上野動物園      

-15. 上野動物園 001112


ふと思いつきで東京上野恩賜動物園に行って来た。いきなり上野駅で反対側の正面口に出てしまい、駅の外側をぐるっと反対側の公園口まで回るはめになる。動物園内は、今にも降りそうな曇天で気温も低かったためかそれほど混雑しておらず、いい感じであった。いつもこうであるのならば有り難い。

東京上野恩賜動物園は1882(明治15)年3月20日、日本で初めての動物園として誕生した。3月20日は開園記念日で入園料が無料、みどりの日も無料、都民の日も無料、小学生以下は常時無料。ずいぶんと太っ腹である。

動物園は、東園と西園に分かれていて、東園は将軍が、西園は御所が統治している。間を繋ぐイソップ橋には関所がもうけられ、入り鉄砲出女が厳しく取り締まれる。東園にしか飼育されていない白黒熊を一目見ようと西側から進入しようとして捉えられる女性が後を絶たない。動物園の外側を回って正門から入れば問題ない。動物に触われる「なかよし広場」は西園にある。「なかよし」広場というくらいだからセーラームーンなどが連載されているかと思いきや、兎やモルモットや山羊がうろうろしているだけである。

東京上野恩賜動物園というとやはり目玉は白黒熊であろうか。正門からはいるとすぐ右手に居る。実際に見てみると白黒熊というよりも、尻の方が黄色く汚れていて白黒黄熊という風体であった。徹夜明けで目が赤くなっていれば白黒黄赤熊であろうか。さらに精神的ショックを受けて青ざめれば白黒黄赤青熊であろうか。飼育費の高騰で最近は園内の不忍池に無断で白黒黄赤青熊を放流するマナーが悪いアマチュア飼育家が増え、原生種である黒メダカを駆逐する勢いだそうである。餌の笹を食いつくしてしまうと、空腹のあまり里に下りてきて人を襲う白黒黄赤青熊が出ることがある。上野付近の御徒町、秋葉原では注意が必要である。さすが電気の街秋葉原では白黒黄赤青熊が嫌う超音波を発生する装置を売っていたりする。しかし、その効果は科学的に実証されていないので注意が必要である。効果がなかった場合、その人は喰われてしまうので「効果がないと証言する人」が出てこないという訳である。

第二次世界大戦中、爆撃されて猛獣が逃げ出しては混乱が起きるとの判断から、猛獣が薬殺された。3頭のインド象は餌に毒が入れられていることを察し、食べようとはしなかったため餓死させられることになった。ご褒美がもらえるかと,やせさらばえた体で芸を見せようとした、という逸話が残っている。この季節に動物園に行くと芸をする痩せた象の亡霊が現れることがあるという。たまに白黒黄赤青熊に霊が乗り移って芸をするそうである。芸をする白黒黄赤青熊はサーカスに高く売れるので、捕獲すると小銭をもうけることが出来る。毎年9月になると芸をする白黒黄赤青熊を求めてさまよい歩くマタギが上野公園名物となっている。


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