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そこで、城島と明雄さんが訪れたのは広大な集合農地。 目にしたのは、いわゆる“手押しポンプ"。 深さ8m以内なら、水脈から直接水を引き上げられる、打ち込みタイプ。 明治以降、伝染病拡大防止のため、開放型の釣瓶式から改善されていった、衛生的な密閉型の井戸システム。 いまだに東京だけでも、50基以上が現役で活躍している。 その魅力は、衛生面だけでなく、レバーの上げ下げだけで連続的に水を出せる、利便性。 この土地ではその利便性、各畑で活かされていた。 |
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気になるのは、その構造と仕組み。 シリンダーである本体内部で稼働するのはピストン。 ちょうど注射器の様に、気圧を利用して水を揚げているはずだが、ピストンの上にまで水があるため、詳しい構造はよく見てとれない。
古川さん「家に外した古いやつ(ポンプ)があるから見てみるかい?」 きゅうり農家の古川さんの倉庫に眠っていたのは、5年前まで8年間使用したという手押しポンプ。 外形は鋳物(鉄)、ロッドの先には木製のピストン。 ピストンの中央部には穴が貫通し、その上には穴を塞ぐ、皮でできた弁が付いている。さらにシリンダー底部にも鉄の弁。 |
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ポンプは、1つのピストンと上下2つの弁の働きで水を揚げるもの。 ピストンの上には、呼び水が不可欠。 つまり、水の蓋で内部の空気を完全に閉じ込め、その状態でピストンを上げると、シリンダー底(下)の弁が引っ張られる様に開き、その分、シリンダーに水が入り込む。そして今度は下げると、ピストン(上)の弁が下からの圧力で開き、水はさらに上へと流れ込む仕組み。 内部が水で充満されても起こる原理は同じ。 上に溜まった順に、水は外へと吐き出される。 |
(私の足です。)
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