本機は、昭和53年に報道用特需仕様として報道関係に向けて発売され、正式名称は説明書に「ニコンF2高速モータードライブカメラ」と記載されています。
外観上の特徴はボディの軍艦部、ペンタプリズムカバー、裏蓋、底カバーがチタン製であり、独特の縮緬ブラック塗装となっています。
巻き上げレバー等はF2オリジナルと同パーツを使用しています。なお、この縮緬塗装はニッコールレンズに採用されている縮緬仕上げとは違っており、F5のチタン部の仕様が最も似通った仕上げといえます。
機構的な特徴は、クイックリターンミラーと開放絞り機構を採用せず、半透明固定ミラーと手動式絞り機構により専用の高速モータードライブMB−100と組み合わせて最高秒間10コマの撮影を可能としています。
また、MB−100もチタン製であり頑丈で高い信頼性を保っています。
ニコンでは「F」の時代から高速モータードライブを開発しており、初代はミラーアップしたままで専用ファインダーを外付けして7コマ/秒を、2代目は半透明固定ミラーを採用して9コマ/秒を達成しています。そして本機が登場、その後F3高速モータードライブカメラ(F3H)により13コマ/秒を達成しました。
ライバルとしてキャノンF−1高速モータードライブカメラがありますが、ニコンとの最大の違いはキャノンがペリクル(半透明膜固定式)ミラーに対して、ニコンは半透明固定ミラーを採用していることです。ちなみにF−1仕様は9コマ/秒、NewF−1仕様で14コマ/秒となりました。また、ペリクルミラーを採用したEOS−RTが5コマ/秒、EOS1N−RSが10コマ/秒の仕様となっていす。