アンの言葉 NO.24

「『わが人生は希望を埋葬した墓場なり』 前に読んだ本の一節よ。がっかりするといつも、慰めにこうつぶやいてみるの」

−−『赤毛のアン』(松本侑子訳・集英社文庫)第5章より引用

★がっかりして、傷ついて、みじめで、憂鬱……。アンも落ちこむ時はある。そんな日は、無理に明るくなろうとしない。「わが人生は希望を埋葬した墓場なり」とつぶやいて、アンは感傷にひたる。
 西洋の墓地は、緑ゆたかな芝生。そこに実らなかった希望を埋めた墓石が、点々とたち並んでいる。
 アンの場合は、黒い髪になるという希望がかなわず埋めたお墓、家族をもつという希望を埋めたお墓……が並んでいる。失意のアンには申し訳ないけれど、なんだか微笑ましくなる。こうして自分の落ちこみを客観的に見られるようになったら、立ち直りにむかっている。
 十八世紀アメリカの詩人レベッカ・ハイネマンの「聖書の女たち」にも同様の一節がある。
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