D&Dについて
「Dungeon&Dragons」は、テーブルトークRPGの元祖と呼ばれるゲームである。「指輪物語」の世界観を借り、その架空世界での会話形式による冒険、プレイヤー間で勝ち負けの存在しないルール、経験値と成長のシステムという発想はまさに革命的であった。
D&DはコンピュータRPGの元祖「Wizardry」に直接的な影響を与え、以後隆盛を誇るコンピュータ・ファンタジーRPGの方向性を決定した。
1980年代にD&Dは翻訳され、最初のテーブルトークRPGブームの主役となった。当時、ルールは初級から上級に向けて幾つもの段階に分けて発売された。その中でも絶妙のバランスを誇るベーシックルール、エキスパートルールはそのパッケージの色にちなんで「赤箱」「青箱」と呼ばれ親しまれた。
海外ではD&Dの上級ルールである「Adovanced Dungeons&Dragons」が主流となり、数え切れないほどの追加ルール、世界設定が発売された。残念ながらAD&Dは基本ルールブックが翻訳されたところで邦訳版の発売は中断された。
以後、日本ではTRPGの主流の座は「ソードワールド」に代表されるグループSNEの作品や「トーキョーNOVA」などのF.E.A.R.の作など、和製RPGに独占される。
以後、日本のTRPGは90年代後半に向け緩やかに衰退するのだが、その中で長らく絶版となっていたD&Dはメディアワークスに版権を移し再発売される。海外でルールの集大成として発売されていた「D&Dエンサイクロペディア」の邦訳で、当時の主流だった文庫サイズでの発売だった。また、グループSNEが翻訳を担当していた。
邦訳版は初級ルールと上級ルールとに分けての発売だったのだが、当時のTRPGプレイヤーには受け入れられなかったのか、上級ルールが発売されることはなかった。
海外では「マジック:ザ・ギャザリング」のウィザーズ・コーストが「D&D」の版元を買収。D&D、AD&Dを統合する新ルールとして「D&D 3rdEdition」が発売される。
現在、TRPGはふたつの流れを持っているように見える。フツーの若いオタクをターゲットとした安価で簡単、アニメ的、ライトノベル的表現のもの。「ナイトウィザード」「アルシャード」などがその代表だ。もうひとつは、昔からTRPGを遊び、現在は自由になる金銭を多く持つ、古くからのマニアを対象とした高価な翻訳もの。「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」「ヒーローウォーズ」などだ。
D&D第3版は、後者のひとつとして翻訳された。発売元は、かつては随一のTRPG情報誌を発行し、最も翻訳ものに強い版元でありながら、RPG衰退時には真っ先に撤退を決めたホビージャパン(ホビージャパンは「マジック:ザ・ギャザリング」の翻訳権も持つ)。翻訳は、かつて「RuneQuest」翻訳チーム「グレイローズ」の筆頭だった桂令夫を中心とする翻訳チームである。
カードゲーム雑誌によるサポートなども始まったが、現在のカードゲームをやる若者に受け入れられるのかは、疑問である。