「フォアハンド ストローク」

  今月のレッスンは東京チームの須藤陽史が担当させて頂きます。テーマはフォアハンドストロークです。 フォアハンドストロークと言えば、テニスを始めたら一番最初に練習するショットだと思います。ちなみに自分が一番最初に 教わったショットはサーブです・・・あら?
今回のレッスンでは、自分がいつも気をつけている事をできるだけわかり易くまとめてみました。また、今回は写真付きの レッスンですが、その中のニヤケ・カメラ目線等々はお見逃しくださいませ(笑)
それでは今月のレッスンいってみよ!

 

  1.グリップ
2.グリップによって異なる打ち方
3.フォアを打つためのポイント     
 


1.グリップ
現代のテニスにおけるフォアハンドストロークでは大きく3種類のグリップが用いられていると思います。

@コンチネンタルグリップ(写真1-1)
決してスロットの名前ではありません(笑)
現在のトッププロの間ではほとんど使われていないと思いますが、 ちょっと昔ですと、エドバーグ(エドバーグでもう昔になるのか・・・)マッケンローなど、ネットプレーを得意とする選手がこのグリップを用いていました。 最近ですと、サンプラスやヘンマンなどがコレにあたりますが、彼らはコンチネンタルよりももう少し厚く握っています。(コンチネンタルとセミウェスタンの中間程度でしょうか)

写真1-1 コンチネンタルグリップ

Aセミウェスタングリップ(写真1-2)
オールラウンドプレーヤーや攻撃型ストローカーなどがよく使うグリップ。パワーテニス化がとどまる所を知らない現代のテニスでは一番多くのプレーヤーがこのグリップでフォアハンドを打っていると思います。スピードとスピンの両方兼ね揃えたフォアハンドを打ちたい人にオススメです。 アガシやサフィンなど。ちなみに私もセミウェスタンでフォアハンドを打っています。

写真1-2 セミウェスタングリップ

Bウェスタングリップ(写真1-3)
グリグリスピンのストローカーが使うグリップ。 スピンを多くかけて安定したフォアハンドを打ちたい人に適しています。 ヒューイットやフェレーロ、コレチャ、全仏オープンで優勝したコスタなど。 特にヨーロッパ(スペイン、スウェーデンなど)や南米のクレーコート育ちプレーヤーはこのグリップ多いです。

写真1-3 ウェスタングリップ


2.グリップによって異なる打ち方
先でも述べましたように、これらのグリップでの打ち方は全て異なってきます。

@のコンチネンタルグリップでは、まさにフラット系に適していますのでラケットがボールの後ろから前に押し出すような
打ち方が一般的です。打点はちょうどおヘソの前あたり。
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コンチネンタルはクラシカルなプレーをする人に多く見られます。 フラット系なのでテイクバックは結構真っ直ぐになります . 打点は大体ヘソの前あたりになります

. ボールを押し出すようにフォロースルー


Aのセミウェスタンではコンチネンタルよりもラケットが若干下から出てきます。ただ、ヘビーなスピンは必要ありませんので、
擦りあげるようなスイングではありません。
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上の写真を比べると多少ラケットの面が下を向いている事がわかりますよね . 打点は踏み出した左足の少し前辺りになります

. 上の写真と比べると自然にドライブがかかっているので、そのまま自然に振りぬけばフラットドライブのできあがり

Bではとにかくスピン重視ですので下から思いきり上にこすり上げるスイングが必要になります。
私の経験上、この打ち方が3種類の中で一番体力とパワーが要求されます。かなりシンドイです。
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ラケットヘッドは上の写真よりも更に下向きになってます

