Call of Cthulhu シナリオ

奪われた肉体

2001年3月使用


■元ネタ
H・P・ラヴクラフト「扉に立つ怪物」
99年にプレイした時から、ネタは考えてあった。

■NPC
・都 毅
駆け出しのフリーライター。専門は高校生などを中心にした若者文化。「ファイヤスターター」は彼の妹の友人。
・草薙 光一
元四菱化学の研究員。今は魔道師。自分と他人との肉体を入れ替える術を使う。2年間の研究によって、術はより完成度の高いものになっている。
《精神交換》には相手への好意が必要とあるが、彼は《制圧》したうえで《交換》をかけているのである。
・JACK
超能力少年少女グループのリーダー。中学生くらいの少年。テレポーテーションなどの能力を持つ。
・海江田
 四菱化学総務部の社員を名乗る男。

1.
高校生の変死事件が相次ぐ。
警察関係などのキャラには捜査の指令が出る。
編集部には、フリーライターの都から、ネタとして持ち込まれる。
主に自宅やラブホでの性交中に死亡したと思われる。
ネットで調べると、「すんごいラブドラッグがある」という噂になっている。
ドラッグを使用すると、知覚が鋭敏となり、浮遊感などがあるという。
もし現場に居合わせ、適切なロールに成功すれば、ドラッグの入っていたラベルのない小瓶を見つけられる。
中身を分析しても、「人間の体液に近い組成である」ことしかわからない。
魔術的に調べることができれば、魔法的な薬品であることが分かる。

2.
調査を進めると、例の少年(JACK)がドラッグの流通にかんでいるらしいことが分かる。
しかし、今回彼らは、そのドラッグの元締めではない。単に便利なので使っているだけ。
「スカウトするのに便利なんでね」
「君たちには犬の件で借りがあるしな。協力しよう」
「実は超能力者をスカウト中に仲間の亜美という中学生が消えている。知らないか?」
「こっちのサーチにも引っかからない。死体でも引っかかるはずなんだが…」

PCたちが何らかのアクションを起こすと、四菱化学がPCたちに接触してくる。
四菱化学の総務部 海江田という30代の男が接触してくる。
真琴の写真を見せ、以下のようなことをPCに話す。
・2年前、草薙という社員が開発中の薬品と研究データを持ち逃げした。
・独自の調査で、その薬品は真琴が持っていることが判明した。
・真琴の居所がわかったら教えてほしい。それ相応の謝礼は出す。

調査を進めると、真琴の姿を見かける。
真琴の両親などに調査をすると、真琴は今都内で一人暮らしをしているらしい。

少年たちから連絡がある。
「真琴と亜美を見かけたという情報が入ったが、こっちも人手不足だ。もし亜美を見かけたら連絡してほしい」

調査中に、都は失踪する。

真琴の部屋に行くと、真琴は簡単に取り押さえられる。ていうか、真琴は縛られている。
しかし、真琴は混乱しており、何も聞き出せない。
真琴の部屋には、意味不明のメモや書類が多く残されている。
都が戻ってきたときには、女子中学生(亜美)の姿になっている。
「俺です、信じてもらえないと思いますが、俺です、都です」
「俺、八王子の山奥の資材置き場に監禁されてたんです。」その間のことは《制圧》されていたのでよく覚えていない。
都(の肉体)は翌日、小学校に侵入し、数人を殺傷した後、教室に立て篭もる。そこらへんで人格を戻される。人格の交換には数分の時間を要する。
都はその隙に拘束、逮捕される。
“さっきまで都だった”中学生は消えている。

最終的には草薙と対決。
彼は魅了系の呪文で攻撃してくる。(PCが乗っ取られたかのように)

・超能力賦活化ラブドラッグの出所は、ユゴス系。
・流通させているグループのひとつは、少年のところ。
・もうひとつは真琴のグループ。真琴に憑依した草薙は、より優れていて美しい肉体を求めている(それと、PCたちに面が割れているので)。

■アイテム
超能力賦活化ラブドラッグ「JKP」
 2D6のPOTを持つ。POT×5%で、超能力がランダムに発動する。その後、トタルHPにPOTに等しいダメージを受ける。

■実際のプレイ
 情報の提示のしかたをちゃんと考えていなかったので、真琴のところにたどり着くまで意外と時間がかかってしまいました。実際、意図しない方向にPCたちが調査に行ってしまい、代替の情報提供手段をうまく思いつかず、困りました。
 草薙との対決が、資材置き場に向かう車中で起こったのですが、誰がどこにいるか明確でなかったため、もめる。こういうことははっきりさせておくべきでした。
 草薙にはいろいろ呪文を仕込んであったのですが、全然使えないままでした。

■それと
 このシナリオを作成し、プレイしたのは大阪で児童殺傷事件の起こるだいぶ前のことです。「うわあ、本当にやる奴がいたよ」と思ったものです。
 草薙は「二度と娑婆に出て来れない犯罪ってこんなかにゃ」と思ってやらせたってことで。
 人格入れ替わってるから「解離性人格障害」っぽいよな。
 もしそう判断されれば、出てきちゃう可能性もあるけれど。
 しかし宮崎勤ですよ。二審は精神鑑定なし(一審のものを採用)で死刑。まあ彼はいかしておいちゃイケナイ人なんでしょうねえ。彼の有り様はもはや完全にイっちゃってるかのようですが。
 彼以降、さまざまな「努力」のかいあって、日本のロリコン界はまあ、半壊と言ったところかしら(※1)。いわゆる「児童ポルノ法」も次回見直しでは漫画などの「絵」の規制が今度こそ盛り込まれる可能性が高いとか。
 もしそうなれば「ぷに」とか「つるぺた」とか言ってる場合じゃないようですよ。
 べつにそれでロリコンがいなくなるわけじゃなし…(※2)。

※1:さーくる社などの少女ヌード写真集、清岡純子、石川洋二らの少女写真集、ビデオ、「Alice Club」等の雑誌は店頭から完全に姿を消した。
 オタク系アーティスト村上隆によれば、村上らの「アート」は(より規制の厳しい)海外でポルノの代替物として消費されているふしがあるとのこと。アートであればよいのか。そこにはどんな差異があるのか。例えば、現在写真展が公開されているジョック・スタージスの写真には、多くの少女・少年ヌード写真が含まれているが。清岡純子もわいせつとして告発された際に、かつては芸術として評価された自分の作品が、なぜ今わいせつとされるのか、と疑問を呈している。
 もちろん、判断能力を持たない子供のヌードを撮ることは、まあ、よくない気がするけどね(と言っとこう)。もっとも、二十歳だろうと三十だろうと判断能力のない人間はいるわけで。その逆も然り。まあ、それを判断する基準はないわけですが。
※2:ルイス・キャロルの例があまりにも有名ですが、少女愛の系譜は、近代以降連綿と続いているのである。必ずしも、「現代の病理」ではない。ロリコンが生まれない社会って、男女役割分業の徹底した、マッチョな社会とかかしら。
 そういえば、ロリコンの存在の是非について、当時付き合っていた子(社会学専攻)と夜中〜朝まで議論したことを思い出した。若かったなあ。

Call of Cthulhu目次へ

収容所入口へ