EASY84シリーズその4「帰ってきたウルトラ3分タイマ」(2002)

EASY84シリーズとは、PIC16F84を使って簡単な電子工作を楽しもうという企画である。



4回目は音を出すがテーマである。
音を出す方法は、前回、前々回のように外部の音源を リレーや直接制御などで行う方法をすでに紹介した。

今回は外部装置を 使わずにPICだけで音を出そう。
発音素子は圧電サウンダを使用する。(右画像)

圧電サウンダとは、電圧を加えると変形するセラミックの性質を利用したもので、 交流を加えると連続的に変形して音が出る。

加える周波数を変えると音色も変化するので、ブザーなどの単音と違い、 スピーカーライクな発音が楽しめる。



上図の回路で、ポートの出力をHiとLoを交互に出力すれば、その周期に応じた音が出せるという わけである。
従って、出力を変化させるタイミングを調節してやれば、音色を変えることができる。

このしくみを利用して、タイマを作る。タイマといってもただのそれではない。
題して「帰ってきたウルトラ3分タイマ」なのだ!ざっばーん!

オンにすると、まず緑色に点滅。
3分後にあのカラータイマサウンドと共に赤い点滅に変化する3分間しか測れないウルトラ単機能タイマである。

ところで、なぜ「帰ってきた」なのか?
それは、1990年の作品としてすでに発表しているからである。
当時は、まだPICは存在していなかったので、タイマIC(555)を使って製作した。
回路図はこうである。

タイマICを3つ使用している。
IC1は3分計測用、IC2はLED点滅用、IC3はサウンド発生用である。
IC1は単安定回路、IC2,3は無安定回路である。IC3はCTL端子に加える電圧を 変化させてサウンドの音色を変化させている。

当時、これらの部品を使用して、コンパクトに収めるのは大変だった。
ちょうど仕事でハードウェア設計をしていたことも手伝ってか、 フラットパッケージやチップ部品を用い、またエッチングしてパターンを起こして作ったのだったなぁ。 (下の画像。ここで、感慨にふける作者。)



さて、これを今回はPICを用いて実現する。
前述の回路と比較してみると、とてもシンプルだ。反面、ソフトウェアが必要というわけなのだが。



部品

LED
2色LEDを使用する。1つで2色(赤と緑)発光できる。



圧電サウンダ
前述のものです。ハイ。

透明プラスチック半球
適当な大きさのもの。
工作材料を扱っているお店で売っている。
何でもいいので、何かの容器で利用できるものがあればそれがいい。
ちなみにいわゆる「ガチャガチャ」の容器では少し小さすぎであった。

タイピン台
胸にとりつけるための金具。


製作

1.基板の製作
ユニバーサル 基板を丸くする。周囲を細かくニッパーで切り取っていき、最後はヤスリで仕上げるとよい。
次に部品を取り付け配線する。



電池は CR2032を使用する。基板ウラ側にホルダを取り付ける。
またウラ側にスイッチとタイピン台を取り付ける。




2.ケースの製作
タイマの発光 部分は大きくしたい。しかしLED自体は小さいものなので、少々工夫をしなければならない。
まず、白い画用紙か薄いプラ板を丸く切り、LEDにかぶせる。反射板である。



次に、キッチ ン用のラップを無造作に丸めて、プラ半球の内側に貼りつける。
これによりLEDの光が拡散され、全体が発光しているように見える。
(ただし、緑は暗いため明るいところでは効果がない。)




3.完成
プラ半球を基板にかぶせて完成である。


胸につけた状態。


動作のようす(サンプルムービー) (MPEG 957KBytes)
(注)わかりやすいようにあまり明るくない環境で動作させています。


おわりに

このタイマの使い道は多くない。
というか実用性を期待する方がマチガイである。
とにかく3分間計りたいときに使おう。
カップラーメンかな、やっぱり。