. 打点も左足よりも更に前でとる

. 擦りあげるようにスイングでフォロースルーも巻きつくような感じになってます



3.フォアを打つためのポイント
さて、ココからはグリップの種類に関係なくフォアハンドに必要な注意点を確認していきましょう。

@準備は早めに行いましょう。
初心者の方に多く見られますが、ボールが来たら先に打つ場所に走ってしまい、それからラケットを引いて
打つ方がいらっしゃいますが、殆どの方がそれが原因で振り遅れてしまいます。ではどうしたら良いか。
答えはカンタン。先にラケットを引いてしまい、打つための準備を済ませてしまうのです。それからボールの
所へ走っていって、後は打つだけ!ポイントはただラケットを引くだけではダメです。体をしっかりとターン
させる事が大事です。トッププロ達はボールが来てからラケットを引いているように見えますが、相手がボール
を打った時点ではしっかりとボディ・ターンを行っています。
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良い例:しっかりと肩を入れてテークバック。腕だけを後ろに引くのではなく、体全体をひねるようにしましょう . 悪い例:腕だけで引いてしまうと、腕力に頼るフォアハンドになってしまいます .
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Aフットワーク
残念ながら写真はありませんが、ポイントはボールに近づいたら最後の3〜4歩はできるだけ細かいフットワークで
ボールまでの打点や距離などを調整しましょう。そして、ヒザをしっかりと曲げておく事も重要です。ヒザを曲げる
事で、上体のバランスを保ち、目線を安定させる事にもつながります。


B体重移動をしっかりと行いましょう
せっかくヒザがしっかりと曲がっていても体重移動が出来ていなければ威力のあるショットを打つ事はできません。
右足(左利きの方は左足)で貯めた体重を左足(左利きの方は右足ね)にしっかりと移動させる事で威力のある、
重たいボールが打てるようになります。練習の時から、ボールを打つ前にしっかりと右足に体重を乗せてからボール
を打つように心がけましょう。
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上体をしっかりひねってテークバック。この時に右のヒザをしっかりとまげて体重を乗せることで パワーを貯めます . 右足で貯めた体重を左足に移動させる事でインパクト時にパワーをボールに伝える事ができます . あとはしっかりとフォロースルーをとります。しっかりと振り切る事が大事です


C打点をしっかり前で取る事
力強いフォアハンドを打つには体重移動が大事・・・と言うことはCでも述べましたが、せっかく体重移動ができていても
打点が遅れてしまっては貯めたパワーをボールに伝える事ができなくなってしまいます。うまく貯めたパワーを最大限に
生かすためにもボールは体のやや前でとらえる事ができるように心がけましょう。また、前でボールをとらえる事でより
攻撃的なョットを生み出すことが可能になります。
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良い例:前でボールを捕らえることで、ボールに重さとスピードをつける事ができます

. 悪い例:振り遅れるとワキが空いてしまい腕力に頼る打ち方になってしまいます。 腕への負担も大きくなってしまいます

. 悪い例:ちょっと極端ですが・・・でも振り遅れてしまってこんな姿になってしまった人は いるハズ(笑)腕っぷしでも補いきれなくなると完全にお手上げになります。こうならないように頑張りましょう。


Dバランス(軸)をしっかりと保つこと
しっかりとしたフォアハンドを打つためにはしっかりとした軸、つまりバランスが大切になってきます。上体が上から被ったり、
反り返ったりしていると安定したスイングが出来なくなってしまいます。その為にはヒザをしっかりと曲げましょう。そして
細かいフットワークで体のバランスを保ちましょう。
ここで、Aで述べた事とつながりが出てきます。安定したフットワークは良いボディ・バランスを生みます。オープンスタンスで
打つ場合でも体の軸を保つことが重要になってきます。
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上体をまっすぐ保つのが軸を安定させるコツです
. 姿勢が安定すれば、体の回転がスムーズに行うことができます . オープンスタンスでも体の軸はしっかり保つように注意しましょう



いかがでしたでしょうか?かなりポイントを絞ってのレッスンでしたが、このレッスンが皆さんのフォアハンドでの練習の
参考になればと思っています。最後にもう一度ポイントをおさらいしておきましょう。


・準備は早く。ボディ・ターンを済ませてからボールへ向かいましょう
・ヒザをしっかり曲げて、フットワークを細かく
・体重移動をしっかりと行って、パワーとスピードのあるボールを打つ
・打点を前でしっかりとらえる事でより攻撃的なショットをうちましょう
・姿勢良く打つことで体の軸とバランスをしっかりと保ちましょう
・打つ瞬間に息をはく事で余計な力を除きましょう

かく言う私はどちらかと言いますと、フォアハンドは苦手です・・・あら?
ですので、細かい事まで気にせずにできるだけシンプルに注意すべき点を意識しています。私の経験上、あまり
たくさんの事を考えすぎるとかえって修正できなくなってしまいます。なるべく試合や練習でのチェックポイントは
シンプルに、ポイントだけを簡単に、がキーワードだと思います。焦らずにひとつずつ確実にステップアップして
いきましょう。
今回のレッスンに関するご質問はいつでもお受けいたします。
ntttennis@tokyo.email.ne.jp までお願いします。