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カラースペース

 D1は1998年において、画像の入出力系、CCDの分光感度、評価系などでしっかりとした規格を持っており、従来はカラーテレビの標準として使われていたNTSC(1953)というカラースペースを採用しました。

 ニコンは、NTSC(1953)が広いカラースペースなので、高画質を目指すD1に適していると考えていたようですが、通常の画像処理はApple RGBやsRGBで作業していることが多く、NTSC(1953)の認知度の低さも手伝って、処理過程での混乱を招いてしまいました。加えて、プロファイル変換作業が必須となる場合も多く、「作業効率が悪い」などの不満の声が上がる結果となりました。

 ニコンはこれに応え、D1xではsRGBとAdobe RGBを採用しました。

 sRGBはWindows系のスタンダードであり、対応機器も多いので、一般の用途に適しているとされています。インクジェットプリンターや安値のデジタルプリントで出力する際に、高度な画像処理の知識がなくてもそこそこの結果を得ることが出来ますし、WEB上で写真を発表する場合には、カラースペースを変更することなくそのまま使用することが出来ます。

 Adobe RGBはNTSC(1953)のように広いカラースペースを持っており、CMYKへの変換と、広いレンジのカラーを伴う印刷物の制作に適合しているとして、アドビが推奨しているカラースペースです。撮影後に多くの画像処理過程を伴う場合には、Adobe RGBを利用する方が、より上質なデータを作成できるとされていますが、現状では「印刷物にはAdobe RGBを必ず使うべきである」と異口同音に唱えられているというわけではないようです。

操作性

 D1においては、デジタルカメラの大きなアドバンテージであるモニター表示のスピードや、ヒストグラム表示への切り替え操作などで物足りなさを残していましたが、D1xでは、表示スピードの向上、ヒストグラム表示操作の簡略化、部分拡大の追加などで大幅な改変が施されました。

 とはいえ、欲を言えば部分拡大はピントの確認をしっかりする為に、もっと拡大率を高くしてほしかった所ですが、、、。

 また、カスタム設定の内容も日本語で表示することにより、容易に選択することが出来るようになりました。

 ISO感度設定は125〜800ですが、カスタム設定により2段まで増感することが出来ます。


「D1x 2段増感モードの画像」

D1xの書き込み時間

 さて、これまでD1xの優れた画質について紹介させていただきましたが、ここではコンパクトフラッシュ、マイクロドライブへの書き込み時間についても触れておきましょう。

 実際の撮影では、限られた時間の中でどのくらい多くのカットをおさえられるかが重要なポイントで、次カットを撮る為のスタンバイタイムの短さが重要になってきます。

 つまり書き込み速度の問題ですね(もちろんJPEGモードであればほとんどストレスを感じませんが、高画質のRAWモードで撮ってこそのD1xですから・・・)。

 D1xのバッファメモリーは6連写が可能とされているので、6カットまでは連続でシャッターを押す事が出来ます(注:RAWモードの場合 JPEGは9カット)。

 しかし当然ながら、そのデータがメディアに書き込まなければ次のカットが撮れません。「シャッターがきれない!」これは全てのカメラマンにとって一番怖い事でしょう。

 そこで以下のような実験をしてみました。あくまでもアバウトな計測方法ですので、撮影状況や記録メディアの種類によって若干変化してくると思います。

■ 使用メディア LEXARコンパクトフラッシュ320MB 12倍速
RAWモード非圧縮 1カット 約5秒でアクセスランプ消灯
6カット 連写後約30秒でアクセスランプ消灯
RAWモードロスレス圧縮 1カット 約15秒でアクセスランプ消灯
6カット 連写後約1分27秒でアクセスランプ消灯
■ 使用メディア IBMマイクロドライブ1GB 
RAWモード非圧縮 1カット 約5秒でアクセスランプ消灯
6カット 連写後約42秒でアクセスランプ消灯
RAWモードロスレス圧縮 1カット 約15秒でアクセスランプ消灯
6カット 連写後約1分30秒でアクセスランプ消灯
注:全てシャッターを押した瞬間から計測

 この簡単な実験結果によると、短い時間の中ですぐに次カットをおさえなければならない状況で、ロスレス圧縮を選択した場合には、撮影に支障をきたす場合も出て来るといえます。

 もちろん、RAWデータを圧縮しなければ記録メディアの容量をどんどん食ってしまうわけですが、ロスレス圧縮した場合には、秒間何駒の世界ではなく、分間4駒の世界になる事もあるのです。

 これは怖い!

 ただしこれはあくまでもこの実験で使用した記録メディアにおいてですので、記録メディアによっては(読み込み速度が遅いメディア等)圧縮を行う為の演算時間よりも読み込みに時間がかかる場合もあるようです。当然ながら圧縮した方が短い時間で読み込みが完了するようです。

 いずれにせよ、次のD1シリーズ(D2シリーズ?)では、このロスレス圧縮時の書き込み速度短縮つまりは演算時間の短縮を望みたいですが、バッファメモリーの強化が現実的かもしれませんね。

 結局デジカメは日進月歩!これからのニコンに期待しましょう!まだまだ語り尽きないD1xですがこの辺でやめておきます。(笑)


「御活躍中のD1x様」

(2001/12/7 ようへい)

 

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