■ 秘宝堂 [F4 F4S F4Eの比較] Page 1

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 ■ 主な違い ■

 皆さんもよくご存知のように1988年にF4、F4Sが発売され、1991年にF4Eが登場してF4シリーズは全部で3種類が発売された。F4の後期型はいくつかの改良を経たようではあるがその詳細は分からない。ただ、表面的にはツルツルの塗装が、ややマット的な仕上げに変更されていることで見分けがつくのである。写真は3つとも初期型のものである。発売直後の初期型に関してはシャッターダイヤルのフォントが違うものが存在することを確認しているが、私の持っているF4シリーズはそれほど初期のものではない。残念ながらF5の登場後はすべて製造中止となっている。

 さて、この三種類の主な違いはバッテリーパック部であり、もちろん単三電池の使用本数も違ってくる。まずは以下の比較表を見ていただこう。

 

F4 F4S F4E

フィルム
巻き上げ
(注1)

S : 1コマ巻き上げ
CH: 約 4.0コマ/秒
CL: 約 3.3コマ/秒
CS: 約 0.8コマ/秒
S : 1コマ巻き上げ
CH: 約 5.7コマ/秒
CL: 約 3.4コマ/秒
CS: 約 1.0コマ/秒
S : 1コマ巻き上げ
CH: 約 5.7コマ/秒
CL: 約 3.4コマ/秒
CS: 約 1.0コマ/秒

フィルム
巻き戻し時間

12秒

8秒

8秒

撮影可能本数
(注2)

  20℃ −10℃
アルカリ
マンガン
(LR6)
約30本 約15本
  20℃ −10℃
アルカリ
マンガン
(LR6)
約90本 約15本
ニカド
(KR-AA)
約70本 約35本
  20℃ −10℃
アルカリ
マンガン
約90本 約15本
ニカド
MN-20
約150本 約80本

大きさ

幅: 約168.5mm
高さ: 約117.5mm
奥行: 約76.5mm
幅: 約168.5mm
高さ: 約138.5mm
奥行: 約76.5mm
幅: 約169mm
高さ: 約157mm
奥行: 約77mm

重量
(注3)

約1090g  約1280g  約1400g 

価格
(ボディー本体)

\226,000 

\239,000 

\262,000 

(注1) フィルム巻き上げはコンティニアスAFサーボ(C)モード、1/250秒以上、36EX平均値。
(注2) AF35〜70mmF3.3〜4.5S使用、シャッタースピード1/250秒以上でレンズを無限遠から至近間を往復させた場合の36枚撮りフィルム使用時の数値。
(注3) ボディーのみ、電池を除く。

 

 上のデータはマニュアルからの抜粋であるが、なぜかF4SのCLモードのフィルム巻き上げがマニュアルから欠落し表記がないので会員から情報をもらい追加した(笑)。F4Eはフィルム巻き上げの速度に関する記述がマニュアルにはなかったのだが、F4SとF4Eは同等という情報をもとに表に追加した。この値は新品の単三アルカリ電池を使用した時のもので、電池の劣化に応じてこの値も下がってくるようだ。ただし、F4Eに専用のニカド電池(MN-20)を使用している場合にはかなり安定しており、容量の変化には影響を受けづらいようである。

 F4シリーズは使用する単三電池のメーカーにより不具合を生じることがしばしばあるというのが定説になっているようだ。当時これが問題になった時にニコンは「F社の電池は使用しないでください」といったような情報を流していた記憶がある。「F社」という曖昧な情報ではあるが、Fの頭文字がつくすべてのメーカーの電池を使用しないのが無難であるというのも通説となっているので書き添えて置こう。ちなみに、F5でもこの説は生きているようで「電池評論家」(笑)に言わせるとトラブルの多くは電池の選択により発生しているという情報もある。

 余談ではあるがF4EでCSモードを使用している時に突然巻き上げが連続して起こり、巻き戻しが困難になるというトラブルに遭遇したことがある。このトラブルは私の所有しているF4E固有のものではなく、原因不明ではあるが同じ現象にあった人の話をよく耳にすることがある。そして、このCSモードには問題が多く、F4S、F4E共にバッテリーチェックをしても実際に駆動するかの判断ができないという冗談みたいな現象もある。実際にフィルムを入れて動かしてみなくては動くかどうか分からず、バッテリーチェッカーはあてにならないのである。これに関しては何度かニコンに相談したが、電池を新品にする以外の対策は未だに見つけられていない。

■ バッテリーパックの比較 ■

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 F4はバッテリーパックMB−20を装着しており、単三電池4本をグリップ部に装填するタイプである。当然、他のふたつと比べてコンパクトであり重量も軽くなる。

 個人的にはお散歩撮影などはF4を持ち歩く場合が多い。単三4本の使用ではあるが全体に安定した動きをしていると思っている。

 F4シリーズはバッテリーパックすべてに互換性がありF4S、F4EにもMB−20の装着は可能である。カメラを2台持ち歩きたいが重量を押さえたい時などには便利なので、私はMB−20を2つ持っている。F5にこのような配慮がないのが残念ではあるが、長い玉を構えた時には少々ホールディングが不安定になるという印象を持っている。
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 F4SにはハイパワーバッテリーパックMB−21が装着されている。これはグリップ部とボディー底の部分にそれぞれ3本づつ計6本の単三電池を装填することになる。

 この機構では電池交換にとても時間がかかり、この問題を解決したF4Eが発売されるわけである。

 もちろん、3本づつそれぞれのホルダーに電池を装填しなくてはならないのが電池交換に時間がかかる原因ではあるが、実はグリップ部をボディーに装着する作業がスムーズに行かない場合が多いというのも理由のひとつであり、F4Sの弱点でもある。私は一度でグリップがスムースに装着できた時には拍手喝采し、狂喜乱舞するぐらいである(笑)。

 ただ、F4EよりF4Sの愛用者が多いようにも思われるので、意外にこれを克服している人は多いのかもしれない。F4Sの使用者が多いのは単純に値段が安いからという理由かもしれないが・・・(^^;,。個人的にはこれらの理由によりF4Eをお勧めしたい。

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 F4EにはマルチパワーバッテリーパックMB−23が装着されており、ボディー底に単三電池6本をワンタッチで出し入れすることが可能になっている。

 ちなみに、専用ニカド電池MN−20は単三ホルダーMS−23に単三電池を装填したのと同等の形状であり、充電、装填ともに簡単に行うことができる。

 F4EはF4Sとは機能的に同等ではあるが、なぜか巻き上げ音がまったく違うのである。F4Sがやや低音を中心に発するのに対して、F4Eは高音部が強調されているようだ。CSモードに関しても同じ事が言えて、高音部の耳障りな音を不快に感じることがある。F4Sと比べてみると「元気が良い!」といったような印象を得ることができる筈である(笑)。

 F4Eは明らかに電池交換は楽ではあるが、私が使っている限りでは電気系統の接触不良などの問題が多いのがF4Eであるという印象を持っている。完全な裏付けはないのであるが、過去に3度ほど問題を起こして修理しているのがF4Eであり、F4Sには同様の問題が発生しないところをみるとF4E固有の問題であるという疑いをかけてしまうわけである。

 単三電池の劣化によるトラブルである可能性も否定できないので、単三電池のメーカーを選択する際には十分に注意すべきだと感じている。

 私のF4シリーズに対する個人的な印象は、すべてF4初期型に対する印象であるということを付け加えてレポートを終了させていただく。

(大狸ヒロ)

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