に働く喜び、立派な抱負、気のあった友との友情は、アンのものだった。」
『赤毛のアン』モンゴメリ著、松本侑子訳(集英社文庫、2000年発行)
大学進学をあきらめたアンですが、真面目に働き、高い抱負をもち、友との友情を育んでいけば、村の教師となる道にも、幸福の花が咲き開いていくであろとアンは信じています。
そして続編の『アンの青春』の冒頭では、
「彼女のゆくところ次々と花が咲きいづる」という一節を、モンゴメリはかかげて、アンの人生行路に幸福の花が咲いていることを、私たちに教えているのです。
このように、『赤毛のアン』の末尾と『アンの青春』の題辞がうまくつながるように、モンゴメリは工夫しています。
同じことは、『アンの青春』と『アンの愛情』にも言えます。『アンの青春』の最後の章の言葉が、『アンの愛情』の題辞(「眠り姫」をモチーフにしたテニスンの詩の一節)と、見事につながっています。
これはまた、いずれ『アンの愛情』が本になったときに、詳しくご紹介したいと思います。
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