天羅万象をやってみました その2


■プレイ日/場所
2000年3月18日/府中 片町文化センター


八王子霙子(助手): 分倍河原博士、パソコン買ったんですぅ
分倍河原仁也(博士): イイねえ。して、スペックは?
助手: えーと、CPUはペンティアムの500メガで、ハードディスクは8ギガもあるんですよぉ
博士: 最近では900メガヘルツをこえるCPUもあるらしいのう。
助手: すごいですねぇ
博士: ところで八王子くんは典型的なメガネっ娘じゃが、メガネっ娘の時代ももう終わりじゃな
助手: どうしてですかぁ?
博士: もはやメガ単位の時代は終わりじゃ! これからはギガネをかけたギガネっ娘じゃ! さあ、八王子くんもギガネをかけてギガネっ娘となるのじゃよ! うひうはあ!
助手: おまえ、なに言ってるかわかんねえよ


■プレイヤーキャラクター
●ガクラン番長改めセクハラ番長(プレイヤー:大石)
 弱きを助け、尻を撫でるオーソドックスな番長。
 因縁は「女を助ける」など。
●メガネ番長(プレイヤー:たかや)
 メガネっ娘の帝国設立を心に描く、デッカイ野望の番長。(注0)
 因縁は「メガネっ娘への愛」など。
●ムシ番長(プレイヤー:おーりん)
 傀儡二人を従えた、すごい威力の式神を使う爆弾番長だ!
 因縁は「風邪をひかない」など。

 注0:メガネ番長の野望は、「メガネっ娘帝国の設立」ではなく、「メガネ帝国の設立」でした。ここに訂正し、おわびいたします。そういえば、少女だけでなく、講義をしている博士とかにもメガネを勧めていた気がした。

■NPC
●桜子
 PCに助けられたメガネっ娘。実は和泉子の妹だと思っている戦闘用傀儡。
 因縁は「和泉子への愛」/「和泉子への憎しみ」など。
●和泉子(顔見せ禁止番長)
 学園の影の番長。アーキタイプのサムライ使用。
 因縁は「弱さへの憎しみ」など。
●蒼翠の介(蔵番長)
 学園の表の番長。和泉子に操られている。
 因縁は「先に手を出さない」など。
●桃色の丞
 PCのかつての部下。

■用語
●番長
 豪族の子弟や、地侍などの頭などで、腕におぼえのある者が自らを称する語。まれに盗賊の頭領や下級貴族の若者が名乗ることもある。元々は東国の豪族の総領を指す語。
●学園
 本文中では、平安京の南にある、藤原雑務の屋敷地をさす。藤原雑務は学問、武芸を愛好し、その屋敷に多くの学究心の高い貴族や学僧、武芸者などを住まわせていた。学を求める者を広く受け入れ、漢学、仏教学などの講義も行われていた。
●傾き者
 今でいう不良。


 前回のプレイから一月、PCはすっかり使命を忘れ、わしも言うのを忘れてしまう。とりあえず、メガネ番長とムシ番長は、無軌道に酒を求めて酒蔵に侵入。酒を食らっているところに警備の傾き者がやってくる。ムシ番長は壷に隠れるが、メガネ番長は即刻警備の者を槍で殺害する。
 翌日、酒蔵を襲った者を傾き者たちが探しまわっている。PCたちは関係のない人物に罪をなすりつける。彼は連行され、翌日、彼は公開処刑される。
 処刑の場に屈強の男子が現れ、男を一刀両断にする。周囲の学生らに話を聞くと、彼が“蔵番長”橘蒼翠ノ介だという。
 そんな時、PCたちはかつての子分、桃色の丞に出会う。そこで番長グループの居場所、そして、悪の番長グループが20名程度であることを聞き出す。しかし、桃色の丞は、何者かの放ったクナイによって殺される。彼は「双子の姉妹に気を付けろ!」という言葉を残した。
 まあ、ここでPCからは桜子があやしいという発言も出たが、警戒する様子なし。実際桜子はPCの様子を見極める使命があったのだが。実力があってなびくようなら配下に、そうでなければ殺す、という和泉子は考えていたのだ。
 さて、PCたちは一日4人のノルマで、番長グループを闇討ちすることにする。
 敏捷にポイントをつぎ込んだメガネ番長が、異様な隠密能力、そして驚異的な戦闘能力を発揮し、ヒットアンドアウェイで次々に番長の子分どもを屠ってゆく。
 通常の戦闘は敏捷で解決するため、敏捷10(人間の限界)のメガネ番長はまさに無敵。攻撃しても「突き返し(注1)」で殺されるもんなぁ。

注1:攻撃を受けた者は、「突き返し」というカウンターアタックをかけることができるのである。

 このままでは悪の番長の取り巻きどもが全滅してしまう。そう思ったわし(GM)は、悪の番長に、配下のかぶき者に対する非常召集をかけさせる。
 悪の番長グループは学園内に潜む反乱分子がいると認識。闇討ちに対処するため、グループによる校内巡回を開始する。
 一方、PCは番長グループが同様のかぶき者を探しているらしいと知り、短ラン、ボンタン(に相当するような当時の傾いた衣服)を購入するため、傀儡の一人を京に向かわせる。
 確かこの辺りで、セクハラ番長は「女子の尻を撫でる」ことでキャラを立て始める。さっそく因縁を書きかえて、気合獲得だ! ルールブックにも「因縁はどんどん書きかえろ」ってかいてあるしな。

 それはそうと、以前も書いたが立川の第一デパートは密かなオタクスポットなのだ。三階にはオタクな品揃えの書店、ガレキ、トレカを売るホビーショップ、鉄道模型、モデルガンの店、アイドルグッズ専門店…などで占められている。しかし、溯ること10年、第一デパートのカードショップのあった場所には、ボンタンや警棒を販売する店があったそうだ。かつては三多摩の不良はそこでボンタンを買うという、不良のメッカだったのである。確かにその頃、不良は時代の花形だった。今や時代はオタクを祭り上げている。しかし、今でもどこかにボンタンとか売ってる店あるのかねえ。あるような気はするけど。

 翌日も着実に闇討ちで子分を減らすPCたちだが、メガネ番長は子分に顔を見られ、人相書きが貼り出されてしまう。しかし、メガネ番長、「メガネを外して、同定されないようにする」という、いかにも「メガネ」らしい行為に出る。
 また、傀儡と桜子から、かぶき者が続々やってきているらしいことを知らされる。
 「子分は無限に増える」ので、そろそろ中ボスと対決してほしかったのだが、次はムシ番長が式神を使って、警ら中の子分たちを爆殺する、というテロリズム的な方向に。
 その晩もPCたちは闇討ちに向かったのだが、もはや子分の損耗が多すぎて、番長グループも安穏としていられないと判断。PCの襲撃の時点で、和泉子は番長グループの宿舎から抜け出る。
 蒼翠ノ介の腹心を倒したメガネ番長は、蒼翠ノ介と一騎打ちに。メガネ番長は槍を捨て、拳での勝負を持ちかける。これが、勝負を決めた。蒼翠ノ介はサムライ化(注2)して能力値を上げるが、格闘戦闘は無技能。それに対し、格闘技能をもち、ここぞとばかりに気合(注3)を消費してダイスを振り足すメガネ番長。蒼翠ノ介は死亡ゲージ(注4)にチェックを入れてまで応戦するが、及ばず地に倒れる。
 「俺のような奴はここまでさ…メガネ番長、学園は頼んだ」と言い残し、朝日とともに蒼翠ノ介の魂は大気に溶けていった。

注2:サムライ化というのはまあ、陰陽術でドーピングして能力値を上げること。
注3:自分の因縁に関係するロールプレイをするともらえるヒーローポイント。
注4:自分で怪我の程度を決められるのが天羅の特徴。深い傷を負えば負うほど、たくさんダイスを振れる(判定が有利になる)。要はジャンプのノリね。ちなみに死亡ダメージにすると、ダイスが3個増える(戦闘後に死ぬけど)。

 一方、メガネ番長の活躍をやや離れた場所から見ていた、ムシ番長とセクハラ番長(彼らは敏捷低いので)。そこに、縛り上げたムシ番長の傀儡二人を引きずって、和泉子と桜子があらわれる。
 和泉子は、桜子に刀を投げ与え、PCを攻撃するよう命じる。セクハラ番長は何とか刀を叩き落とす。
 和泉子は降伏を呼びかけ、傀儡の顔を切り裂いて挑発する。それがよくなかったのか、ムシ番長は身振りで傀儡を伏せさせると、効果範囲ぎりぎりに和泉子の上半身を入れて、式神を爆破する。37ダメージに耐え得るはずもなく、和泉子は粉々に。サムライなのに。全く能力発揮せず。
 和泉子の死を目の当たりにした桜子、とっさに刀をとり、ムシ番長に斬りかかる(「和泉子への愛」で気合獲得)。気合を全てつぎ込んだ剣戟がムシ番長を襲う。が、気絶にももち込めず、残った式神で逆に大ダメージを受ける。ここで死んでしまうと、誰も事の真相を語れなくなってしまうので、桜子はダメージを全部活力に入れ、気絶。

 戦闘後、ムシ番長は桜子が傀儡であることに気が付く。桜子は、まさに和泉子の野望のための道具だったのだ。桜子は和泉子の影、諜報員、身代わりとして、彼女に尽くしてきたのだった。
 桜子の立ち直りの日は遠いが、とりあえず学園に平和は戻ったのだった。

 しかしまあ、字面だけみると、とても「天羅万象」とは思えんなあ。「番長学園」だよなあ。まあ、元々わし(GM)もあんまりやる気なかったしなあ。まあ、プレイヤーとマスターとで好き勝手なこと言いながら、なんとなくまとめると、こんな感じになるってことで。わし、天羅の背景世界、そんな好きじゃないしね。実はビジュアルブック(注4)ほとんど読んでないしね。
 システム的には、ひとつの技能を、用途によって複数の能力値で判定するルールは面白かった。ただ、ある行為の判定にいろんな技能が使える場合もあって、それは把握しきれてなかったのでやや困った。
 気合や負傷ででダイスを振り足すシステムは、やっぱり、たくさんダイスを振る快楽ってのはあるわけで、単純に燃えるなあ。ゲーム的にも、負傷を入れるか入れないか、気合をどこで使うかの選択があるわけだし。
 気心とノリの知れたメンバーだったので、笑いの絶えない愉快なプレイだったが、よく知らない人や、真剣に天羅世界をプレイしたい人とはやりにくいかな、と。
 あ、シナリオはなんとなく頭の中にあっただけなので。マップとかもその場で考えたので。

注4:天羅万象ビジュアルブックは、ワールドガイド及び、ルールの全てが収録されている。つまり、箱(入りのルールブック)はいらないのである。ていうか、もう箱、手に入んないけど。


RPG研入口へ
ニャー国 黒の広場へ